第184話 話し合いは踊る されど進まず・・・
内藤少尉の発言に三人は再び時が止まってしまったが、直ぐに澪姉が再起動し、
「・・・今後の事とは・・・」と聞くと
「もちろん、今度の新入生歓迎会の件ですよ。」と言いながら
「実は、前々から歓迎会の時の内容に改善を図れないかと、上司の方から言われてまして・・・そんな時にこちらの学生の方から改善に向けての動きがあると風の噂で流れてきたので来たんですけど。」
「・・・そうだったのですか。つまり旅行と言うのは方便だと」と葵が言うと
「いえ、有給が溜まっていたのは事実ですし、たまには休暇を楽しみませんと。」あくまでも主目的は観光である事を強調していた。
「・・・ですが、何度も案を出したんですけど、中々実現には色々課題が多くて・・・」と澪姉が言うと
「そうですよね。簡単な事では無いんです。だからこそ挑戦する意味があると思うんです。」と内藤少尉が言うと、葵が
「・・・そこまで言うなら何か案でもあるんですか?・・・内藤少尉には?」
「・・・葵さん、お願いしたのに・・・」と先程のお願いを聞いてくれない葵に対して、内藤少尉は少し不満な顔をしていたが
「なぜダメなのか、原因を追究していけば、きっと道は開けます。」と内藤少尉は力強く言った。その光景を見て三人は少しばかり希望を持とうとした・・・・が・・・
「でも、先ずは心と体をリラックスさせてください。」とゆったりと湯舟につかりながら、緩んだ顔つきになっていく姿を見ていると、少し不安になりつつあった、
しかし、焦っても仕方が無いのも事実であり、何より普段は時間の関係でゆったりお風呂に入る事も出来ない三人にしてもお風呂にゆったり入るのは、実家に帰った時位なので、ここぞとばかりにリラックスしていた・・・一名を除いて・・・・
「・・・この場所は拷問する場所だったんだね・・・」と紬が嘆き始めた・・・・
内藤少尉の非常に立派な物・・・・澪姉の大変立派な物・・・・葵の立派な物・・・・それらと見比べると紬の物は・・・・・しかし澪と葵は何も言わなかった、こうなると紬はとことん、一人の世界に入り込み、暫くは何を言っても無駄なのだ。なので澪は内藤少尉のそばに近寄り
「申し訳ないんですけど、あの子・・・その、サイズの件で少々コンプレックスを持っていまして、なので暫くそっとしておいてください。」と言うと
「そうなんですか?大き・・・」と内藤少尉が余計な事を言う前に葵は内藤少尉の口を手で塞いだ。
「・・・彩さん・・・やめましょうね。」と葵が言うと、内藤少尉は静かに頷いた・・・・・
そんなこんなで、お風呂から上がると、内藤少尉の泊まっている部屋に集まり、作戦会議を開始しようとしたが内藤少尉の暴走が始まった・・・・
「では、皆さん。恋バナでも始めますか。」
「・・・なんでですか?」と澪姉が呆れながら言うと
「女子会でパジャマパーティーときたら、恋バナをしなくてどうしますか!」と力説したが
「はい、では会議を開始します。」と葵が淡々と開催を宣言していった。
「・・・葵さん、ヒドイ・・・」と内藤少尉のボヤキも無視つつ、四人の話し合いは・・・・遅々として進まなかった・・・今まで沢山のアイデアを出しては却下されてきた。その事実はやはり重たかった・・・・
「・・・これは、皆さんの苦労がわかりますね・・・」と内藤少尉はしみじみと感じていた。
「そうなんですよ。アイデアを出しても出しても、却下され続けて・・・」と紬は澪の方を見ながら、少し悔しそうにしていた。それは葵も同じであった。
(・・・ごめんなさい。澪姉。・・・私が引き受ければ、こんな事には・・・)と思いつつ、時間だけが無情に、過ぎていった・・・