第182話 他愛もない夕食時間
夕食時間になったので、内藤少尉を呼びに紬が内藤少尉の泊まっている部屋に着くと、既に内藤少尉の準備は出来ていた。紬は
「すいません、遅くなりました。」と謝っていたが
「いえ、まだまだ時間には余裕がありますし、大丈夫です。」と言いつつ少し考え事をしながら
「ところで、五十嵐さんと小田さんは川口さんと、どの位の付き合いになるんですか?」
「葵とは、大体10年位ですかね。最初の頃は、物静かで人見知りで、何をするのもビクビクしていたんですけど、段々馴染んできた感じですかね。」と簡単に馴れ初めを言うと、内藤少尉は聞きながらニコニコしていた。
「男性陣とはどの様な感じでしたかね?」と更に突っ込んで聞いてきたので
「まぁ、小学生位までは一緒に遊ぶ事もありましたけど、中学生になってからは一時期疎遠になった感じですね・・・なんとなくですけど・・・」とほんの少し前まで疎遠になっていたと、思い出しながら陽斗と付き合い始めた事を意識した紬はほんの少しだけ顔の周りが熱くなったのを感じた。そんな紬を見ながら、内藤少尉はニヤニヤとしていた。それに気づいた紬は
「・・・意地悪ですね・・・内藤少尉は・・・」と言うと
「いえ、色々な事を知れて楽しいですよ・・・」と会話をしていると、ちょうど葵が到着したので
「お待たせしました。内藤少尉。」と葵が敬礼をすると
「いえいえ、紬さんと楽しい時間を過ごせましたので大丈夫ですよ。さぁ食堂に向かいますか。」と言って内藤少尉は案内役を置いてきぼりにして食堂に向かって行った。
食堂に着くと小田会長が席に案内して、食事が始まった。
「美味しいですね。ここの料理は。」と内藤少尉が褒めると
「そうですね。本当に美味しくて日々の楽しみになってます。」と澪姉が言うと
「そうですか。しかし食事だけが楽しみだけだと少し寂しいですけど大丈夫ですか?」と少し内藤少尉は心配していたが
「もちろん、学業に魔法の実技も楽しいですし、何より昔からの親友達がいますから。」と紬が胸を張って言った。
「そうですね。信頼の置ける親友はいいものです。・・・そうですね・・・・」と内藤少尉は一瞬悲しそうな顔つきになったが、直ぐに元通りになった。
食事も終わり、内藤少尉を部屋まで送り、その後の予定を確認する事にした。
「入浴は他の生徒達が終わった後の21時過ぎを予定しています。小田、五十嵐、川口の三名と一緒になりますがよろしいですか?」と紬がきくと
「ええ、よろしいです。」と内藤少尉は少し嬉しそうにしていた。
「・・・何でそんなに嬉しそうなんですかね?」と葵が聞くと
「それは嬉しいに決まっています。色々な人と交流する事で新たな知見や経験が出来、それが自分自身の成長の糧になりますし。」と言っていたが葵にはそれがどうしても信じられなかった・・・・
「・・・ただ、一緒にご飯を食べて、お風呂に入って、それでどうして新たな知見や経験につながるんですか?」と更に質問をしたが
「・・・少し疲れましたね・・・五十嵐さん、川口さん暫くの間、案内役は大丈夫ですので、また後で」と言ってその話は一旦終わる形になった。部屋から出ると、紬は
「葵。少し内藤少尉に突っかかり気味じゃない?」と言うと
「・・・ごめんなさい・・・私・・・・その・・・・」と葵は何かを言いたそうだが、言えない様子に
紬は
「まぁいいや。内藤少尉も別に怒っているわけじゃないし。私は一旦部屋に戻るけど葵はどうする?」
「・・・私も自室に戻る。」と言い一旦二人は自室に戻る事にした。
内藤少尉は部屋で、
(・・・少し揶揄いすぎましたかね・・・)と思いながら、入浴の準備をしていた。