第181話 内藤少尉のお願い。
内藤少尉を学園長室まで案内した葵は、暫くの間学園長室の外の廊下で待ったいた。その頃学園長室内では、学園長と主任教官の二人がおり
「本日はお世話になります。学園長。」と内藤少尉が言うと
「いえいえ、流石に前日に言われた時は、驚きましたよ。泊まる部屋の準備など色々大変でしたが。」と主任教官が多少の皮肉を言いながら、学園長が
「昨日の夜遅くに寮の管理人に言いましたら、喜んで準備に勤しんでくれましたので後でお礼でも言って頂けますと助かります。」と言いながら、学園長は内藤少尉に質問した。
「ところで、こんな田舎の学園に何用ですかな?内藤少尉殿?」と意味深に聞くと
「ただの、旅行ですよ。」と内藤少尉は答えたが
「・・・風の便りで、とある少尉がいきなり有給を申請して驚いたと・・・・聞きまして・・・・」と学園長が呟くと
「そうですか。まぁ有給は労働者の権利ですから。」と内藤少尉は答えた。
腹の中の探り合いも、そこそこに学園長が
「では、ごゆっくりとお休みください。」と言い
「はい。お世話になります。」と言って部屋を後にした。内藤少尉が退室した後、主任教官が
「どう思いますか?学園長。」と問いかけると
「本当にただの旅行なんでしょう・・・・幸い小田学生会長は何度か内藤少尉とお会いしているので、大丈夫でしょう。何かあれば連絡をお願いします。」と言って、主任教官と対応を確認した。
学園長に挨拶をしてから内藤少尉と葵は寮の方に向かっていったが、道中では二人は全く喋らなかった。内藤少尉は
(・・・全く、嫌われたものですね・・・)と内心思いつつ、寮のほうに着くと、内藤少尉を一目見ようと、女生徒達が集まっていた。
内藤少尉が
「本日はお世話になりますね。皆さん。」と言うと、黄色い声援がそこかしこから沸き上がった。
そんな中、学生会長である澪姉が
「本日はようこそお越しくださいました。早速ご案内役を紹介します。」と言って二人の女生徒が指名された。
「五十嵐 紬 並びに 川口 葵 両名が内藤少尉の案内役を務めますのでよろしくお願いいたします。」と言うと紬と葵がそれぞれ
「よろしくお願いいたします。」
「お願いいたします。」と紬と葵が言うと内藤少尉は
「ええ、よろしくお願いいたします。いや~少しでも知っている人にしてもらって助かります。」
「ご要望でしたので、では何かありましたら二人に。では、五十嵐さん 川口さん 後はお願いいします。」と言ったので
「では、お部屋にご案内致します。」と葵が言い、紬が荷物を持ち内藤少尉が今日泊まる部屋まで案内する事になった。部屋までの道中も女生徒からの眼差しを感じつつ部屋まで着くと内藤少尉は早速ベットにダイブした。
「あ~肩が凝りますね・・・ああいう視線は慣れないですから・・・」と言うと紬が
「・・・結構、視線を感じましたからね。・・・大変ですね、モテるのも・・・」と言いつつ部屋の片隅に内藤少尉のキャリーケースを置いた。
「・・・そうなんですよ。どこに行くのも注目の的で・・・皆さんも入学当時は大変だったでしょ。」
「そうなんですよ。特に葵は大変で。」と言いながら入学当時の事を話していると、葵が
「もういいじゃないその話は。ところで内藤少尉。夕食は食堂で私たちと一緒で18時からになります。お風呂は21時までにお願いします。
「お願いがあるんだけどいいかしら?」と内藤少尉が言うと
「何かご入用のですか?」と紬が聞くと
「・・・皆とお風呂に入りたい・・・ダメ?」と言ってきた。
葵と紬が、少し固まっていると
「ほら、知り合いがいた方が安心しますし、裸の付き合いというものいいですから。」と理由を述べてきた。少し間が時が止まっていたが、葵が
「では、私達三人と一緒でいいんですね。」と確認してきたので
「はい、よろしくです。」と内藤少尉は楽しそうに言ってきた。
「他に用事がなければ一旦失礼しますがよろしいですか?」と葵が質問すると
「ええ、食事の時間まで大人しく待っていますので。お二人とも暫くは案内役をお休みしてもらって結構です。」と内藤少尉の言葉に甘え、夕食開始時間まで、葵と紬は自室に戻ろうとしたが
「澪姉になんて言う?」と紬が葵に聞くと
「私から言っておくから紬は先に自室に戻っていいよ。」
「分かったわ。ちょっと厄介な課題が有ったから先に戻るね。」
「また、後で。」と言って一旦別行動をする事にした。紬は自室に戻る途中で
(そういえば、内藤少尉は私達の入学したての事をしってるんだ・・・)と少し疑問に思いつつ、その些細な事は直ぐに頭の片隅にも残らなかった・・・・