第168話 近いよ・・・・葵・・・・
大晦日 前日までに新年の準備は終わらせており、この日はゆくっり休みになった・・・・はずも無く葵と一緒に課題に取り組んでいた・・・・もちろん、食堂で雪代さん絶賛監視下の元ではあったが・・・
二人で静かに課題を進めていると、不意に葵の携帯が鳴った。
「あれ、澪姉からだ。ちょっと出るね。」と言って葵は電話に出た。
「もしもし、澪姉、どうしたの?」
「ああ、葵、ほら今回の課題も大変だし、皆で一緒に課題をやろうと思って、どうかな?」
「そうだね。今回の課題も大変だし・・いいと思う。」
「そうでしょ。で、場所を葵の屋敷で出来たらいいなと思って確認なんだけど?・・・雪代さんのお許しが出るかなと思って電話したんだけど。」
「ちょっと待って。今、雪代さんに聞くね・・・・・雪代さん皆で勉強会をしたいんですけどいいですか?」と目の前にいる雪代さんに確認すると
「ええ、構いませんよ。」と許可が出たので
「大丈だって。いつにしようか?」と葵が聞くと
「4日がいいんじゃない。三が日は色々、家の事とかあるから難しと思うから。じゃ皆には私から連絡しておくから。」
「あ、総ちゃんはいいよ。今、目の前にいるから」との葵の発言に一瞬、澪姉は固まってしまったがスグに
「分かったわ。じゃ、総によろしく言っておいてね♪」と電話はそこで終わった。そこで自分が
「・・・なぁ。葵。・・・その・・・・」と葵に声を掛けようとしたが
「・・・・あ・・・・」と葵が自分が言う前に自身が置かれた状況を認識した。
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」と何とも言えない空気感を感じつつ
(これ絶対、からかわれるやつだよな・・・・)と思いつつ実害は無いと思い
「・・・ほら、葵、連絡は澪姉に任して、続きをしようか。」と葵に言うと
「・・・・うん、そうだね・・・・」と葵は取り敢えず目の前の課題に取り組む事にした。
その光景を見ていた見ていた雪代さんは特に何も言わなかった。そうこうしている間に昼食の時間になったので、母親お手製のランチタイムの時間になった。
「美味しいです。朱鷺子さん。」と先程までの憂鬱な気分など何処へやら、すっかり上機嫌になった葵を見ながらほっこりしていると、雪代さんが自分の方を見ながらわざとらしく咳き込みながら
「・・・ゴホゴホ、ところで朱鷺子さん。先ほどきまったのですが、4日に皆で勉強会を開く事になりまして、急で申し訳ありませんが準備の方をお願いします。」
「畏まりました。葵ちゃん、どの位するの?」
「そうですね。いつも通り10時位から、17時少し過ぎた位だと思います。」
「分かったわ。お昼とおやつでも用意しましょう。」と母親が快く快諾すると雪代さんが
「すいません、お手数お掛けします。」とお礼を言うと葵も
「朱鷺子さん、何かあればお手伝いしますので言ってくださいね。」と 言う葵に母親は
「ありがとうね葵ちゃん。でもこれもおばちゃんの仕事だから大丈夫よ。」と力強く言ってくる母親に葵は感謝しつつ
「分かりました。よろしくお願いします。」と言って一旦この話は終わりになった。
昼食も終わったので、再び課題に取り組もうとしたが、母親が雪代さんに
「そういえば、雪代さん。先ほど郵便が来ていまして、」と一通の封筒を手渡した。雪代さんはそれを受け取ると、深刻そうな顔になり直ぐに
「申し訳ありません、葵様、一旦執務室で作業をしたいと思いますので失礼します。」と言って執務室に向かって行った。
(・・・大晦日まで仕事が来るなんて、雪代さんも大変だな・・・・)と前世の社畜の頃を思い出しつつ、二人で集中して課題に取り組む事にした。
食堂で静かに課題を取り組みながら静かに時間だけが過ぎていった・・・時折、葵に質問をしながら進めていくが、葵から自分には質問が来ない・・・全ての科目に置いて葵の方が優秀であり自分に聞く事など無いからだ・・・・それも葵に思いを伝えられない一因となっていた。
(・・・ハァ・・・人生二周目の自分より葵の方が勉強が出来るって・・・・神様ってホントに不公平だよな・・・・)と思いつつ、それでもどうしようもできないもどかしさで心の中は一杯になっていった。その異変は葵にはすぐに分かった様で
「・・・総ちゃんどうしたの?さっきからあんまり集中できて無い様だけど・・・?」と聞かれたが
「・・・大丈夫、ダイジョウブ。少し疲れただけだから、あんま気にしないで。」と何も無い様に振舞っているがそこは付き合いの長い間柄である。
「嘘だね。総ちゃんは嘘を付く時、癖があるから簡単に見破れるんだから。」と、自分自身全く気付かな事を言われ驚いていると、葵がいきなり目の前に迫って来て
「ほら、何があったか言いなさい。」と葵に両手で顔を掴まれ自分と葵の顔はもの凄く近い距離で向かい合っていた・・・
(・・・・マズイ・・・葵の顔を直視できない・・・・)と思いつつ、どうしようかおもっていると
「葵ちゃん、総、そろそろ一休みいれ・・・・・」とタイミングよく母親が現れた。見つめ合う男女、ちかい顔、・・・・・誤解を招くには・・・・十分だった・・・・
「・・・・ごゆっくり・・・・」と言って母親はキッチンの方に下がっていった。その光景を見て葵は
「朱鷺子さん違うんです!!待ってください。」と慌ててキッチンに向かって行った。
しばらく経って茶菓子とお茶を持った母親と葵が一緒になって戻って来た・・・・葵は顔を真っ赤にしながら、母親は自分と葵を見ながらニヤニヤしながらお茶の時間を楽しんでいた・・・・・