第166話 課題に取り組み中・・・
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
自分が泊っている客間で、自分と葵はひたすら課題に向き合っていた。
(・・・・なんだろう、勉学に勤しむ・・・・間違ってはいないのに・・・・・何か物足りない感じが・・・・してならない・・・・・)と内心で思っていたが、目の前の大量の課題に向き合う事も大切なのでここは集中力を切らしては、後々泣きを見る羽目になる・・・・・それを自覚しているので手を止める訳にはいかなかった。
一時間も経った頃に葵が
「 結構集中してやったね総ちゃん。・・・少しだけ休憩・・・する・・・? 」と聞いてきたので
「そうだな・・・後、これだけやったら休憩にするわ。」と言って集中して終わらせると葵が自分の方を見ながら微笑んでいた。
「葵、・・・どうかした?」と聞いた。
「・・・・ううん、なんでもないよ。」と答えてはくれなかったが自分は少しだけ顔が赤くなったのを自覚していた・・・
夕食までのもう少し時間が掛かりそうだが、きりが良かったので一旦課題の方は終わりにする事にした。
「なんだか、こんなにゆったりするなんて久しぶりだね。」と葵が言ってきたので
「そうだな・・・学園だと色々あって、最近だと皆が一堂に会うのも朝食や夕食の時位だもんな。」
「・・・・そうなんだけど・・・まぁ・・・うん・・・」と歯切れが悪い葵に
「まぁ、正月には一旦集まるだろうし、それまでにはある程度課題を終わらせないとな。」と意気込みを語っていると
「・・・・まぁ、そうなんだけど・・・・」と少し不満顔で答えていたので
「えっと、葵さん、俺 何かしでかしましたか?」と聞くと
「べつに。」と明らかに怒ってはいるのは分かるが原因が分からなかった。
(えーーー俺、何か葵の機嫌を損ねる様な事したかな?真面目に勉強してただけなのに・・・)と葵の不機嫌の原因を頭の中で考えていたが全く答えは出なかった・・・・
「・・・・総ちゃん。・・・・あのね・・・・その・・・・」と葵が何か言いたそうだったので
「・・・・なんでしょうか?・・・葵さん・・・」と恐る恐る聞くと
「・・・・なんでもない・・・・」と言われ
「・・・・そうですか・・・・」と再び気まずい雰囲気になってしまった・・・・そうこうしている間に、体に違和感を感じ始めた・・・・
(・・・・ヤバイ、足・・・シビレタ・・・・)と足をモジモジしているとその光景を見ていた葵が
「・・・・総ちゃん・・・・」と微笑みながら近づいてきたので、
「あの、葵さん・・・今は、その・・・・」と言うと同時に葵は問答無用で自分の足を、ボールペンで攻撃を加えてきた・・・・
「・・・あの、葵、ちょ、やめ、ひど、ちょ、ひぃ」と葵の攻撃は留まる事無く、葵の無邪気な笑顔がそこにはあった。本当に少しの間、葵の足への攻撃は続き、満足したら足への攻撃を止めてくれたので
「・・・酷いよ、葵・・・・」とジト目で遺憾砲を放つと
「ごめんなさい・・・でも総ちゃんが悪い。」と葵が答えた。そこで自分は
「・・・何が?俺 何かした?」と質問をすると
「・・・・何もしてない・・・・」と目を逸らしながら答えたので
「なにそれ酷い。」と抗議しながら二人して再び笑いあった。葵と久々に心の底から笑い合った感じがした。
時計を見ると夕食の時間も近づいてきたので、そろそろ食堂に向かう事にし、自分は生まれたての小鹿みたいにプルプルしながら立ち上がろうとしていたが、そこに葵が
「大丈夫総ちゃん?」と聞いてきたが自分はヨロヨロしながら倒れ込んだ・・・・・・・葵を巻き込みながら
「・・・・・・・・・・・・・・・・」二人の顔と顔との間は非常に近い距離であった。
(・・・・ヤバイ、やっちゃった・・・・・早く起き上がれないと・・・・)と思っていた瞬間に
「葵様、夕食の時間です。」と扉の向こうから雪代さんが呼ぶ声が聞こえてきた。葵は静かにとジェスチャーをしながら
「分かりました。先に行って下さい。」と言い雪代さんは
「畏まりました。」と言って離れて行った・・・・ほんの少しだけ経ってから葵が
「・・・総ちゃん、行こう。」と言ったので自分は頷く事しか出来なかった。静かに扉を開けると、目の前には雪代さんが仁王立ちしていた・・・・・その後の夕食はとても有意義な時間を過ごせた・・・・・・・・