第165話 部屋で二人きりに・・・
お風呂から上がると、15時少し過ぎになっており、母親が
「はい、総。ご苦労様でした。」と労いの言葉を掛けてくれながら、お茶とお菓子を用意していてくれた。
「頂きます。」と手を伸ばそうとしたがその手は、母親によって妨げられた。
「・・・あんた、本当に気の利かない子だね・・・」と少々呆れながら
「雪代さんと葵ちゃんを呼んで・・・いえ、雪代さんにはこれを持って行って。」とトレーにお茶とお菓子を用意し、早速持って行くように言った。
雪代さんの執務室前に着き、扉の前にあるサービスワゴンの上にトレーを置き扉をノックした。
「雪代さん、母からお茶にしないかと。」と呼びかけると
「ああ、総一郎君すまない。最後に溜まっている書類を整理したいので、そこのワゴンの上に置いておいて下さい。」
「分かりました。失礼します。」と言ってその場を離れ、次に葵の部屋に行きノックをした
(・・・なんか、緊張するな・・・)と思いつつ、返事を待った・・・・・
(あれ?返事が無いな・・・・)と思いつつ、再度ノックをしつつ
「葵?母さんがお茶にしないかって?」と再度声を掛けるが反応は無かった・・・・
(さては・・・お昼寝中かな・・・・)と、どうするか考えた。
パターン 1
葵の部屋に入る ➡ 葵が寝てる ➡ どうすればいいのか分からず固まる ➡ 葵が起きる ➡ 葵が叫ぶ ➡ 雪代さんが駆け付ける ➡ THE END
(うん、このよくあるラブコメパターンは無理。)
パターン 2
このままキッチンに戻る ➡ 母親が葵を呼びに行く ➡ 葵が起きる ➡ 皆でお茶にする ➡ 俺 生き延びる
(うん、このパターンがいいな。)と脳内で緻密な?シミュレーションを行った結果 パターン2を採用し、一旦キッチンに向かうとそこには葵が居た・・・・
(・・・なるほど・・・最初からいなかったパターン3は考えていなかった)と思いつつ、
「母上殿。任務終了しました。」としっかり報告をすると
「うむ。ご苦労。では食べてヨシ。」と許可を頂いたので早速、椅子に座ってお菓子を頂く事にした。
「じゃ、朱鷺子さん。私達もいただきましょうか。」と三人でのお茶会になった。しばらくゆったりとした時間が過ぎていったが母親が
「そういえば、総。あんた交流会は結構頑張ったみたいだけど、学業の方はどうだったの?すっかり聞くの忘れていたわ?」との問いに
「うん、特に問題なしかな」と答え
「葵ちゃんホント?」と息子の言う事が信用できないのか、何故か葵に聞くと
「・・・・・」と沈黙で答えられた。それで母親はすべてを察した。
「・・・総・・・」と静かに怒っていた。
「・・・ヒャイ・・・」と蛇に睨まれた蛙になってしまった。そこで葵が
「大丈夫ですよ朱鷺子さん。総ちゃんは基本は出来てますし、今回はちょっとポカしちゃいましたけど普段の小テストや中間試験はできてますので。」と葵の言葉で一旦母親の怒りは収まった。
「葵ちゃんが言うなら、大丈夫でしょ。・・・総・・・しっかりしなさいね。」との圧力を感じながら
「イエス、マム。」と答えるのが精一杯だった。
お茶会も平和的?に終わり夕食の用意が終わるまで、一旦自分と葵は二階にあるそれぞれの部屋に戻る事にし、階段を上がりきったところで
「・・・総ちゃん・・・あの、その・・・・」と葵が何か言いたそうにしていたので
「どうかした葵?」と聞くと
「・・・その・・・一緒に課題を・・・しない?」と何故かモジモジしていたが、あまり気にすることなく
「ああ助かるよ。じゃ、課題を持って、食堂に集合かな?」と言うと
「・・・朱鷺子さんの邪魔になっちゃうし・・・その、総ちゃんの部屋でもいい?」と何故か遠慮がちに聞いてきたので
「ああ、別にいいよ。」と言うと同時に
「じゃあ、すぐに用意していくから待ってって。」と葵はすぐに自室に戻って課題を持ってきたので、
「葵、そんなに急がなくてもいいんじゃないの?」と聞くと
「いいから、ほら、早く、早く」と葵に急かされながら、自分が止まっている客間に二人で入って行った。