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第163話  お風呂の順番


 母親からの手伝いも終わり、夕食が出来るまでお暇を頂いたので部屋で少しばかり休もうとすると、葵の部屋の前には雪代さんが本を読みながら椅子に座って待っていた。


 「・・・どうかしましたか?」と聞いた・・・・しかし何となく察しはしていた・・・


 「いえいえ、お気になさらないでください。」と言う雪代はそのまま、本を読み続けていた・・・まるで門番の様に・・・・・自分は静かに客間に入り、そのまま夕食が出来るまで、自習をする事にした。


 しばらく経ってから、ドアをノックされた


 『 コン コン 』 と母親が呼びに来たのかと思いドアを開けると


 「・・・・総ちゃん、その・・・朱鷺子さんが夕食出来たって・・・・」と葵が呼びに来てくれた。


 「ああ、ありがとう・・・葵・・・」と言うと、葵の後ろに


 「では、行きましょうか。総一郎君。」と雪代さんが立っていた。その威圧感に自分はつばを飲み込みながら


 「・・・はい・・・」と小さく頷く事しか出来なかった。その後葵、雪代、自分との順で食堂に向かう事に・・・・着くと、母親が苦笑いしながら


 「では、食事にしましょうか。」と夕食をする事になった。食事が終わり、食後のお茶をしながら今学期にどの様な出来事が有ったかを、雪代さんと母親に説明していった・・・葵との秘密の一日を除いて・・・・一通り述べると


 「おお、スゴイですな。あの源君に勝つとは。」と珍しく雪代さんが褒めてきたので


 「源君の事、御存じなんですか?」と自分が聞くと


 「・・・ええ、まぁ・・・確か魔法学園でも近年稀に見る才能の持ち主だと噂には聞いた事がありますし・・・」と最後の方は言葉を濁した様に感じたが、自分はその事には触れない様にした・・・・


 母親が更に


 「雪代さん、そんなにスゴイ訓練生なんですか?」と聞くと


 「そうですね・・・第三学園の実技、筆記の試験共々トップクラスとの事ですし、人格的にも優れている人物・・・・と、仕事仲間が大絶賛しておりまして。」と説明をしながら、葵の方を一瞬チラッと見た気がした・・・・雪代さんも色々知っているのかと思っていると


 「葵ちゃんはどうなの?源さん。タイプ?」と聞くと葵は


 「ゲホゲホ、ゲホ   何を、、言ってるんですか。 朱鷺子さんは、、、、」とむせながら言うと


 「いやー おばさん 気になっちゃって。」と俺と葵をチラチラ見ながら、明らかに揶揄っている。

その光景を見ていた雪代さんは機嫌が悪くなってきたのか


 「・・・朱鷺子さん、お茶をお願いします。」と、用事を言いつけると


 「はい、只今お持ちしますね。」と言って台所に向かって行った。その光景を見ていた自分と葵はお互いに顔を見合わせながらほんのり少し体温が上昇したのを感じていた。


 「・・・全く、朱鷺子さんは・・・」と雪代さんは不満な顔つきで自分の方を見ていた・・その視線を感じながら自分は


 (・・・母上殿・・・何してくれてんですか・・・雪代さんの目線が・・・痛いんですけど・・・・)

と心の中で思いつつ、そろそろ部屋に戻ろうとすると、母親が台所より戻ってきた。


 雪代さんにお茶を出しつつ、壁に掛けて有る振り子時計を見ると、時刻は既に21時になろうとしていた。


 「あらあら、もうこんな時間ね。そういえばお風呂の順番をどうしましょうか?」との発言に、自分は再びハッとした・・・・

 

 (・・・・そうだった・・・なんで思いつかなかったんだろう・・・一緒の生活空間にいるんだから・・・)と思っていると雪代さんが


 「そうですね・・・・葵様、朱鷺子さん、私、総一郎君の順でいいんではないでしょうか?」と言うと母親が


 「そうですね。じゃ、葵ちゃん先に入っちゃって。」と母親に促され葵は


 「・・・では、お先に失礼します。」と言って浴室に向かって行った。その後順番に入浴を済ませ最後に自分の番になったが・・・・


 (・・・・うん、これでよかったんだ・・・うん・・・・。)とゆっくりと温まる事にした。


 お風呂から上がると、少し自習をしてから眠りに就いた・・・・・







 お風呂から上がった葵は部屋で、やはり自習をしていたが


 (・・・総ちゃんが隣の部屋に居る・・・・・少しだけ・・・お話をしたいな・・・・)と思い、扉を開けると、廊下には雪代が椅子に座わり、本を読んでいた。葵の存在に気付くと


 「葵様、どうかしましたか?」と聞いてきたので


 「・・・あの、お水を・・・飲みたくて・・・・」と言い終わる前に


 「どうぞ。こちらに用意しております。」と準備万端と、ガラス瓶とコップが既にトレーに乗って用意されていた・・・葵はそれを受け取り


 「・・・ありがとうございます・・・・あの、雪代さんはここで・・・なにを?」


 「今回は仕方なく滞在を許しましたが、年頃の男子は油断なりません。よって万が一、総一郎君が夜中に葵様のお部屋に入ろうと・・・・・」と言った所で雪代の声が止まった


 「・・・・あの、雪代さん・・・・」と葵が声を掛けようとすると『ギィーーー』と扉があく音がしたので雪代は、静かにと合図をして、音のなる方を見ると・・・朱鷺子さんがそこには立っていた・・・・朱鷺子さんは雪代と葵を見ながら

 

 「二人共、どうかしました?」と聞いてきたので、雪代は


 「・・・いえ、なんでもありません。では、葵様、朱鷺子さんお休みなさい。」と言って雪代は自室に戻って行った。


 その光景を見て、朱鷺子は


 (中々、大変ね・・・まぁ、悔いの無い様にしなさいよ。総・・・)と息子の何かを案じつつ


 「ほら、葵ちゃん夜更かしは乙女の天敵よ。早く寝なさい。」


 「・・・・はい、おやすみなさい・・・・」と葵は部屋に戻ろうとすると朱鷺子も

 

 「はい、おやすみ。」と言って客間に戻って行った。

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