第160話 艦長の挨拶と試験結果・・・・
駅に着き、定期列車の一部を貸切にした列車に乗り込み、長い長い列車の旅が始まった。しかし行きと違い帰りはクラス別でなく、各々中のいい生徒同士でワイワイしながら帰る事なったが皆疲労から、続々と夢の世界に落ちっていった。
自分達も例外なく夢の世界に落ちっていった。しかし固い座席で熟睡は出来ていなかった。
(・・・ウン・・・ン・・・)と一旦起きてしまうと、右肩の方に何かが当たっている感覚が有った。右肩の方を見てみると葵が小さな寝息を立てながら自分の方に寄りかかっていた。
(・・・葵さん・・・ちょっと・・・心臓に悪いですよ・・・)と内心思いつつ、どうしようか考えていた。
(・・・なんか・・・いい匂いするし・・・・・・・)とそのまま再び夢の世界に入っていってしまった。
しばらくしてから、起きるとそこにはニヤケ顔の四人と、顔を真っ赤にしている葵がいたので、察しがついた。
「・・・あの、もしかしてだけど・・・」と聞くと、紬が
「二人仲良く寄り添って寝ていたよ♪」と揶揄いながら言ってきたので
「・・・ごめんな。葵、さっき一瞬起きた時に・・・」と謝罪の言葉を言い掛けると葵から
「大丈夫だよ。私も総ちゃんも凄く疲れていたし、それに・・・特に嫌じゃ無かったし・・・・」と顔を真っ赤にしながら言う光景に自分も顔を赤くしながら頷く事しか出来なかった。そんな光景を見ていた他の男子からの憎悪と怨念を感じながら、電車は目的の新潟駅に着いた。
本来の予定ならここから船に乗るのだが、先日の一件以来、船の運航間隔が大幅に縮小され、昼間のみの運航になっており、流石に今日に帰るのは不可能なので今日は一旦近くの駐屯地にお世話になる形になった。
夕食も終わり後は自由時間となった所で、自分と司が教官に呼び出された。
「・・・・なぁ、総一郎・・・俺達、何かしでかしたかな・・・・」
「・・・・全く記憶にございませんな・・・・」と思いつつ、古今東西、上役からの呼び出しなどロクでもない事は明らかである・・・・と思いつつ逃げる事も出来ずに、指定された時間に、指定された部屋の前に着いた自分達は意を決してその扉をノックした。
「失礼します小野寺、加治両訓練生。参りました。」
「入れ。」と教官の許可が出たので入室するとそこには、教官と車椅子に乗り、手足に包帯が巻かれた、見慣れない軍人さんが待っていた。
入室後、着席を促され着席すると、見慣れない軍人さんが頭を上げながら開口一番に
「先日は本当に諸君らに救われた。乗組員を代表して感謝する。」と言われ混乱していると教官からも
「俺からも感謝を言う。本当にありがとう。 こいつとは昔からの腐れ縁で、今回の護衛もこいつの部隊と知っていたんだが、まさかこんな事態になるとは思ってもいなかった。お前たちの活躍を教えたら是非ともお礼を言いたいと言ってな。」と二人から感謝されると
(・・・俺達、沢山の人を守ったんだな・・・)と感無量に浸っていると司が
「・・・いえ、あの時俺は、本当にダメな奴でした・・・・いざという時に臆病になり、行動する事が出来ませんでした。・・・でも総一郎に言われて、決心がついたんです・・・」と言うと艦長が
「当たり前だ。まだまだ君達には、軍人になるという決意が無いだろう・・・しかし、いずれ理解する事になるだろう・・・それまでしっかりな。」と言うと艦長は俺達を激励して部屋を出て行った。
自分達は敬礼をしつつ、見送ると教官から
「・・・二人共、もう下がってよろしい。・・・本当にありがとう・・・・」と言われたので退室してから、司に
「・・・やったな、司・・・」
「ああ、総一郎のおかげだよ。」とハイタッチをして皆の元に戻った。皆の元に戻った時に呼び出しの経緯を説明して、皆と喜びを分かち合った。
翌日になり、船に乗って帰る事になったが、行の時より護衛の船は増えていて非常に厳重な事になっていたが、特に問題は無かった。むしろ学年末試験の方が問題であった自分は必死になって勉強に、課題に取り組んだ・・・が・・・結果は補習だった・・・・