第139話 覚悟。
その頃船室にいた自分達も夕立の撃沈と、後方からの砲撃でパニック状態になっていた。
「いやだ、死にたくない・・・死にたくないよ・・・」と泣き叫ぶ者を教官達が落ち着かせたりしていたが一般の乗客から魔法学園の者の分かると
「おい、あんた達さっさとあの船を沈めろよ。早くしてくれ。」と詰め寄る人と押し問答が始まり
「無理です。我々の攻撃では射程外です。・・・ですから。」
「うるさい、いいかな何とかしやがれ、この野郎」と既に収拾がつかない状況になりつつあった。
そんな状況でも、何故か自分は落ち着いていた・・・・
(既に一回死を経験しているし・・・ここで死ぬものまた、運命なのかな・・・・・また転生出来るかな・・・・と)考えていたが ふと、葵の事を思った・・・・
(大事な人を守れなくて・・・何が運命だ・・そんな運命変えてやる・・・・しっかりしろ・・・加治 総一郎・・・・自分に何が出来る・・・・・そうだ・・・・司は・・・どこだ・・・)と司と共同で実験した魔法式あれなら・・・と司を探す事にしたが何せ大混乱の船室内どこに居るのかも分からない・・・・でも探して見るしかない・・・・そう思い、震えてる足に力を入れ船内を探し回った。そんなに広い船内ではない・・・・しかし、見つからない・・・・どこだ・・・・あいつなら・・・どこに・・・と、考え自然に最上階のデッキに向かっていた。そのデッキの隅の陰の方に震えながら隠れていた司を見つけた。
「ハァ、ハァ、はぁ、司・・・やっと見つけてぜ・・・・」と息を切らせながら、司の方を見ながら言った。
「なんだよ、総一郎・・・もう、皆死んじゃうんだよ・・・ほっといてくれ、・・・」と泣き叫びながら半狂乱していた・・・そんな司に・・・自分は何を期待していたのだろう・・・・いや、でも司にしかできない、だから自分は司を思いっきりビンタをかました・・・・司はいきなりのビンタに呆然としていたが
「・・・こんな時に殴るなんてありえないだろ!!!!」と殴ってきたので・・・その拳を真っ正面から受け取た・・・・
「・・・こんな時に・・・なんなんだよ・・・総一郎、・・・・」と泣きながら崩れ落ちた司に自分は
「・・・司・・・・こんな時だからお願いしたい・・・・あの魔法式を使いたい・・・・」と司の目を見ながら言った。司は固まっていたが
「・・・無理。・・・」と素っ気なく答えてしまった。
「なんでだよ・・・あの時は上手くいったじゃないか。今回も大丈夫だろ。」
「・・・無理だよ・・・あの時は確かに上手くいった。でも今回はあの船に人がいる・・・つまりはお前が人殺しになる・・・・そんな事させられない・・・・」と司の言葉にハッとした・・・・
(・・・そうか・・・司はそんな事まで考えてくれたのか・・・でも・・・)と自分は決心した。
「・・・司・・・俺は皆を守りたい、それだけなんだ・・・頼む、この通りだ・・・・」と司に頼み込んだ。
「やめろよ、総一郎、・・・なんでそんな覚悟が出来るんだ・・・」との問いに
「守りたい人が、大切ないる・・・それで十分だろ」と言うと
「・・・そっか・・・分かったよ。俺もこんなことろで死にたくないしな・・・・魔法式の構築にちょっと掛かるから5分程待ってくれ。」
「おう、その間に魔力を込めるだけ込めるぜ。」と二人ハイタッチをして覚悟を決めた・・・・
その頃、澪や紬、陽斗は居なくなった三人を探すか迷っていた。
「どうしよ、どうしよ、澪姉・・・どうしよ・・・」
「落ち着きな、紬、大丈夫、あの三人なら大丈夫、だよ・・・」と陽斗と紬はお互いの手が震えている事にも気づかずに、手を握りしめていた。
澪もこの状況に焦りを感じつつ
(大丈夫、大丈夫、皆無事に帰れる・・・)と思いながら船室にて待機する事しか出来ない自分達に、もどかしさを感じていた。
司が魔法式を構築し準備が整った頃に、自分も魔法力の構築にも完了し、いよいよ後方から接近してくる船に向かって攻撃を行う事になった。
「総一郎、これはマジでやばいぞ・・・・威力も想像出来ない・・・」
「ああ、俺も過去一魔法を込め・・・・マジでヤバイ・・・かもな・・・」
「これは・・・一発勝負だな・・・・気合入れろよ・・・・総一郎!!!」
「任せろ、司!!」
「距離とか分かるか?」
「わからん!・・・でも、この距離なら目視で行けると思う。」
「本当か?」
「言ってみただけ。・・・でも、俺達ならいける!!」
「そうだな・・・なんかしらないけど大丈夫そうだ!」
と何故がこの状況を楽しみながら、二人は息を合わせて
「「いっっーーーけーーーーーーーーーーー」」と攻撃魔法を放った。非常に眩い光が一直線に後方の船に向かって行き船の中央部に命中したかと思ったタイミングで大爆発を起こし沈んでいった光景を見ながら心の中で
(やった・・・・ゼ・・・・・)
ここで自分の記憶は一旦途切れた・・・・・・