第132話 総一郎の夢。
紬のフライングで始まったバーベキューも食べ盛りな男子が三人もいると焼けた瞬間に網の上から、肉が消えていった。母親が
「あんた達、野菜も食べなさい。あと女性陣の為に多少は遠慮しなさい。」と注意を受けたが、司が
「肉は飲み物なんで。」と言うと
「司君、陽斗君を見なさい。」と言われ陽斗の方を見ると陽斗は、女性陣の為に一旦食べるのを止め、肉を焼く係に志願していた。そのタイミングで母親から
「女の子にモテたいなら、自己中な事はしては駄目なのよ・・・分かった。」との発言に司は、力無く
「・・・はい・・・」と言う事しか出来なかった。
その後は各々バーベキューを楽しみながら、自分はお腹いっぱいになったので一旦休憩の為に庭に用意した椅子に座りながら休んでいると、澪姉が隣に座ってきた
「総一郎、ちゃんと食べてる?」と聞いてきたので
「今はちょっと、休憩中かな。」と言うと
「この後花火をするんだけど、バケツの有る場所知ってる?」との問いに
「たしか、物置小屋にあったはずだけど・・・」
「じゃ、よろしくね。」と言って、肉を焼いている陽斗の元に向かっていった。
「・・・一応、家主に確認するか・・・」と思いつつ葵の姿を探したが見当たらなかったので
(しょうがない・・・後で言うか・・・)と思いつつ物置小屋に消火用のバケツを取りに行く事にした。
物置小屋でバケツを探すとバケツはすぐに見つかったが、この前見つけた小箱も見てしまった。
(これは、この前の小箱か・・・中身は・・いや、駄目でしょ、・・・さっさと戻りますか。)と思い戻ろうとすると、物置小屋の出入口に雪代さんが立っていた。
「総一郎殿・・・どうされましたかな?」と少し怖い顔になりながら聞いてきたので
「この後花火をするみたいなので、バケツを取りに・・・」と手に取ったバケツを見せると
「・・・そうでしたか・・・では、早くお戻りになってください・・・そろそろ、用意しておいた食材も無くなりそうですので。」と言われたので
「・・・分かりました・・・失礼します。・・・」とだけ言ってその場を離れる事にした。
その後はバーベキューを楽しみ、片付けを主に男性陣で行い、最後に花火をする為浜辺に移動する事にした。
大量の花火を司が用意していたので非常に楽しめたが葵は途中から、皆の輪の中に入らず少し離れた所で座り、皆が花火をしている光景を眺めているように感じた。
その光景に違和感を感じた自分は葵の傍に行き、何も言わずに隣に座った。
少しの沈黙の後、葵が
「・・・この見慣れたはずの光景ももうすぐ見納めなんだよね。・・・・」とボソっと言ったので
「そうだね・・・みんな、自分の進路や目標があるから・・・ね。・・・」と少し寂しく言うと
「・・・総ちゃんの・・・夢・・・や目標て何?・・・」と聞いてきたので
(・・・言えね~・・・葵と一緒に家庭を持ちたい・・・なんてまだまだ言えないよな~。)と心の中で葛藤していると葵は
「・・・私はね・・・・」と言った所で、司が
「二人共、何してんの?早く、早く、」と言ってきたので葵が
「・・・じゃ、行こうか総ちゃん。」と行こうとしたので
「葵、さっきのは?」と聞いたら葵は
「・・・秘密・・・だよ。・・・」とだけ答えた。
その後花火も終わり各々帰宅していった。
葵も帰宅し、お風呂に入ろうとしたがそのタイミングで雪代が
「葵様、実は総一郎殿が小屋の中に入って・・・その、小箱を・・・」
「・・・大丈夫です。悪い事は出来ない人・・・雪代さんも分かっていますよね。」
「そうですな・・・いえ、失礼しました。おやすみなさいませ。」と雪代は部屋に下がっていった。
葵はお風呂に入りながら
(・・・私の夢は・・・・総ちゃんの・・・)と思った所で葵は顔が物凄く熱くなったが、葵はそのままお風呂から出る事はなかった。その後しっかりと茹で上がった葵は部屋のベットの中で先程の妄想を思いつつ、中々寝付けない夜を過ごしていった。