第126話 着信・・・無し・・・
夏休みも終盤になり久々に皆で集まろう!
電話口で司はそう言った。ここで、自分は聞いてみた。
「・・・で、司・・・目的は?」との質問に
「嫌だね、総一郎は。皆で切磋琢磨しよとする。この心意気を疑うようでは・・・」
「では、課題は見せなくてもいいと・・・それなら・・・」
「お願いします。もうこれ以上は本当にヤバいんです。」とやっと本当の目的を話し始めた。聞けば新しい魔法術式の開発に力を入れすぎ、それ以外の課題を殆ど手を付けていないとの事。
「・・・・で、他の面々は何て言ってるの?」と聞くと
「陽斗と紬は、魔法学のレポート。澪姉は、数学が多少遅れ気味だとの事。でも、休み中には終わる目途は立っているとの事」と言ってきたので
「・・・そうか、じゃ、俺も頑張って終わらせるかな。じゃ、司、ガンバ。」と言って電話を切ろうとしたので
「総一郎も英語の課題ヤバいだろ。なぁ、葵になんとかお願いしてくれよ~。今回はマジのマジでヤバイ。このままだと俺、休日の鬼の補講になってしまうよ、助けてくれよ総一郎。」と泣き落としに掛かってきたが
「自業自得ですな。では。」と電話を切ろうとすると、
「終わったら、皆で花火をしましょう。」との一言に少し心が揺れた。
(・・・確かに久々に、やりたいな・・・)と思ってしまい、司の
「家に、花火、バケツ、チャッカマン用意完了しております。」との一言に
「・・・分かったよ・・・じゃぁ、それなら皆に・・・」
「葵の説得は任せた。他の三人は既に声を掛けてOK 貰っているから、よろしく♪。」と電話を切った。
「・・・あれ、外堀埋められてる・・・・?」と司の手腕に感心しつつ、
(・・・その行動力を勉学に向けてくれよ・・・全く・・・)と少し葵の携帯に電話をした。
「プルルルル、プルルルル、・・・・お掛けになった電話をお呼び出ししましたが・・・」と葵は電話に出る事が無かった。
(まぁ、また後でかけ直してみるかな・・・)と思いつつ何度電話をしても葵に繋がる事は無かった。流石に疑問に思いつつ、
(どうするかな・・でも、直接行くのは何か・・・)と考えつつ、少しの不安が過ぎった
(また、俺の知らない所で葵は・・・・いや、悪く考えるのは止そう・・・そう、・・・)と屋敷に通っている母親が帰ってきたら聞いて見る事にした。
夕方頃に、母親がお屋敷から帰ってきたので、
「母上殿、葵はどうしてるの?」と聞くと
「なんで、そんな事聞いてくるの?・・・そういうのは直接聞きなさい。」とあしらわれたので
「電話しても、繋がらないんだ・・・何か知ってる?」としつこく追及したが
「プライバシー保護の為これ以上の回答は差し控えさせて頂きます。」と言ってしまい、その後この件に関する質問には一切答えてくれなかった。
夕飯もお風呂も終わらせ、自室に戻り携帯を開いたが葵からの着信は無かった。
(・・・葵、どうしたんだろ・・・・でも、俺に出来る事なんて・・・・)と心の中に一様の不安が広がったがどうする事も出来ない自分には、どうする事も出来なかった。