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第118話  覚悟はまだ・・・


 お昼ご飯も終わり、片付けも葵がしようとしていたので


 「片付けはお任せ有れ。」と葵には休んで頂き、お茶を入れて一息いれていた。


 「葵のおかげで遅れてた分を取り戻せたよ。本当にありがとう。」と感謝を述べると


 「うん、でも思ったより遅れて無かったね。ビックリしちゃった。総ちゃんも成長してるんだね。」と少し嬉しそうに微笑んでくれた。


 「そんなに、酷く無かった様な」と反論したが


 「名前を書き忘れたり、スペルミスのオンパレード、挙句の果てには・・・」


 「すいません、もう黒歴史は勘弁して下さい。」とここでギブアップした。


 「・・・意外と意地悪だよな・・・葵って・・・」と少し不満を言うと


 「・・・こんな事言うのは総ちゃんだけだよ・・・」と少し頬を赤くしながら言ってきて自分も


 「・・・そう・・・」とここで微妙な空気になってしまった。


 「・・・・・・・・・・・」


 「・・・・・・・・・・・」


 「・・・・・・・・・・・」


 (マズイ・・・何を言えばいいんだ・・・)と時間にしては短いが体感的に物凄く長い時間に感じていると、葵が


 「・・・もう一回お茶入れてくる。」と言って部屋を出ていこうとしたので、


 「あ、いいよ、俺が・・・」と二人同時に動いたことで、ぶつかり倒れこんでしまった。


 しかし倒れ方が悪かったのか、自分が葵を押し倒す形になってしまった。葵の顔が目の前に有る。非常にドキドキするシチュエーションであるが自分にはここから先に進む覚悟がまだ無かった。



 一瞬の静寂の後に


 ジリリリリリ ジリリリリリ ジリリリリリ と電話が鳴り自分は慌てて



 「ゴメン、葵、・・・その、大丈夫?・・・」と聞くと


 「・・・・うん、大丈夫・・・・・」と静かに答え


 「・・・・電話、・・・いいの?」との問いにハッとして電話に出た


 「はい、もしもし・・・」


 「あ、お世話になっております。私、荒川電機の者ですけど、こちら 加治様のお宅でよろしいでしょうか?」と電気屋さんの電話であった。要約すると今日の修理にお伺いは流石に無理なので明日の夕方に伺うとの事で取り合えず電話は終わった。


 その後、葵と何を言えばいいのか考えていると


 

 「ごめんね、総ちゃん、     私、お茶入れてくるね。」と言って部屋を出て行く葵を見送る事しか出来なかった。







 キッチンでお茶の用意をしている葵は頭の中で先程の出来事を思い出していた。





 (・・・・・総ちゃん・・・・・・)



 雨風は増々強くなってきていた。







 


 

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