第116話 仕事途中で着替える予定でした。
窓に打ち付ける雨と風の音で起きた葵は、起きて直ぐに異変を感じた。
(・・・あれ、ここ・・・ど・・・え、・・・あ、・・・また・・・やちゃったな・・・)と感じつつ
ここの家主に挨拶をと思いキッチンに向かったがキッチンは無人だった。
(あれ、朱鷺子さんがこの時間に居ないなんて珍しいな・・・)と思いつつリビングに行くと床で寝ている総一郎を見つけて少し言葉を失っていた。
「・・・総ちゃん・・・なんで・・・こんな・・・所で・・」と思ったが
(・・・なんかこの部屋蒸し暑いけど・・・取り敢えずエアコンを。)とエアコンのリモコンを操作したがエアコンは反応しなかった。
「・・・あれ、・・・点かないな・・・」と疑問に思っていると
「・・・ああ、葵・・・・おはよう・・・」と総一郎が寝ぼけながら挨拶をしてきたので
「・・・おはよう、・・・その・・・なんで床で寝てるの?」と当然の疑問をぶつけてみると
「ああ、リビングと客間のエアコンが壊れて使えるのが俺の部屋だけだったからね。でも流石に一緒のへ部屋で寝るのはマズイと思いまして・・・」と答えると
「・・・総ちゃんが自室で寝ればいいのに・・・」と言うと
「・・・葵は気にしなくていいよ。・・・ところで雨と風スゴイ事になってるな。」と窓の外を見て言うと
「そうだね、あ、そういえば朱鷺子さんはどこに居るの?」と聞いてきたので
「昨日の夜から女子会で今は居ないよ。」と昨日の夜からいない事を簡潔に説明すると
「ふ~ん、そうなんだ・・・・」と葵は何故か顔を赤くしながら少し挙動不審になっていた。
「やっぱりこの部屋暑いよな、俺の部屋で申し訳ないが休んでて。」と言うと
「・・・大丈夫だよ、それよりもお腹すいたよね、朝ごはん私が作ってあげる。」との申し出に
「いや、悪いからいいよ、でもどうしようか。この雨風じゃ、葵の屋敷まで帰るのも危ないか。」と葵の帰宅の心配をしていると
「まずは腹ごしらえからだよ、何にしようかな?」と早速メニューを考え始めたが
「取り敢えず朝食はトーストに卵焼き位でいいんじゃないかな?」と希望を言うと
「そう、分かった。お昼は期待しててね。」と二人でサッと作って食べる事にした。
軽く朝食を取り、その後葵は申し訳なさそうに
「・・・ごめん、総ちゃん、・・・ちょっとお風呂借りてもいい?・・・」と大問題発言をしてきた
「え、・・・・・・・え、・・・・・・」とフリーズしていると
「・・・・ほら、昨日そのまま、寝落ちしちゃったから・・・その・・・・汗・・・・臭いし・・・・・その・・・・・」と非常に恥ずかしそうにしていた。
(そりゃそうだ・・・・なんでこんな事に気付かなかった・・・・俺・・・・・)とここで非常に大きな問題も発生した。
(え、・・・・・・・着替えは・・・・・・どうすんの・・・・・・・え、・・・・・・・まさか・・・・・俺の・・・・・)と色々な妄想が暴走していると
「・・・その、着替えは朱鷺子さんのアドバイスで一応持って来てたんだ、昨日の仕事の途中で着替えが出来る様にって、・・・・だからその・・・・いいかな?お風呂・・・・」
「ああ、いいよ、大丈夫だよ、お先にドウゾ。」と先に葵にお風呂を譲ってから母から電話が来た
「・・・・・・総・・・・おはよ・・・う・・・・・・・」と二日酔い確定の声であった。
「で、どの位飲んだの?」との問いに
「・・・・分からない・・・・取り敢えず空瓶に空き缶が散乱して・・・」と惨状が手に取るように分かった。
「結構です。・・で、いつ帰ってくるの?」
「・・・頭痛いし、台風で雨風強いから、このまま司君の家で過ごすわ・・・よろしく・・・あ、エアコンの修理だけ言っておいてね、じゃ、おやすみ。」と言って電話は切れた。
「ちょ、っと」と再度電話を掛けたが再び繋がる事は無かった。
( ( ゜Д゜)ハァ?・・・・今日一日葵と一緒に居るの・・・・マジか・・・・・)と自分の理性に問い掛けを始めた。
その後、葵と入れ違いで自分もお風呂に入る事にした
「・・・・その・・・・お先に頂きました。・・・・」と言って葵が恥ずかしそうに出てきて
「・・・じゃ、俺も・・・・」と言ってお風呂に入っている頃、葵の携帯が鳴った。
「おお、葵様ご無事でしたか、連絡がつかず心配しましたぞ。」
「・・・すいません、雪代さん昨日、携帯の充電せずに寝てしまって。・・」
「・・・ちなみにどちらにいらっしゃいますか?・・・」
「・・・朱鷺子さんの家です。・・・」と答えると
「全く、朱鷺子さんも連絡一つ頂ければいいのに・・・葵様本日は台風で危ないのでこのまま、朱鷺子さんのお宅でお泊りになりますかな?では、朱鷺子さんにお願いをしたいのでこのまま代わっていただけますかな?」と雪代が聞いてきたので
「・・・・すいません、朱鷺子さん今お風呂に入っていまして・・・・」
「おお、そうでしたか、分かりました。では、葵様明日には台風の影響も無くなっていると思いますので朱鷺子さんに雪代がよろしく言っていたとお伝えください。では失礼します。」と言って電話は切れた。
心の中で葵は
(・・・・・・ウソ・・・ついちゃった・・・・・・)とかなりドキドキしていた。