第108話 仕事ですから・・・
お部屋の掃除にロビー周りの掃除もひと段落したので、自分と葵はアイスと麦茶で一息いれる事にした。
「葵はどっちを食べる?」と凄く硬い事で有名なバーとガリガリと食べれるアイスを冷凍庫から持って来て聞くと、葵は悩むことなく
「こっちにする。」と言ってガリガリ食べれるアイスを選んでいった。
「やっぱりそっちを選んだね。」と少し笑いながら言うと
「そうだね。やっぱり昔からよく食べているからね。」と言って袋から取り出して少しの間の休憩を取る事にした。休憩中に葵が
「総ちゃんは課題とか大丈夫?」と聞いてきたので
「中々、厳しいな・・特に英語の課題が遅れ気味かな・・」と空を見上げながら今後の課題の進め方を考えていると
「じゃ、今度私が見てあげるよ。」とありがたいお声を頂くが
「いや、いつまでもそんなことではいけない・・・何とか頑張てみるよ。」と虚勢を張ってみた。そんな虚勢も長く一緒にいる葵には一発でバレてしまった。
「気にしないでいいんだよ。皆で助け合わないと。」と笑顔で言ってくれたが
「でも、俺は・・・葵の力になれた事なんて無いような・・・」と返すと
「・・・総ちゃんが気付いていないだけで私は色々助かっているんだよ。」との返事に
(・・・俺、何か葵の助けになるような事したっけな・・・)と考えている所で
「じゃ、そろそろ続きを始めますか。総先輩。」と言ってきたので
「・・・それ、まだ続けるの?・・」と少し照れながら返すと
「・・・こんな機会もうないだろうからね・・・さ、続き続き」と少し寂しい顔をしていたがその思いを振り払うように次の仕事を聞いてきたので
「・・・次は脱衣所、風呂場、トイレかな・・とりあえず女性の方だけやってくれればいいから。俺は布団を干したら男性の方をやるから」と言って作業に取り掛かろうとすると
「・・・ねぇ、総ちゃんこの作業をいつも一人でやっていたの?」
「そうだね、基本的には・・今日ほど部屋数が無かったからね。」
「・・・女性用の風呂場とかに入っていったんだ・・・ふーーーーん。」と少し軽蔑の眼差しを感じたので
「これも仕事だから・・・決して卑しい気持ちなど有りません。」との弁護も
「・・・・エッチ・・・・」との葵の言葉に心にダメージを受けつつ残りの弁護を述べる前に葵はお風呂場の清掃に向かって行ってしまったので
(後で、説明しないと・・)と思いつつ自分の仕事を終わらせる為に目の前に積み上げられていた布団を干していった。
(なんで私あんな事言ったんだろ・・・お仕事なのに・・・・後で、ちゃんと謝ろう・・・・)とお風呂で掃除をしながら謝る事を考えている葵の姿がそこにはあった。