6話 ロム王国のクソ国王
俺絶対、前書きの使い方違うよな。
日記みたいに書いてるけど、絶対違うな。
あ、そう言えばコメディーの小説を書いてみたいと思ったけど、オラお笑いわかんない。
ゲールは何を話しているんだろうか。
時折ゲールが叫声を上げている。
同期と言ってたし、前職の人達だろう。
なぜだか嫌な予感がする。
隣を見ると、ミスカが少し震えている。
「エル、大丈夫だからね。少し、奥に行こう」
「う、うん」
言われた通り席を立ち、二人で奥の寝室へ向かう。
俺を抱き、ベッドの上で丸くなる。
なぜミスカは、玄関から遠ざかるように、逃げているのだろう?
まるで借金取りから怯えているような、そんな様子だ。
「大丈夫、きっと大丈夫」
生唾を飲み目を瞑ったまま、そう声に出す。
そうこうしていると玄関の扉が開く音がする。
その音を聞いただけでミスカは肩を震わせる。
誰かが入ってきたのか、ギシギシと床が鳴る。
足音は次第に大きくなり、寝室のドアが開かれる。
「終わったよ、二人とも」
ゲールが寝室の入り口でそう呟く。
「ほんと?もう出ていい?」
頷くゲールをみて安堵したのか、ミスカは全身の骨がなくなったかのように、その場でふにゃけた。
しかし、何を話していたんだろう。
あのミスカが怯えるほどだ。
さぞかし、ヤバい内容だろう。
「何話してたの?」
俺は我慢が出来ず、聞いてみる。
「あぁ、そのことなんだが………、あ、まだ昼食の途中だったな、食べながら話すよ」
テーブルの席に着くと、ゲールは水を凄い勢いで飲み干した。
「父さん、ロム王国に戻らないといけなくなった」
「……え?」
「やっぱり……」
ミスカはため息を吐くと声を大にする。
「なんなの、あの身勝手なハゲは!いつもいつも、私の嫌がることばかり!あー腹立つ」
「一回落ち着け」
ゲールはミスカを落ち着かせ、話の続きを話す。
「俺が居なくなって、いっときの間は落ち着いてたらしいが、ここ最近また、傍若無人になり始めたんだと」
「きっしょいったらありゃしない。40代のおじさんのワガママな王国なんて、早く他の国から落とさらればいいのよ」
ふんっと、鼻を鳴らしそっぽを向く。
にしても、話の内容がよく入ってこない。
ロム王国ってのはゲールが元々働いていたって言う国か?
「ごめんな、ミスカ。約束守れなくて……」
「ううん、しょうがないわよ。あのクソデブが悪いんだから」
「エルもごめんな」
「すぐ、帰って来れないの?」
俺は少し寂しげに言うと、ゲールは悲しそうに俯いて黙る。
「……多分」
多分?
多分ってなんだ?
帰って来れないのか?
「ロム王国はすごく遠いんだよ。こっからだと半年以上かかっちゃう」
そうか、この世界には飛行機とか、電車はないんだったな。
主な移動手段は馬車と船、それと徒歩だけ。
そりゃすぐには帰って来れないな。
「きっと帰ってくるからな。長くても3年後には帰ってくるようにするよ」
「いつ、ここを発つの?」
「一週間の間だな。リタ達が近くに一週間ぐらい泊まるって言ってたし」
「そう……」
ミスカも寂しげに返事をする。
「一週間か……」
魔術の修行はもうないし、タイミングは良かったかもな。
でも、ちょっと急すぎる。
まだまだゲールとしたいこともあったし、行きたい場所も沢山ある。
なんなら、みんなで、旅行するって話もあったのに……。
「さっ、ご飯食べちゃって、冷めちゃうわよ」
「そうだな」
食欲が無くなっていたが、俺はご飯に手をつける。
とっくに冷めたご飯はいつもより味が落ち、食べるスピードも下がっていた。
〜一週間後〜
「忘れ物はない?」
「あぁ」
「ハンカチはもった?」
「あぁ」
「歯は毎日磨くのよ」
「わかってる」
「向こうで無駄遣いしちゃダメよ」
「しないよ」
ゲールがロム王国に発つ日、玄関にて見送りをしていた。
どうせなら村の外まで見送りたかったが、ミスカがロム王国の人たちに会いたくないと言って断念した。
リタさん達は悪くないのに……。
「じゃあ、いってくるよ」
「うん。いってらっしゃい」
「エル、いい子にしてるんだぞ」
「元からいい子です」
「ははは、そうだな」
ワシャワシャと頭を撫でる。
「じゃ、元気でな。お金はちゃんと入れるからな」
「うん……。絶対帰ってきてね」
「父さんがいない間、この家は僕が責任を持って守らせていただきます」
俺は胸を張り敬礼をする。
「お前本当に三歳児か?」
ギクッ、
……本当は17、いや20歳です。
「行ってきます」
そう言ってゲールは外に出て行く。
追いかけて行きたいけど3年後には戻ってくるって言っていたし、気長に待っておこう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━いざ、ロム王国に行くとなるとめんどくさいな。
でも、今の生活がバレたら嫌だし、詮索されないために行くしかないよな。
少し顔を出して国王をなだめて、帰ってくればいいだけだ。
「にしても寒いな。リタ達はどこで待ってるんだ?」
白い息を出しながらキョロキョロと辺を見渡し、同僚を探すが、見当たらない。
村の入り口か?
まあ、あいつのことだしナンパでもしてるんだろうな。
「ゲール!」
噂をしてればなんとやら、村の入り口の方へ向かっていると、リタが村の門で手を振っている。
「はぁー、気が重い」
俺はリタ達の方へ向かう。
「よっ、元気か?」
「最悪の気分だ。今から国王に会いに行くなんて」
「まぁまぁ、元気出せや。久々の地元やで」
「出ねーよ。愛しの家族と離れ離れで元気出る奴居ねーよ」
「そや、奥さん見せてーや」
リタは体をクネクネさせて近づいてくる。
正直きもい。
「嫌だ」
「えー、減るもんやないやん」
「リタさん、どんだけ見たいんっすか」
「だってぇー、何回言うても見してくれへんもん」
リタは部下に泣きつく。
やっぱりきもいなこいつ。
俺は立ち止まることなく、村の外へと進んでいく。
もちろん置いて行くつもりで。
「ちょい、置いてくなや」
リタ達は後を追うように走って近づく。
近づいてくるのに気づいた俺は離れるため走る。
「おいっ、走んなんや。追いつかれへんやん」
「…………」
「なんかしゃべれ!」
「お前と近づきたくねーんだよ」
「なんやそれ」
ま、ほんとは気が変わる前に村から出たいだけだけど。
リタをいじるのは面白いからそれでいいや。




