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デスターン  作者: 春川立木
47/72

43話 結果発表

あー、年越したぁ。

やらかしたぁ。

もうダメだぁ

聖神祭も終わり、いつもと変わらない日常が巡る。


「この時期の朝風呂は脱法すぎんか」

「朝の凍えた体に染みるよね」


もうすぐ春になるこの季節だが、朝はまだまだ寒さが残る。


湯気が立ち上る浴室で俺とクルトは湯に浸かっていた。


「朝の筋トレにも染み渡る。俺の筋肉たちが喜んでるわ」

「あー、きもちぃー」


最近、朝起きてランニングからの筋トレ終わりに風呂に浸かってるが、なんか気が抜けるな。


「ガエルさん達もうすぐ帰ってくる頃じゃない?」

「ん? あぁ、忘れてたわ。そういえば待ってたんだったな」


赤龍やら飛竜やらいろんな素材を売りに行ってもらってるんだった。


「さて、お腹が空いたし朝ごはん食べよ」


クルトが立ち上がり浴槽から出てゆく。


「お、なら俺も上がるわ」







「おはようございます、ガエルさん達が来てますよ」


食堂に入るとロンさんが朝食を運びながらテーブルを指差した。


「来たっ、ちょうど話してたんですよ」


クルトは自分の分の朝食を受け取りガエル達のいる席に座る。


「待たせたな。しっかり稼いできたぞ」

「お風呂上がり? もしかして湯船あるの?」


リャンは俺らを纏う湯気を見て目を輝かせる。


「もちのロンレルです。入ってきます?」

「え、まじ? じゃぁ、後で入ろうかな」


遠征でロクに風呂に入って無かったのだろう。

ギシギシの髪がそう訴えている。


「さて、今回の報酬だが、クルトの手紙のこともあって色までつけてくれたんだ」

「おっ、いくらでっか」


ガエルはニヤリと笑い、硬貨が入った布袋を机の上に勢いよく置いた。


「結果発表ぉぉぉぉ!!」

「なんと、金貨20枚だぁ!!」

「うおぉぉぉぉぉ!!!」

「うっひょょょょ!!」

「えぐぅぅぅ!!!」


金貨20枚だと……

そんな大金……

金貨20枚ってことは……

金貨……20枚ってことだから……


「ごめん……金貨20枚ってどんくらい……?」


あんまりこの世界の通貨の価値がわからん。

みんなに釣られて喜んだけども……すごいんか?


「金貨2枚で一生暮らせる」

「マジかよ! 一枚くれ!」


机に身を乗り出し袋に触ろうとするとクルトから叩かれる。


「これは復興用。1人のものじゃないんです」

「でも余るんだろ?」

「余ったとしてもこの領土の貯蓄だよ。貰えるとしたらお小遣い程度」


うそん。


「いやー、でもこれでなんとかなるでしょ」

「本当にありがとうございます」


クルトは深々とガエル達にお礼をし感謝を述べる。


「ガエルさん達に頼んでよかった。もしかしたら大金持って逃げるかもって頭をよぎった僕を叩いてください」

「よし、任せろ」


俺が袖を捲るとクルトが俺を睨む。


「エルに叩かれる義理も人情も仁義もないよ」


仁義って


「あ、少し待っていてください。人を呼んできます」


クルトは急いで防寒着を着て、杖を持ち、食堂を出る。


「ん? なんで杖?」

「さぁ?」

「クルトのことだから魔術じゃね?」


俺がそう言った途端、ロンの顔色が変わる。


「まさかっ──」


薄着のままロンは飛び出し、大声で叫ぶ。


「クルトくん!! 普通に迎えに──っ!!」


ロンの声をかき消す轟音が外に響き、窓ガラスがカタカタと震わせる。


「えっ! なに?!」

「ほらね」

「禁止にしてたでしょう……」


無力にもロンは膝をつき、クルトを睨む。


「え、あっ! 忘れてました。でもこっちの方が早いですよ?」

「常識の話をしてるんです!」







爆発からおよそ10分後、玄関の呼び鈴が聞こえる。


「キタキタっ」


るんるんのクルトはスキップで玄関へ向かう。


「いらっしゃいませ。お嬢様」

「約束通り来たの」


そこにはまるで甘い香りに誘われたカブトムシの如く、破壊の爆発に誘われたミルナが立っていた。


「約束ってミルナお嬢に何を言ったんだ?」

「ん? 魔術の衝撃波が来たらここに来て、話をするって


こいつ、国が滅ぼせる魔術を電話感覚で出したのかよ。


「えっ? ミルナってご令嬢様?」

「はい」


ホルスがその名を聞いてこっちに顔を出す。


「てか、城まで届く威力の魔術にここの子達は動じないってどんだけ撃ってきたのよ」


リャンがそう言いながらケイン達と戯れていた。


「師匠、話って?」

「あぁ、まぁ食堂で話そうよ」


そう言ってクルトは食堂へと戻る。


「さて、本題です。これはなんでしょう」


クルトはミルナに布袋を見せて息を荒げる。


「? 袋なの?」

「チッチッチ、ただの袋じゃぁないんです」

「布製?」

「袋の中身はなんだろうって話ですよ。お嬢様」


自慢げにクルトは袋をミルナに渡す。


「? 開けていいの?」

「もちのロンレル」

「その言葉、流行らせないで下さい」


ミルナは袋の口を開き、手のひらに中身を落とす。


「えっ?! 全部金貨!?」

「ふふん。成功するまで内緒にしてたけど、これで復興費用は足りるよね」

「こわいの! 汚れたお金なの!」


ミルナは手に持っていた金貨をそっと机の上に置いてその場から離れる。


「違う違う。ちゃんとしたお金だよ」

「でもこの短期間でこんなお金用意するには犯罪しかないの」


確かに、常識的に考えればその結論に辿り着くしか道は無いよな。


「見損なったの! 師匠!!」

「落ち着いて、詳しく話すから」


クルトが近づくたび、ミルナは距離を取る。


「信用なくて草」


俺はクルトを見て嘲笑った。







「本当なの?」

「本当だよ」


ミルナに一生懸命説明をし、なんとか納得してくれたのか、ため息をついてクルトが椅子にもたれかかる。


「ミルナお嬢も理解してくれたことだし、領主さんに持っていこうぜ」


俺は机に散らばった硬貨を集めて袋に入れ、お手玉みたいに投げて遊ぶ。


「そうだね、ミルナ」

「はいなの」

「任せた」

「え」


他力かよ。


「クルトは行かねーのか?」

「なんか疲れた。ミルナとガエルさん達が行った方が話がまとまるでしょ」


一番の功労者が行かなくてどうすんだよ。


「クルトくんも行こうよ。そっちの方が話早いって、ブリタリアの話とかも」

「えー、だってただの子供が行ったって余計に困惑でしょ」


だらけるクルトをリャンが引っ張る。


「外寒いし」

「それが理由だろ」

「バレたか」


リャンに無理やり立たされ、なくなく身支度を始める。


「ロンさんも行く?」

「いえ、留守番しときます。寒いので」


おい、お前もか。


「エルも行くでしょ」

「あたぼうよ」

「そんな薄着でか?」


ガエル達は俺の服装を見てそう言った。


それもそうか、俺はいつもの動きやすい服装のままだ。


「正装ぐらいは来た方がいいんじゃね」

「無いっすね」

「上着は?」

「要らんっすね」

「寒いだろ」


はっ、寒いだって?

小学校に1人は居ただろ?

真冬なのに半袖半ズボンのガキが。

それが俺だよ。


「寒い暑いは甘えだぜ」


俺はかっこよくそう言い放ったが、本当は纏魔の影響で体に膜を覆ってるからあんまり温度に敏感じゃ無いだけだ。


「偉い人に会うのですからこれぐらいは来てください」


ロンがどこからか出してきた少し洒落た上着を渡してくる。


「こんなのあったんだ」

「えぇ、昔買ったんです」

「へー」









やってまいりました、エスタ城。


でかい門構えがいい面をするその城は、この国の象徴であり、誇りである。


前に来た時はほとんど意識なかったからなんか新鮮ですね。


「ミルナ様、お帰りなさいませ」

「帰ったの。お父様はどこにいるの?」


門に立っていた2人の兵士は顔を合わせて、ミルナを見る。


「お客人でしょうか?」

「そうなの」

「この国の命運を握ってる客です」

「調子に乗らないでのよ。エル」


兵士の1人が門の中に入り、その場から消える。


「少々お待ち下さい。今、確認してまいりますので」

「分かったの」


こうしてみると、ミルナって本当に令嬢なんだな。

いつもはちょっと金持ちの友達感覚だったけど、門番に見せる佇まいとか、口調とか本当に偉い人って再確認できる。


「初めて来たけど……なんて言うかでかいね」

「そうだな、職業上こんな所に来るなんて思っても見なかった」

「エルは一回来たんでしょ?」


皆は城を見上げながらそう呟く。


「あんま覚えて無いけどな。ロンさんが言うには勇者パーティの1人が連れてきてくれたらしい」

「お前が気絶ってどんな奴にやられたんだよ」


ガエルは鼻で笑いながら俺をみる。


そういえばあん時いた男も勇者パーティだったんだろうな。


強かったな……、俺が邪魔してなければ、俺がもっと強ければ勝てたのかな……。


「どうした辛気臭い面して」

「いや、たらればだ」


そうこうしているうちに、門番の1人が帰ってくる。


「お待たせ致しました。応接室に案内させていただきます」


でかい門が開き、俺らは中に入ってゆく。


「すげぇ。庭もめっちゃ広ぇ」

「少しも誤差のない手入れだね」

「こんなのいくらあったら買えるんだよ」


ガエルは手に持っていた金貨20枚の袋を見つめながらそう溢した。


おい、使うなよソレ。


「庭に噴水って、王道だな」

「よくわからん像が立ってるよ!」


クルトははしゃぎながら叫ぶ。


「なんだ? あの果物?」


ホルスが見ていた植木には見たこともない水色でまんまるの果実がなっていた。


「ミートジュースなの」

「ミートジュース……?」


その場にいた全員が聞き返す。


「中に限界まで圧縮された水が入ってるの」

「ほほん。食べたら内部から破裂しそうだ」

「するの」

「するの!?」


恐ろしいモンを育ててるな……。


「こちらです」


門番はそう言って門構えよりも遥かに大きい玄関の扉を力一杯押して開け始めた。


「試しの門かよ」


あまりにも重すぎるのか、門番の顔が赤くなっている。


「手伝いましょうか?」

「い……いえ」


プルプルとする門番に同情して俺は扉に手を置いて力を貸す。


「えっ……軽い?!」


苦戦していたはずの扉は軽々と開き、門番が驚く。


「鍛えてますんで」


驚きと情報処理が追いつかない門番はきょとんと口を開けて「うそん」と一言。


門番以外は驚きもせず、ミルナに続いて中に入る。


「でけぇ」


その一言に尽きる。


玄関は家の顔とは言うが、なんと言うかどこまでが顔なんだ? と、思うほどの広さ。

天井なんて何メートルあるんだよ。


「吹き抜けなんて言う概念超えてるよ」

「どうやって天井作ったんだろうな」

「人間ってすげぇ」


「こっちなの」


ミルナに言われてついて行く。


正面にあるでかいホテルでしか見たことない振り分け階段を横目で見ながら、右に曲がる。


「この正面の部屋なの」


玄関から歩いて約1分。

駅近ではないが、とても立派なワンルーム。

ワンルームと言ってもおよそ30畳ちょいぐらいはあるその部屋は正八角形に作られており、いくつかのテーブルが配置されている。


間仕切りの一切ないその広さは一般のリビングより断然広く感じる。


「ちょっとしたパーティ場だな」

「ここが応接室ってほぼ教室だよね」

「落ち着かねぇ」


入り口でたむろっていると、後ろから1人のメイドがやってくる。


「お待ちしておりました。ご主人様が来るまでお席でお寛ぎ下さい」


言われた通り席に座るが、ソワソワと皆が辺りを見渡す。


「あ、モナさん」 


ティートロリーの音でクルトが入り口へ振り向くと、見たことのあるメイドが中に入ってくる。


「お久しぶりです。お茶のご用意をしましたので、お飲みになってください」


ミーガバードで一度、ミルナと一緒に来たメイドのモナは一人一人に紅茶をテーブルの上に置いて行く。


「いい匂ーい」


リャンはその紅茶の香りを楽しみながら口に含む。


「おいしっ、これなんて言う茶葉ですか?」

「ゴールド・ペリエン・ブルーです」


スタンド名かよ。


「へー、初めて聞いた。これ好き」

「お口にあってよかったです」


独特の甘さの香りに、口の中に残る酸味、鼻を突き通る爽快感、なんと言うか苦手だわ。


「エルは苦手だよね。紅茶とか、ジュースとか」

「水が至高だからな」

「まだまだ子供だね」


リャンは俺を見て笑って紅茶を飲む。


水は至高だが、緑茶は最高到達点だ。

ジュースは歯が軋むからあんまり好まんし、紅茶は後味がきつい。


やっぱ緑茶だろ。

この世界にないんかな緑茶。

ないなら作ろうかな。


「お待たせ致しました。カモク・エスタ領主様がお見えです」


メイドの1人がそう言った途端、ガエル達は席を立ち、入口の方へ顔を体ごと向ける。


「えっ、立つの?!」


驚いて俺とクルトは釣られて同じ作法を行った。


まぁ、立つか普通。

偉い上司とかにもやるしな。


「遅れてすまない。楽にしていいぞ」


そう言われてガエル達は席に座る。


「はぁ……で、用は?」

「は、はいっ!」


ガエルは再び席を立ち、緊張した面持ちで説明を始める。


「こ、今回は復興についてのお話をさせて頂きたく……馳せ参じました……あ、えっと……まずは自己紹介? を──」


あまりにも焦っているガエルをみて笑いそうになったが、堪えながら話を聞く。


「ガエルさん。僕が説明します」


痺れを切らしたのか、クルトは席を立ち、カモクの前に立つ。


「す、すまん」

「──ぶぼっ」


ホルスが我慢できずに紅茶を少量吹き出したが、ソレに構わずクルトは話を始める。


「急な面会失礼致します。ミーガバードでミルナお嬢様に魔術を教えているクルトです。訳あって姓は伏せさせてきただきます」

「君がミルナの──」


カモクはそう言って顎に手を置き、クルトを見る。


「話は長くなるか?」

「出来るだけ手間を取らせないよう善処致します」

「そうか、席に着こう」


カモクはクルトの横を通り、俺らの向かいのソファーに座る。


「単刀直入に聞きます」


クルトも俺の隣、カモクの正面に座り話を始める。


「なんだ」


モナがカモクの紅茶をテーブルに置く。


「復興の目処は立っておりますか?」

「……」


カモクは黙ったまま紅茶を飲む。


「ここ3ヶ月、街の瓦礫はそのまま、北区の住人は住む場所がなく、さらには他の地区の住人から酷い扱いを受けておりますが、お耳に挟んだことは?」

「……知っている」


ティーカップを机に置いて居心地が悪そうに頷いた。


「では、その解決策はございますか?」

「そんなことを聞きに来たのか?」

「いえ、目的は違いますが、少しの好奇心です。子供ですので」


クルトはカモクに睨まれても少しも引かず前に出る。


「目処もなにも金がない。元々北区の改革は始めていた。しかし全てが水に流れた。この10年、全てがだ」

「改革……?」

「あぁ、北区の現状は私が領主に着く前、前任者……私の父の不当な勘定で起きた事態だった。そのせいで働き口がなくなった者達の掃き溜めがあの北区だ」


クルトの疑問に答えるカモクは続ける。


「だから私は失業者たちに公共設備の建設に雇用しようと考えていたんだが……」

「北区の一揆が起きたと……」

「あぁ、その通りだ。北区の奴らは私が奴隷にすると思っていたらしい」


カモクは右手で顔を覆い、ため息をつく。


「何のためにやって来たのか、誰のために奮起してたのか分からなくなった」

「だから放棄したのですか?」

「そもそも私は人の上に立つ立派な人格者じゃないんだ。ただこの血に生まれ、そう育てられ、強制的に決まっていただけのこと……。上手くいけば私はこの立場を辞退し、民主的な国にしたかった。もう少しだったんだ。なのに……なのに──」


クルトは口を開く。

カモクが言いかけたその名を。


「ジィーナスさんが死んだ」


その名を聞いてカモクは手を下げてカップを眺めて頷いた。


「ジィーナスは優秀だった。元は一般家庭に生まれた5人家族の末っ子だ。それを理由に逃げもせず、血縁なんてものを言い訳にせずこの国の二番目に偉い騎士になった」

「……」

「私はジィーナスに彼に次いで欲しかった。それが適任だったんだ」

「ジィーナスさんは僕らもよくして頂きました。さらに言えば助けられたのは僕だけでした。謝罪をさせて頂きたい」


クルトは立ち上がり、頭を下げる。


「おいっ! そのことなら俺がもっと早く行ってれば助けられたんだよ! 領主さん、俺からも謝らせてくれ」


俺も立ち上がって頭を下げる。


「やめろ。もう終わったことだ。まして子供が何かできる訳じゃないだろう」

「……」


俺らは黙って何も言い返せなくなり、静寂が部屋を包み、リャンのカップだけが鳴る。


「お父様。もう止めるの、終わったことなら今度は大人が何とかする番なの」


無音を切り裂いたのはミルナだった。


「じぃが死んでからやる気がないの。ならあたしは婚約を破棄するの」

「勝手にしろ」


その言葉にミルナは何かが切れたのか、立ち上がり、テーブルを叩く。


「お父様! お父様は、そのままでいいの!? 何もせずただ死んだ人を、じぃを失って立ち止まるの!?」

「子供のお前には分からん話だ」

「うるさいの! 子供子供って、お父様よりも遥かに師匠とエルの方が立派なの!!」


ミルナ俺らを指さしてそう叫ぶ。


「武術の師匠で実の母を殺せるの!? 友達のために命をかけれるの!? それをこの領都のために、住人の為に、2人はやってのけたの!!」

「戯言──」

「事実!! 見てもないのに、知ろうともしないのに、何が嘘だって何が本当だって決めつけるの!!」


ミルナは止まらない。


「昔のお父様はかっこよかった! だから言うことを聞いてきた、なのに今は子供みたいにうずくまって挙句の果てにはじぃに立場を譲る? で、死んだからもう手はないみたいな、詰みみたいなこと言って、自分自身に腹が立たないの!?」

「み、ミルナ? ちょっと落ち着いて……」

「あたしは変わった、じぃが居なくなって寂しいけど、それを糧に前に進むって決めたの!! で、お父様は何をするの!!」


今にも振り落とされそうになっている拳を俺は止める。


「あたしは決めたの! こんなとこでのうのうと安泰なレールに引かれるぐらいなら、魔術を知って、魔術を学んで、自分から進んで冒険者になるって!! それがあたしの夢中になれる事なの!! お父様はどうするの!?」


「……夢中、──か」


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