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デスターン  作者: 春川立木
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プロローグ 辰春高校銃乱射事件

投稿はランダムです。

てへぺろ

9月14日、8時02分頃ある日本の高校で2年生7名が元教師の本庄守容疑者(32)に銃殺される大事件が起きた。容疑者の本庄は7名の生徒を殺害したあと自ら銃を発射し死亡したニュースが話題になった。

警察によると本庄は教員の時に生徒へ性暴力を繰り返し行なったことで免職されており、腹いせに犯行に及んだのではないかと調べている。


__________________________________________

9月14日7時40分


「あ゛ーまだ寝てーよ」


夏休みから二週間がたっているが、未だに昼夜逆転が治りきっていない俺はでかいあくびをしながら登校していた。

それにしても暑いな9月って言ってもまだ夏みたいなもんだろ、休ませてくれよ…


「おは〜」


愚痴を吐きながらトボトボ歩いていると横から声が聞こえる。


「朝から元気だなお前は」


はぁ、とため息をこぼしながら隣を見る。


『加賀ゆうじ』

可愛らしい見た目をした爽やかな男で同性の俺からみても惚れてしまいそうだ。


ゆうじは満面の笑みでこちらをのぞいてくる。


「どうしたの?元気ないね」


なんだよそんな目で見るなよ照れるだろ。

くそう。俺もこんなに可愛く生まれたかったぜ。


「そりゃそうだろ、こんな楽しくないクラスの状態じゃ学校に行きたくなくなるわ」

「確かに」


コロコロと笑うゆうじ。

男の俺からしても可愛いと思ってしまうその仕草にもし俺が女だったら食べてたかもな。


「まぁ、僕はとしひでが一緒に学校に行ってくれるだけで楽しいけどね」


追い討ちをかけるようにゆうじが俺に目がけてバックスタブをキメる。

こいつはなんだ、BL製造マシンかよ。恐ろしいよほんと。


「それはそうと今日も来てんのかな…」


ゆうじは誰が?とは聞こうとはしなかった。

この間まで学校に来ていなかったクラスメイトはあみ1人だけだったからな。

それどころか、か細い声で「だといいね」としか言わなかった。

それもそうだあんなことがあったのに俺らは知らずにふざけてたんだ。クラス全員が罪悪感に押し潰されている。


「美香もすごい嬉しがってたもんね」

「だな」


美香とは小倉美香。

俺の幼馴染であり初恋の相手だ。

かれこれ10年以上想いを寄せているのはここだけの秘密だ。


昨日、美香が大号泣していたことを思い出す。

あれは学校に、戻ってきたことに泣いていたのか、それとも気づいてやれなかったことの罪悪感で泣いていたのかどっちなんだろうな。

まぁどっちもだろうな。


「俺らがちゃんとあみのこと気にかけておけばここまでならなかったのかもな」

「そうだね」


7時55分

重い足取りで学校に着いた俺たちは教室に向かう。

入口には他クラスの女子達があみを見ながら話をしている。どうやら声をかけるかどうか悩んでいる様子だ。

噂が広がるのは早いもんだな、同じクラスの俺らは昨日知ったって言うのにもう学校中に伝わってるらしい。


「ねぇ、あんたあみと仲良いんでしょ。心配なら行ったらいいじゃない」

「でも、迷惑でしょ。去年同じクラスだっただけだし」

「南も似たようなことされたんでしょ。あんたが行ったら?」

「やめてよ。思い出したくもないクズ野郎を思い出させないでよ」


にしても入口にたむろってるのは邪魔ですよ、女子たち。

そう思っているとゆうじが声をかけにいく。


「ごめん。ちょっと中に入れさせて貰っていいかな」

「あっ、ごめん」


女子たちは申し訳なさそうに道を開ける。


「ありがとっ」


ニカッとゆうじは歯を見せ教室に入っていく。

俺もゆうじに着いてくように中に入る。


教室に入るとあみの席にはたくさんの人集りができていた。

中には美香もいる。


「あ、ありがと…」

「い、いや気づくの遅れてごめん…」


あみが秋人に対して深々とお礼をしている。


あまり詳しくはないが、何やら秋人がこの事件を解決したらしい。

もし秋人が気づかなかったらどうなっていたのか考えただけでも鳥肌だ。


顔を真っ赤にしながら頭を搔く秋人に横から茶々を入れている学。


この2人は小さい頃からの腐れ縁らしくとても仲がいい。

腐女子からは秋学ペアと言われてるらしいが、2人が知ったらどう思うのだろうか。


「トシヒデ見すぎだよ。美香の事」

「おいっ!見てねーよ秋人達を見てたんだよ!」

「まさか…男好き…」

「ちげーよバカ」

横でプププと笑うゆうじを尻目に俺は美香を見る。

美香は俺の初恋相手だ。初恋って言っても小学校の頃からの片想いだが。

美香はあみと仲がいい。いつも一緒に居て、いつも一緒に遊んでる、親友ってやつだ。

あみが学校に来なかった時1番心配してたのは美香だったし、昨日あみが来て泣いて喜んでたし、優しい子だよ。ほんとに。


「多分美香もトシヒデの事好きだと思うよ」

「ファッ!?」

「この僕が言ってるんだ、100%合ってるよ」


クイッとエアメガネをあげる動作をする。


「まて、俺は1度も美香のこと好きだって言ってないぞ」

「はいはい、そーだね」


8時00分

何やら校庭で叫んでるやつがいるらしく外が騒がしい。まぁ高校生ってそんなもんだろうな。

はぁー早く帰ってゲームしてぇーよ


8時02分


今度は廊下の方から叫び声が聞こえ、ドンッとでかい音がきこえる。

それに反応するように悲鳴まで聞こえてくる。

さすがにおかしいと思い教室を出る。


「は?」


俺は理解が出来なかった。

ここにいるはずがない元担任であみを甚振った張本人の本庄が立ち尽くしてた。

足元には先程教室の入口にはにいた女子が1人血を流して倒れている。

これが俗に言う目を見開く光景だろうか。


「なんで…」


そう漏らしたのはあみだった。

その声を聞いた本庄は嬉しそうでいて不気味な笑みを浮かべていた。


「あぁーみーちゅわーーん」


右手に持ってる拳銃を自分のこめかみにくっつけてウインクをする


「来ちゃった♡」


それを聞いた途端にあみがガタガタと震えだし尻もちをつく。


「あみ!」


それを庇うかのように秋人が近寄る。


「私のあみに触るなぁ!!」


近くの窓ガラスを撃つ。

割れるガラスが本庄の体に刺さる。

たがお構い無しにこちらに向かってくる。


「何しに来たんだ!」


秋人が叫ぶ。

しかし本庄は何言ってんだと言わんばかりに答える。


「何って迎えに来たんだ。私のあみちゃんを」

「お前のなんかじゃない!」

「じゃあ死ね」


本庄が秋人の脳天狙って銃を撃つ。

ドサリと落ちていく秋人。

床に血が滲んでいく。


「秋人っ!!」


慌てて学が秋人に近づこうとする。

それを狙うように本庄が銃口を向ける。


「学っ危ねぇ!」


引き戻そうと学に近づいて手を伸ばそうとするが足がすくんで間に合わずに学の腹にに鉛弾が入り込む


「私とあみの邪魔をするからこうなるんだ。お前らさえいなければ、私はずっと幸せのままだったんだ!」


何度も何度も銃を打ち続ける。


血しぶきが壁に窓に体に顔に飛び散ってく。


数発打ったところで弾が無くなり、ゲラゲラと笑いながら慣れない手つきでリロードをしながらあみの方へと近づいていく。


あみは何もできずに真っ青になった顔で秋人を見つめているだけ。

俺もゆうじも周りの奴らも理解が追いつかずただ唖然としている。


「やめてください!」


そんな中一人の女性が声を上げる


「美香!」


あみを守るように立ち塞がり本庄を睨みつける。


「あみが、どんだけ辛かったと思っているんですか!いい加減にしてください!」


怒号が廊下に響く。


「死ねよ」


そう一言本庄が言い放つ、銃口を美香に向けて。


『美香が死ぬ』


そう思った時すくんでた足が勝手に動いた。


「きゃっ!」


発砲音と同時に美香に体当たりする。


「としひでっ!おまっ…」


ゆうじが駆け寄って心配そうな顔をしている。

床には俺から流れてくる血が辺りを染めていた。


「美香は…」

「大丈夫怪我はない!」


倒れてる美香を見て安心した。


「よかった…怪我なくて…」

「良くないよ!こんなに血が…」


泣きながらそうゆうじが叫ぶ


「ゆうじ…俺死ぬわ…」


ニコッと俺は歯をみせる

最後くらいは笑顔で死にたい、そう思ったから。


「バカなこと言わないでよ。大丈夫だかっ…」


何かを言い終わる前にゆうじがその場に倒れ込む。


「ゆうじ…?」


ゆうじの後ろには煙を上げている銃口が向けられている。



「うるせぇよ。臭い青春の匂いさせてよぉ。虫唾が走りまくってくる」


唾を吐き捨てもう一発打ち付ける。


「あみちゃん?どうしたの?私のこと好きでしょ?」

「……」


あみは下を向いたまま反応がない。


「嘘をつくからこうなるんだよ」


死体の山を銃で指す。


「……やめて」


ずっと黙っていた、いや声を出せなかったあみが震えたか細い声で口を開く。


「?」


頭の上にクエスチョンを浮かべた本庄は首を30度に傾げる。


「もうやめて!」


今度は声を荒げて投げ捨てる。

精一杯の力を振り絞って。


「なんで?」


さらに首を傾げて質問する。



「私は…あんたのこと…嫌いなの!」

「…!」

「私の青春を…私の自由を…私の友達を…全部全部全部全部全部奪い去って…何が楽しいの!」


ゆっくりと立ち上がりながら涙でぐちゃぐちゃになった顔を袖で吹く。


「嘘だよね…?私のこと大好きでしょ?」


狐に摘まれたような顔をして、90度に曲がった首をゆっくりと戻していく。


「死ねばいいのに…」


その言葉がさらに追い討ちをかける。


「嘘だーーーーーー!!!」


奇声を上げるようにその場で叫ぶ。


「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」


急にシステムエラーを起こした機械みたくそう連呼する。


「そうだ、なら一緒に死ねばいいでしょ?」

「え…」

「そしたらあの世でみんな一緒だ。うん、名案だ」


銃口をあみに向け、なんの躊躇いもなく引き金を引く。


突然のことに理解ができないあみは自分が撃たれたことに気づいていない。

自身の目で見るまでは。


「えっ……」


目に映ったのは血だらけの胸部。

制服に滲んだ血は腕から手の先まで伝いポタポタと床に落ちていく。

その音だけが廊下に鳴り響いている。


「せめて可愛い顔だけは綺麗なまま殺してあげる」


あみがガクンと膝から倒れる。


その場に残っていた美香はどうすることも出来ずに絶望に打ちひしがれていた。

「お前も一緒に死ぬか?あっちでみんなと会えるよ。」


ああ、そうか死ねばみんなに会えるんだ。

死ねば楽になるんだ。よかった、絶望なんてなかったんだ。

そう頭によぎった美香はコクンと首を縦に振る。


「いい子だ」


一言そう言って眉間に銃口を当て美香を殺した。


「さぁ、あみちゃんあの世でまた会おう。この世界じゃあ誰も祝福してくれなかったからね」


自分のこめかみに鉛を打ち込む。

廊下には8人分の血が混ざり合い火薬の匂いと共にその場を包み込んでいる。


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