45話 仮眠中
サムのスケルトン軍団と合流してから恐ろしいほどに、サクサクと攻略が進む。
すでに当初予定していた二十五階層に到達していた。
仮眠や食事もダンジョン内ですませ、この階層までくると、魔女なのかダンジョン攻略者なのかわからなくなる。
あたしが仮眠をする場合、サム軍団が哨戒してくれるから、モンスターの出現に心配しなくてもいいのが利点。
それと、仮眠中に気が付いたこと――……。
やっぱりアンディは子供の姿をしているけれど、中身は大人なのかもしれないということ。
子供って拗ねるでしょ、嫌いな存在とは口も効かなかったりするはずなのに、アンディは結構サムとお話している。
サムのコミュニケーション力のせいかもしれないけれど。
「アンディさんは、強いっすけど、今までどこにいたんすか?」
「セントラル・ルビィかな」
「あ~ルビィ様のお膝元っすね~。セントラル・ルビィってどんな感じ?」
あたしも知りたいな……でも仮眠中。
意識は覚めてて、身体を休めてるだけでも、違うから、狸寝入り。
ごめんね、アンディ、サム。
「街には降りてないから、街はよく知らないんだ」
「……え、じゃあ、ルビィ・ダンジョンにずっと潜ってたって、ことっすか?」
「近いけど、そんなとこ。サムは、モンスターになったけど、どんな感じなの?」
「腹減らないっす!」
サム……そこかよ……。
「眠くもならないし、あと、攻略のレベルがサクサク上昇するっす」
「へえ」
「モンスターになって、ひと月すぎてないのに、前と同じレベルになったっす、ほら、見てみて、オレのダンジョン・カード」
おまえ、自分のダンジョン・カードを簡単に他人に見せるとか、それでも元攻略者なのか? まあ、あたしと隷属の契約を交わしてるから、あたしのダンジョン・カードからも、サムのスペックはわかるんだけど。
「すごいね……なにこれ、スケルトン・ジェネラルって称号」
「でしょでしょ~? もうテンション爆上がりよ!」
そうなのよね、サムがスケルトン・ナイトどころじゃなかった件……。
「ま、死んじゃったけどさ~第二の人生って感じっすかね~。心残りというか、一番心配してた妹のことも、エメラルド様が気にかけてくださって、様子を見に行ってくれたんすよね? だから、もう、オレ自身は、モンスターになっちまったけど、このダンジョンで頑張ろっかなって」
「切り替え早いな、サム」
「だってさあ~上見たって、キリがねえし。オレができそうなことやらねえと、せっかく魂持ったままモンスターになったし、死なねえからね。攻略者の経験もあるから、エメラルド様をお手伝いするっす」
アンデッド最弱スケルトンになったのに、サムってすごいな。
「恋人はいなかったの?」
「ぐはああああああああ! 痛いとこ突くっすね! ま、いいなあ~って思った人はいたっすけど~オレじゃなくても幸せになれそうだったんで、恋人になれたらそりゃよかったけど片想いっすよ」
「そっか。でも、エメラルド様は渡さないから」
おいおいおい。
アンディさん、何をおっしゃるの。
「かー! なんでバレてんすか!」
げ、そうなの?
目を閉じていても、サムが慌てて手を振ってる様子がありありとわかる。
骨が鳴るからね。
「僕は、エメラルド様の為に生まれてきたから。サムには渡せない。ごめんね」
……アンディ……あと、10年後ぐらいにもう一回言ってほしい。いや、今言われてもきゅんってするな。
自分で自分がちょろいのはわかってるもん……。
寝たふりしておこう。
「そうだ。サム聞いておきたかったんだけど、サムの仲間ってみんな元人間なの?」
「今のところは、10人前後って感じっすかね~。あとはダンジョンと一緒に誕生したモンスターっすよ」
「エメラルド様が地上に出ていた時のダンジョンって、ゾンビいた?」
「ちょっとはいたけど、逃げたよあいつら。そんでエメラルド様が出てくると増える感じで。でもさ~今回、合流して思ったのが、オレがスケルトンになった時と比べて、ゾンビはちょっと減った感じするね」
十五階層まではゾンビは湧き出るようにいた。
それ以降は出現率が減少し、出現するモンスターのレベルは上がってきてる。
例えば、あたしが仮眠しているこの場所は二十五階層と二十六階層の間。
ここにいたボスはゴーレムだった。
スケルトン軍団、いくら数の暴力って言っても、ゴーレムは堅いからな……。
あたしが初級魔法を組合せて、外側を削ったところで、アンディがクリティカルで倒したようなもんだけど。
「エメラルド様がいる時はゾンビ出現で難易度下げてるダンジョンって感じだね」
そりゃ素人が潜るダンジョンだもんね。
「いない時はわりと上級ダンジョンじゃないっすかね。スケルトンの身体とかも、ぶっ壊れるけど、頭蓋骨無事なら魔素で修復されたっす。さーすが、アンデッドって感じ」
やっぱり、旧エメラルドダンジョンと同じなのか……これだけのアンディやスケルトン・サムの支援を受けても、中層の気配は感じない。
アダマント様も言っていたじゃない。
五十だろうが百だろうが、とにかく中層を攻略って。
起きたら、進もう。
できるだけ、深く、一層でも近く、中層に向かって。




