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44話 「僕はエメラルド様の相棒ですから」

 



 サムはスレイプニルに乗ったまま、あたしとアンディの傍までくる。おい、スレイプニル、お前、あたしを蹴とばすなら馬肉にするわよ?

 そんな心の声が聞えたのか、スレイプニルはブルブルと嘶く。


「やっぱりエメラルド様! お待ちしてましたよ~!」

「サム、あんた、どうしたの? このスレイプニル」

「えへ、捕まえちゃった」


 ポリーの『えへ』って笑うのとなんとなく被る。

 やっぱり兄妹ね。


「積るお話は、こいつ等をやっつけたらにしましょうかっ!」

「そうね」

「おーし、お前達っ! やっちまいなー!」


 サムがそう叫ぶと、砂埃をあげて隊列を作って進軍してくるスケルトン軍団が、残ったゴブリンとゾンビの団体に切り込んでいく。


 速かった。


 スケルトンって骨だけでしょ?

 軽いでしょ? まさに疾風って感じで白い団体がやってきて、ゴブリンとゾンビを切り込んでいく。

 あたしとアンディを阻むようにいたゴブリンとゾンビの団体は魔素化して消えた。




「エメラルド様が地上に戻ったら、ヒマでヒマで~。攻略進めて、二十二階層まで行っちゃいましたよ~」

「二十二階層!? サム、何かあったの?」

「なんもないっす。ただ~十三階層でひととおりモンスターと対戦して、十四階層でボスを倒したんすよ」

「ボスは何がでてきた?」

「バジリスクっす」


 そこはあたし達とかわらない。あたし達も十四階層のボスはバジリスクだった。

 そして十四階層でサムはモンスターを討伐しつつ、アンデッド系モンスターを見つけて、お喋りしていたようだ。

 コミュ力すごいな、こいつ。

 その中で、サム自身がコミュニケーション取れるのが、スケルトンのみだったらしい。


「腐っても脳味噌あるのに、ゾンビって、こっちの言うこと聞かねえんすよ。な?」


 連れているスケルトンの団体に同意を求めると、スケルトン達は首をカクカクと縦に振る。


「そんな感じで~十四階層と十三階層を行ったり来たりしてたんすけど……オレ等人数増えちゃったんで、じゃあ、ちょっと上に行ってみるか~ってなって、攻略したらその場で階層を進めたり戻ったりしつつ、二十二階層で、なんか雰囲気が変わったんで、エメラルド様がダンジョン入ったかもって思ったんで、超特急で戻ってきたんすよ」

「ボスを倒した階層を戻る時は、ボス部屋にモンスターは?」

「だいたいいませんでした。一回倒したからかも。いてもオレ等、団体で通っちまうから、ボスあんま意味がないっす」


 さっきの戦闘といい、ボス部屋通過といい、数は暴力って体現してるな。


「まだまだ聞きたいこともあるけど。先に、アンタに一応、契約魔法をかけておきたいの」

「いいっすよ」


 サムはあっさりと答えた。

 悩まないのか? いや、本人がいいって言ってる間に隷属の魔法をかける。

 後でやだ~とか言われないとも限らないし、これだけ仲間の数が増えちゃえば、反乱なんか起きたらあたしとアンディでも討伐一苦労するわ。

 隷属の契約魔法をかけたけど、効いてるのかな……。


「ダンジョン・カードで確認できます、エメラルド様」


 サムに聞こえないようにこそっとアンディが囁くので、あたしは自分のダンジョン・カードを見る。

 あ、隷属魔法効いてる。項目が増えて、サムの名前があった。よし。


「へえ~しっかしエメラルド様って器用っすねえ。魔法も結構多種に渡って使えるでしょ? なんでいままでダンジョンに潜らなかったんすか?」

「付与魔法だけでダンジョン入れるわけないでしょ、魔女の後継に選ばれるなんて夢にも思わなかったわ……それとサム……」

「へい?」

「ポリーに会ったわ」

「おお! 元気でした?」

「うん。元気だった。ついでに占ったけれど、ポリーにはこの先、幸運があるわ。結婚と仕事、彼女はどちらをとっても幸せになる」

「どうせなら、結婚も仕事もどっちもとれ~。どっちも幸せなら二倍効果っしょ?」


 ブイサインをしてみせるサム。

 ……そうくるか。

 でもポリーの前向きさとこのサムの発言は、兄妹って感じするわ。

 ちょっと羨ましい。


「なんすか、なんすか~二人とも、同じ表情かおして~」


 あたしとアンディが顔を見合わせる。

 なんだ……アンディもサムとポリーが羨ましいのか。

 そりゃそうだ。

 アンディはまだ子供。親がいたら、親に甘えたいだろうし、兄弟がいたら可愛がるし、可愛がられるだろう。


「アンディ、エメお姉ちゃんっていってごらん」

「いやですよ」


 即答かいっ!?


「じゃあエメお母さん」

「もっといやですよ」


 なんでよ⁉ もう! あたしには親も兄弟もいないし、このさき子供は望めないし、ならアンディを弟とも、ちょっと年が近いけど子供とも思って、傍にいてもいいかな? ぐらいは一瞬考えたのに!

 そうかそうか、アンディにとって家族はルビィ様なのか。アレクは可愛い妹みたいなものか。

 あたしはやっぱりぼっちですか。そーですか。


「もう可愛くないなあ」


 あたしがそう言うと、アンディはくすりと笑う。


「前から言ってますが、可愛いよりも、カッコイイって言われたいです。僕はエメラルド様の相棒ですから」


 あたしはアンディの頭をこれでもかってぐらい撫でまわした。

 ちくしょーカッコイイじゃないの!





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