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34話 「待って、待って、殺すなー!」

 



 五階層のボス部屋で一息ついて、またダンジョン攻略へ――。

 七階層まではアンデッドは変わらず、他のモンスターは割と、変化してる。

 スライムあんまり見なくなった。

 その代わり、ゴブリンが出てくるようになったよ。

 あたしもダンジョンでの討伐に慣れて、モンスターの容姿にビビることもなくなったし。

 ゾンビと大差ないし。

 ちょっと鬼っぽいけど小柄だし。

 ただゴブリン……スケルトンと同じでこいつら団体戦が得意なのよ。

 剣術の得意なスケルトンの団体よりゴブリンの団体はなんていうか、動きが無軌道なのか。

 とにかく押せ押せでやってくるのよね。整然としてないというか。めっちゃモンスターっぽいの。

 スケルトンは骨のクセに頭いいのかな。動きや隊列がしっかりしてる。

 頭蓋骨の中にまだ脳味噌あるのか。(頭部をメイスで殴り倒した時は空だったから、違うのはわかってます)


「あと二階層で十階層到達ね……」

「はい」

「ちょっとポーション飲む。アンディもいる?」

「大丈夫です」

「タフだな~」

「子供はタフですよ」


 それには同意。

 でもアンディは多分中身は子供じゃない。アレクの方が無邪気だし、子供子供してるところがちらほら見えるけれど。

 アンディはやっぱりアンディさんとか呼びそうになるわ。


「エメ様が、強くなってる証拠にゴブリンが出現してきましたからね」

「そうなの?」

「ルビィ様が言うには、サファイア・ダンジョン、十階層までスライムとアルミラージだけだったそうですよ」

「あとゾンビ」

「そう、スケルトンもグールもでなかった」

「そうなの!?」

「そう聞いてます」


 なんであたしだけ!?

 アンデットがこんな多種にわたって出現するの!?

 あれか、やっぱりサンドラがあのあと入った影響なの?

 ちょっと戻ったら、偉い人達の検証を大人しく聞くわ。

 知りたいし。


「エメラルド・ダンジョンは規格外ってことですかね」

「……ゾンビを作りすぎて、ダンジョンが混乱してきてるんじゃないの?」


 あたしが不貞腐れたように言い放つと、アンディはぷっと噴き出す。


「可能性はありますね。先代は優しい魔女だったから、住民は付けあがってるんじゃないかな……だからこの魔女のダンジョンに勝手に入ってくるんだと思います」

「あたしは優しくないわよ」


 どうでもいいヤツはダンジョンに放り込むことも吝かではないし。

 本当に優しい人ならきっと相手が誰だろうと、ダンジョンに入るなっていうし、止めるだろうな。


「それでいいと思うよ、エメ」


 ……ちょっとドキっとした。

 敬語と敬称がない言葉に。

 いやいやまって、あたしがいくらチョロイっていっても子供に対してドキはないでしょ。

 でもなんか嬉しいな。


「魔女には畏怖と敬意を持って接するっていうの、このセントラル・エメラルドには欠けていると思う」


 確かにそうよね。


「だから、僕はエメを護るよ」


 ……か、カッコ可愛い……ってヤバイなこの子。

 いや、ヤバイのはあたしか。

 はは。しっかりしろー、あたし。ここは地上じゃなくてダンジョンの中よー。

 おまけにこの子、まだまだ、子供なのよー!

 ぱっちーんと両手で自分の両頬を叩く。

 その様子にアンディはビックリしたみたいだ。

 ただ、あたしを見るがすぐに目の色がグリーンから赤に変わって、別の方向へ視線を向けた。

 ああ、あたしにもわかる。

 気配でわかる。

 アンデットだ。ゾンビかな……スケルトンかな。


 スケルトンか……。


 あたしはメイスを握り光学迷彩マント一振りして姿を隠す。

 アンディがスケルトンへ走り込むと、スケルトンは逃げ出す。


 はい?


 待って、何お前、逃げるの?

 いままでアンデット、絶対こっちに向かってきたよ?

 怯むことはあっても、こんなあからさまに逃走する素振りなんかなかったよ?

 コイツなんなの?


「アンディ、待って」


 あたしがそう声を掛けると、アンディは動きを止める。

 だいたいはぐれてスケルトン一体ってないわー。


「ねえ、コイツ、なんなの?」


 メイスをヤツの足、脛骨の部分に叩き込むと膝関節がぴょーんって飛んで行って、慌てて拾ってくっつけようとしてるし……なにコイツ。



「待って、待って、殺すなー!」


 スケルトンが喋った……。

 スケルトンは片手を広げて、もう片手で膝関節をうまくくっつけている。


「お前、なんで会話できるの?」


 あたしがそう尋ねるけれど、スケルトンが答えるよりも早く、アンディがブンッとバトルアックスを振りかざす。

 スケルトンはバトルアックスを自分の剣で受け止める。

 受け止められるんだ。

 ていうか生前それなりのレベルの攻略者だったのかな?

 いやいや、モンスター一律レベルダウン説はどうなる。


「なんでこの子はアンデッドにならんの? 狂犬なの!? 小型犬の皮を被った狂犬なの!?」


 スケルトンは、歯をカチカチ言わせながらも、話しかけてくる。

 アンデットモンスターに知り合いはいませんよ。

 あんた誰よ。

 アンディ以外に会話ができる時点で、毒気が抜かれたし。しかもそれがアンデットモンスターって……スケルトンって……。


 絵面がまじでシュールすぎるでしょ。




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