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23話 「視界に見える範囲の敵を片付けます」

 



 アダマント様とルビィ様に紹介された男の子、アンディと名乗るお人形みたいな綺麗な男の子を伴って、ダンジョンに入り――今どこにいるかというと、五階層と六階層の間のエリアですよ。

 ……何がどうしてこうなったのかは、つまり、やっぱり、彼のおかげというしか他ならない。




 二階層に入った途端、ゾンビがうじゃうじゃいて、内心「ほんともうヤダー!」と叫んだ。

 実際は言葉になんかできないで、息を止めるのが精いっぱい。

 そんな状況で、「とにかく一掃するよう努めますが、漏れたらお願いします」と、肩越しに振り返るアンディさんは瞳の色が変わっていた。

 比喩とかじゃなく……。

 ダンジョンに入る前は、木漏れ日の下で、エメラルドみたいな瞳をしていたのに、瞳の色が赤くなっていた。アレクも魔法を発動すると、瞳の色が緑金から金色に変わる。

 ベテランも、身体強化的な魔力循環で瞳の色の変化があるって聞くけれど……。


「視界に見える範囲の敵を片付けます」


 いつ取り出したのか、手には既に剣が握られていた。

 そこから、アンディさん無双……。

 速すぎて目が追えない。あとでダンジョンカードに記録されてる動画を視聴しよう……ってぐらい速い。

 ゾンビになった奴等のダンジョンカードを拾い集めることぐらいしか二階層ではしなかった。

 でも、この子は魔女じゃないから、先陣切っても潜行はできないというか、ダンジョンが魔女を求めるからなのか、一人で突っ走らせると、ボス部屋とは違う方向へ行きそうになる。


「あ、アンディさん……その、そっちじゃなくてこっち」

「え?」


 分かれ道へ進みそうになること数回。

 それでも、一時間もしないで、二階層のボス部屋に到達。

 ダンジョンアナウンスもカードも鳴らない。

 ただ二階層のボスを倒した時は、ダンジョンアナウンスが、このまま三階層にいけますと案内が……。

 あたし一人で、時間いっぱい使って二階層攻略したら、きっとここで終わりで地上に戻れたんだろう。

 この時も当然、地上に戻る選択もあったんだけど、この速さで戻ったら見送ってくれた人も「なんで戻ってくるの?」になるだろうし。


「三階層、行きますか? エメラルド様」


 ニッコリ笑って振り向いたその目は、また緑色に戻っていた。

 やっぱり敏捷とかパワーとか、あたしが付与をかけなくても、全然問題ないですよ、むしろ邪魔だわ。

 この子もルビィ様の秘蔵っ子なのか。

 なんで一時間で二階層攻略できるのか……。


「その「様」はやめてね。アンディさん」

「僕の方が年下なので、呼び捨てで結構ですし、なんで「さん」付けなんですか?」


 だって貴方めっちゃ強いじゃないの。

 あたしと貴方じゃ、レベル違いすぎて、むしろこっちが様付けで呼ばないとダメじゃん。

 二階層で拾ったダンジョン・カードは15枚。

 あとはほんとに雑魚いモンスターの魔石とか初期装備なんかのアイテム。

 あと半分以上のゾンビがこのダンジョンの中のどこかにいる。


「アンディさん、ゾンビ化した人間は、魔女が再びダンジョンに入ると、ほとんど全員二階層以降にいるの?」


 あたしの質問にアンディさんは小首をかしげる。


「どうしてですか?」

「いや、その、もう一回、二階層とか、いけないかな……と……」


 あたし、全然戦闘していない。

 レベルも上がってない。

 それで三階層に行くの?


「ダンジョン攻略が最優先ですよね?」


 そうなんだけど……。

 戦闘の訓練、ダンジョン命がけの覚悟とか、全部無駄だったんじゃないかというか……。

 べ、別にダンジョンに入って、あたしも脳筋の仲間入り! ってわけじゃないわよ?

 でも多分さ、歴代の魔女……亡くなった先代のエメラルドも、きっとソロでダンジョン攻略したんだと思うの。

 そういった実績とかに裏打ちされた実力で、セントラル・エメラルドを統治していたんだろうし。

 それに比べてあたしときたら、ゾンビ化しない強力な助っ人を伴ってのダンジョン攻略で二階層なんか全然手だししてないし……


「よくわからないのですが……僕、何かまずいことしました?」


 いやいやいや、全然、めっちゃ頼りになったよ!

 そうじゃなくて……。


「アンディさんに協力してもらってズルしてる感じがするの」


 その言葉を聞いたアンディさんは腕を組んで綺麗な目を閉じる。


「僕はいらない?」

「まさか! 心強いわよ! でもね、違うの……」


 あたし、何も本当に何もしてない。

 それでいいのか? ってことよ。

 彼は綺麗な瞳を開けて、あたしを見て言う。


「この新規のエメラルド・ダンジョンは超深層ダンジョンで、ダンジョン攻略のスピードを上げていくために今回、僕が同行しているんですよね?」


 ええ……そうです。

 あたしがちんたらやってても意味がないから、アダマント様もルビィ様もこの子を連れてきてくれたんだ。わかってる。

 彼は小さな掌をあたしに向ける。


「とりあえず、五階層まで進みましょう」


「え?」


「エメラルド様は、ダンジョンを攻略したという実感が欲しいんですよね。だから最速で五階層に進むので、改めて、エメラルド様が二階層から攻略していく形をとりましょう。でも、危険だったら僕が片付けちゃいますね」


 彼は人差し指を立てて唇に押し当てて微笑む。


「いいの……?」


「もちろん。このダンジョンは貴女のものです。僕はその中で貴女を護ります」


 可愛さにズキュンってきちゃうじゃないですか!!



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