表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

背中がいたっ



どーんっ。



「わあっ?」



がったーん、がたがたがたっ。



「うおっ?」



ごろごろごろ、しゅたっ。



「…ふう、あぶなかった…敵襲でしょうか。」



額ににじんだ汗を拭って、きょろきょろとまわりを見てみましたが、転がった柳川くんしか見当たりません。



「…大丈夫みたいですよ、敵はもういないみたいです。」



学校の廊下を歩いてるだけで襲われるとは、なんとも物騒な世の中ですね。


うっかりうかうかしていられません。



「なんでお前、受け身とかとってんだよ!俺転がったのに!」


「あ、わたし柔道剣道合気道初段なんです。」


「何者だよ!」


「田鍋こえり、女子高生ですが。」


「くそっ。」



くそっ。て…


なんてベタなひとなんでしょうか、柳川くん!

流石はわたしの好敵手です。

ベッタベタすぎです。



「…ふっ、まあいい。聞いて驚けよ!」



もうちょびっとだけ、驚いちゃってますが。


びしいっとわたしに人差し指を向けて、どこぞの悪代官さながらに、柳川くんは高らかにいいました。



「襲ったのは俺だ!」


「ええっ。」



ああっまんまと驚いてしまいました。

なんだかくやしいです。

でも、どうしてそんなことをしたのでしょうか。



「…わからないみたいだな。」


「はい、すみません…。」



それもそうなんですが…

柳川くんは、自分で襲っておいて一緒に転がったんでしょうか。


お約束なひとなんですね。

なんだか素敵です。



「お前、誉とキスしたんだってな!」


「ええっ何故それをっ。」


「ふっ、俺が知らんと思うてか!」



ああ、ちょっと時代劇っぽいです。

どうしましょう。

胸がときめいてしまいます。

あ、わたし水戸黄門すきなんです。

どうでもいいですか、そうですか。

ちなみに、桃太郎侍も全部録画してあります。


枝豆をつまみながら見ると、なかなかに乙なものですよ。



「聞いてんのか!」



ああ、すみません。

桃太郎侍に気をとられてしまいました。



「お前…誉のことどう思ってるんだ!?」


「あ、それオレも聞きたいなー。」



…ん?


おそるおそる振りかえるわたしと柳川くん。



「「…わあああっ?」」



ハモりました。

ええはい、ハモっちゃいました。



「…どーしてみーこの背中、ほこりだらけなの?柳川?」



黒い、それはもう真っ黒マックスなオーラをまとった誉くんが、わたしたちの後ろ、教室のドアのところで、やっぱり真っ黒な笑顔を浮かべて立っておりました。


今更ですが、いわれたからか、背中がいたいです。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ