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脳味噌空っぽ



大変です。

いや、わたしが大変なわけじゃあないんです。

ないんですが、端から見てても大変だと思うんです。



「…みーこ…。」



目の前の誉くんは何だか泣きそうです。

ていうか、すでに少し泣いてます。

涙目ってやつでしょうか。


このさい、わたしはみーこじゃないんですよーとか、言えません。

ていうか、さりげなく何度か言ってみたりしましたが、どうやら誉くんはきく気がないようです。


なので、わりとどうでもよろしいことになりつつあります。


話がそれました。


只今、誉くんピンチです。

ピンチな誉くんピンクに頬を染めてます。


すみません、全くもってうまいこと言えませんでした。



「…しゅくだい、おわんない…。」



はい、そうです。

誉くん自らげろっちゃいました。

つまれたテキストとプリントは、本当に山のようです。

何がどうなったら、こんなにためこめるんでしょうか。

謎です。


そしてそして。


もっと謎なのは、この宿題なんだか課題なんだかわからない山を誉くんが片付けるために、わたしが監視役に就任したことですよ。



(回想)



『わたし、ですか?』


『田鍋っ、あいつはな、お前の監視下ならきっとやると思うんだっ。』



(回想終了)



…すみません、先生。

意味がよくわからないうえ、誉くんは泣いてますが。


ああ、泣いてる顔もかわいいんですね。


只前にすわって見ているだけなので、そんなこと考えるほどにひまがあります。



「…あ。」


「みーこ?」



ふと、思いあたって声をもらせば、誉くんが泣きそうになりつつ…いえ、もう泣いてますが。

半泣きですが。

とにかく、誉くんがわたしを見ました。



「…おしえてあげれば、いいんですよね。」


「…すんごい今更で、オレ、ちょっとびっくり。」


「わたしもです。」



あは、と笑って誉くんを見れば、一緒にあは、と笑ってくれましたが。


脳味噌空っぽなんだなあとか、ひそかに思ってたりしてすみません。


気づかなかったわたしも、だいぶ空っぽでした。



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