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第八十四話 迅澄の怒り

 

 迅澄が歩き出し、その行方は太助と小雨と深具のところ。


 迅澄の脅威さは深具自身も感じていた。


(こちらには積み重ねてきた熟練度がある。その高さがあれば私が負けることはない。しかし、あの威力…あれはただ学生ではない。何100年の熟練度がある。遊んでいる暇はない)


 深具は密かに自分の背後から分身を出す。

 それは本体で、太助と小雨の二人と戦っているのは分身。


 一旦、そこから離れ、迅澄の方に目を向ける。


(どのように行動しますか?)


 深具は迅澄の行動を見る。

 こちらに来るのか、それとも仲間を優先するのかを。


 迅澄は後者を選ぶ。

 少しずつ太助と小雨の方に歩き、先に深具の分身を殴った。


 深具の分身は吹き飛び、倒せる。


(我の分身は我ほどではない。それでもあんな吹き飛ぶようなことはない)


 深具はさらに警戒を強める。


 迅澄はというと太助と小雨の前に立つ。


「おい、今の二人に近づくな!」


 劉蔵は注意を促すが、迅澄は近づく。


 その迅澄に対して太助と小雨は攻撃する。


 太助はトゲのついた鉄製グローブ(毒付き)。

 小雨は呪刀村驟雨。

 どちらを受けても大ダメージとなるだろう。


 しかし、迅澄は真正面から掴む。

 そして、握りつぶし壊した。


 さらに二人を殴る。

 太助には兜を被っていることもあり、少し強めに。

 小雨には『呪化』のこともあるので、少し弱めに。


 すると何が割れる音が鳴った。


「うん?」

「くっ!」


 二人とも正気は戻ったが、小雨だけは身体の傷が酷く、倒れそうになる。


 迅澄はすぐに小雨の腕を掴み、座らせる。


「目が覚めましたか?」

「え?どういうこと?小雨はなんで傷を負っている?と、とりあえず手当てを」


 特に怪我のない太助が状況は分からないが、小雨が傷ついていることに心配しているようだ。


「大丈夫です。既に手当てしてあります」

「あ、あれ?痛みが引いていく」


 小雨の傷は傷跡が残っているが、出血しないように血で固まっていた。


「それよりも僕怒っているんだけど?」


 迅澄はいつもと変わらない(真)顔。

 でも、その中は物凄く怒っているのかもしれない。


「いや、状況が分からないんだけど…」

「私も…」


 途中から意識のなかった二人には何も分からないだろう。


「自分勝手に行動しましたよね。貴方達に何があったかは知りませんけど。それが他の人にも迷惑がかかると分かりませんか?」

「た、確かに自分の私怨のために行動したような…」

「同じく…」


 深具に向かって行動したのはまだ正気が保っていた時なので覚えており、それは自分が行動を起こしたもの。


「どれだけ危ないところだったか」

「ごめん…」

「すみません…」


 完全なマジ説教。


 それには他の者も呆然。


「そ、そこまで怒らなくても…よろしくては…」

「分かっています。しかし、今あまり頭が働かなくて…、でも強めに言っておいた方がいいと思う」

「まあいいわ。わたくし、怒らなくなっちゃいましたし」


 摩利は迅澄のように怒りたい気持ちがあっただろうが、迅澄の様子を見て、怒らなくなってしまった。

 ここにいる誰よりも長く二人といたのに。


「と言いたいところですが、それは後にしましょう」


 ここでずっと説教をしたいところだが、今は敵前。

 そんな暇はない。


 再び、全員が深具の方へ向く。


「そんな訳で友達は返して貰いました。どうしますか?」


 迅澄が聞くと、深具は忍刀を仕舞う。


「いえ、『呪化』は解除されましたし。一応、一つ目の任務は終わりました」

「任務と言うと人材確保…まさか!」


 任務…それは当初の目的。

 教師、生徒問わず、能力者を『母の元へ(オリジン)』に引き入れること。


 既に深具と佐々以外のメンバーが確保していた。


「ちっ、防げなかったか…」


 劉蔵は『母の元へ(オリジン)』の人数が増えることはよく思っていないが、今回は迅澄達の保護者で来ている。

 そのため、協力することを優先してしまった。


「ちょっと、待って下さい。先程『一つ目』とおしゃっいました?」

「それは私も思いました」

「僕です」


 そこで摩利が先程の深具の言葉に引っかかった。

 それは来栖もバロンも同じようで、言葉に出していないが、迅澄も気づいていた。


 それでその言葉は『一つ目』。

 つまり、任務は二つ目があるということになる。


「ええ、そうです。ですが、その前に君の名を聞かせて欲しい」

「僕ですか?」


 深具は二つ目の任務の話をする前に迅澄に名前を聞く。


「汐村迅澄と言いますが、それが?」

「汐村迅澄…そうですか。君は対象外ですね。むしろ、敵側…いえ、何でもありません」


 深具から気になる言葉を発した。

 それは「対象外」と「敵側」。

 しかし、迅澄達は前者は聞こえても、後者は聞こえなかった。


「対象外とはなんだ!」

「お教えすることはできません」


 劉蔵が聞くが、深具は答えない。


 明らかに迅澄を知っているような…。

 迅澄に何かあるのか。


「それでは二つ目を実行したいと思います。小治郎、お願いします」


 深具が小治郎を指示する。


 小治郎は頷き、小治郎の腕が変形する。

 その姿はバズーカのようだった。


 それが急激に光り出す。


「おい!何をする気だ!」

「ご心配なく、ただここが消えるだけですから」

「お前ら、出来る限り防ぐぞ」

「「「「はい!」」」」


 劉蔵の指示の下、迅澄達が動き出す。


 着々とバズーカが力を貯めている。

 そして…


 どーーーーーん


 バズーカから光の砲弾が発射された。


 迅澄達は各々防御態勢に入るが、これは防げるのだろうか。


「よくないことするな。深具」


 その声と共にどこかから人が現れ、光の砲弾が真っ二つに斬った。


 その者は部族のような毛皮の服とか動物の革とか、あとは頭に羽を付けた男性のようだ。


今回は「迅澄の怒り」という風にしましたが、特に大事になっている訳ではないですね。

ただ、怒っているのは本当ですが、その対象は深具にもあります。

だから、太助と小雨だけを責め立てている訳ではありません。


嵐魔小治郎の能力についてはまた今度にします。

何にするかは決まっていますが、後の二人はかんがえていないので、同じくらいになると思います。


そして最後の男性。

詳しい話は次でしますが、服装については大まかで決めて、細かいところは何も考えていません。

まぁ、部族って言っていますけど、アマゾンで見る上半身裸とかはないです。


次話は現れた男性の説明と事の終結。

もうそろそろ第四章が終わります。

多分どんどん作品名から離れていくかもしれないので、もしかしたら変えるかも。

第五章が帰ってくるのにまたモイヒェルメルダー学園から離れる予定だからです。


てな訳で悩みながらも投稿できていると思うので、少しずつ完結までやろうと思います(少し義務感)。




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