表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/219

第八十五話 バロンの考えと迅澄の異変

 

「な、何かあるのか!」

「はい。最初に来栖さん」

「なんですか?」

「あれの破壊確率を見てもらいますか?」

「いいですよ」


 来栖はフェアベルゲン『確率』で『シャドーサークル』を見る。


「私達からすると1%あるかどうかですね」

「1%もあるのか!」


 結果は1%。

 でもこれは劉蔵が言う通り、「も」なのだ。


 現状、何かすることはできない。

 ましてや、破壊する方法は深具よりも熟練度が高いか何か方法で破壊するかの二つ。


 しかし、前者は劉蔵でさえ深具の熟練度に勝ってはいない。


 なら、バロンが言う考えとは…


「一応、破壊は可能です」

「本当か!」

「でもこれには不足分があります」

「不足分とはなんでしょうか?」

「不足分とは破壊する力こと」

「ですが、力となればそれこそ熟練度となりますわよね?」


 もし破壊とするならば熟練度以外となるが、バロンはその熟練度に準ずる力がない。

 これは確かなことだ。


「いえ、脆くなったものを壊すだけです」

「脆くなったですか」

「どういうことだよ?」

「まず、僕のユニークニストは『爪』ですが、僕の能力は特殊な能力となっています」


 バロンの能力は『爪』。

 主に連想されるのは鉤爪なのだが、これは体の爪や爪に模したモノまで扱う対象となっている。


 そしてその中でもバロンは特殊な能力を持つ。


「僕の『爪』の能力は『術式変更』。これは魔法だけでなく、物質とかの構造を変更することができる。つまり、僕が言いたいのはあれに干渉し、形成しているものを変える」

「しかし、それでは先程の熟練度とお変わりないでは?」

「いえ、その能力だけは熟練度に囚われない。だから、大丈夫」


 能力となれば熟練度…となってしまうが、この能力、それに当てはまらないという特殊な能力だ。


「でも、それでも組み替えたところで熟練度の壁は大きい。そこで力が必要ということです」


 組み替えただけでは普通に力を加えたところで破壊できない。

 それだけ熟練度の壁は厚い。


 バロンはそれを薄くしようとしているに過ぎない。


「一回確かめたいことがあるのですが、いいですか?」

「何をしようというのですか?」

「タイナさん!こちらに来ていただけませんか!」


 そこでバロンはタイナを呼び出す。


 タイナは他の生徒と別の敵と戦っていたが、バロンに呼ばれ、こちらに来る。


「何?こっちは戦っていたんだけど?」

「すみません。少し協力して貰えませんか?」

「協力?何をするの?」

「とりあえず状況を教えます」


 あまり時間をかけられないが、短く簡潔にバロンはタイナに説明した。


「わざわざ試したいってこと?あまり時間かけられないし、頭の悪い私でも分かるよ、熟練度の壁は越えられないことくらいは」

「一応ってことでね」

「分かったよ。最大火力でいいんだっけ?」

「はい、お願いします」


 二人は『シャドーサークル』に近づく。


「何をしようとしているか分かりませんが、君達では無理ですよ」


 太助と小雨の二人と戦いながらもこちらに目を向ける深具。


 タイナは二つのハンマーを持ち、重ねた。


『ツインハンマー』


 ハンマーが一つとなり、巨大化。

 これは最大火力の技だが、現状で一番強い訳ではなく…


「おっ、とととと」


 力持ちであるタイナでも持ち上げるのは難しく、戦闘に向かない。


「ではいきますよ」


 バロンはタイナの準備ができたことを確認し、『シャドーサークル』の前に座る。

 お面に触れ、左にずらす。

 そこには右目が緑色の瞳になっていた。


『分析眼』


 瞳が鋭くなる。

 これは『術式変更』の派生でできた能力。

 これにより構造を見ることができ、変更することができる。


 その瞳は『シャドーサークル』を見る。

 それを確認し、一つ一つ自分の指の爪で変えていく。


「よし、これでいいかな。じゃあ、お願いしますね」

「おぉ。はぁぁぁぁぁ、おらぁ」


 タイナの全力が『シャドーサークル』にぶつける。


 ピキ


「ひびが…」


 衝撃によって『シャドーサークル』にひびが入る。


「やっぱりダメだ」

「どういうことですの?」

「これは組み替えたことで少しでも単純な力でも壊せるようにしましたが、それでも熟練度の壁を超えることはできませんでした」


 バロンがやったのは抜け穴を作り、少しでも単純な力で壊せるように組み替えた。


 そもそも熟練度の壁とは耐性のようなものだ。

 その耐性は能力による身体能力上昇や技などの威力を下げる。


 組み替えたことで耐性を100%とした場合、1%いくかいかないかの確率で『シャドーサークル』に能力が当たるようにしている。


 バロンも無理やり組み替えているので、そのくらいしか力を通すことができない。


 その結果、僅かだがタイナは『シャドーサークル』にひびを与えることができた。


 しかし、それ以上はない。

 ということは壊せない。


「全員でやるっているのはどうでしょうか?」

「その可能性を考えていました。ですが、それでも可能性かどうかは分からない」


 全員がやるから壊せる訳ではない。

 同時にする必要があるし、熟練度の壁というのは個人個人に通用する。

 つまりは一人に1%未満の力が六人。

 その一人である華花実は非戦闘員で期待できないため、実質六人となる。


 それで壊せるか分からなかった。


「試すだけしてみましょう」


 今は時間を惜しんでいる場合ではない。

 現状ではこれが一番。


「迅澄はどのように考えていますか?」


 そこで摩利がずっと黙っていた迅澄にも聞く。


「迅澄?」


 しかし、返事が返ってこない。




 迅澄には精神の中にいくつかの鎖が存在し、その一つが既にひびが入っていた。

 ただ、迅澄が黙っていた時に別の鎖にもひびが入った。


 バロンの試している時、その鎖が少しずつ壊れていく。


 迅澄は摩利を無視し、前へと踏み出す。

 その先には『シャドーサークル』がある。


「おい!」


 劉蔵が声をかえるが、反応することはない。


 摩利達六人が迅澄を見る。


 一歩、一歩とその足を進める。


 そして迅澄は『シャドーサークル』の前に止まる。


「何をするんですか?迅澄」


 バロンは迅澄が何かしそうだと思って聞くのだが、やはり聞かない。


 迅澄は足を広げ、腰を落とす。

 右手の拳に力を込めて


「はぁぁぁぁぁぁ」


 その叫び声はかすれ、右手の拳は『シャドーサークル』を殴った。


 それにより、『シャドーサークル』は先程のタイナがやったひびからガラスが割れたように広がっていく。


 でも、『シャドーサークル』は壊れなかった。


 しかし、その中に突風が発生する。


「な、なんですか。こ、この風は?」


 その突風に深具は踏ん張ろうとするが、そんな中でも太助と小雨は攻めてくるため、踏ん張る暇などないので回避に努める。


「これなら…可能性はありそうです」


 迅澄の力に驚きを隠せないが、それを見たことで可能性が高くなったとバロンは思った。


「でも、これ大丈夫なのか?」


 タイナは迅澄の様子を見て言った。


 迅澄はラッシュのように『シャドーサークル』を壊そうする。

 しかし、ある一定の力で超えなければ、ラッシュをしたところで壊すことはできない。


「ただ時間をかける訳にはいきません。ここは利用し、今は二人の方を優先しましょう」

「そうですわね」

「そうですね」

「そうだな。早くするぞ」


 摩利、来栖、劉蔵も近づき、先に破壊することを優先する。


「じゃあ、いきますよ」


 それぞれ構えをとり、攻撃する。


『フレアバースト』

『ポイントスラスト』

『スーパーグランドスタンプ』

『クロウスタブ』

『金剛拳』


 全員の攻撃が『シャドーサークル』に当たる。

 手応えはあった…しかし、壊れるところまではいかなかった。


「もう少しな気がするんだけど…」

「な、何かないのかしら…」


 壊れるまで近い…だけどその先にはいかない。

 何か一つでもあれば…。




 ただ一人、非戦闘員の華花実は後ろからそれを見ていた。


(いつまでもこのまま…ってことはできない。私は前に踏み出さないと成長なんてできないのにサポートしかない…)


 自分も何かしないと思っていても自分には現状何もできない。

 だって『テレパシー』しかないからと。


(何かないの?この状況で活かせる能力は…)


 その時、不思議なことが起きた。

 深具が一瞬止まった。


 それにより、太助と小雨の攻撃が当たる。

 さらに『シャドーサークル』が壊れた。


「今、何が起きた」


 深具は傷口を押さえながら、何故止まったかが分からなかった。


 それは『シャドーサークル』に攻撃していた摩利達もそうで。


 後ろを見ると華花実が倒れていた。


「華花実」


 来栖はすぐに側に行き、抱える。


「く、来栖…」

「どうしましたか?」

「私…あの人の思考に…潜り込んだ…」

「潜り込んだ?」


 華花実は深具に指を指し、それを言った。


「だけど…何をしたか…分からない…。でも…何かしたら…急に力が入らなくなって…」

「分かりましたから。今はお休み」

「はい…」


 華花実は目を瞑る。


 華花実によってあと少しが補われ、『シャドーサークル』を壊すことができたようだ。


 だが、安心はできない。

 迅澄がさらに踏み出し始めた。


今回は色々考えました。

というのは矛盾点があったからです。

そもそも熟練度が高いと効かないみたいな表現していて、それだと全く勝てないことに気づき、なら本編であったように能力だけに弱らせることにして本来の身体能力は効くようにした方が戦いとして成り立つかと思いました。

因みにタイナの攻撃による『シャドーサークル』への攻撃は計算式で例えると…

『シャドーサークル』自体の防御力−{タイナの能力÷(熟練度の耐性(100)−バロンの術式変更(1))+タイナの本来の身体能力}

こんな感じになるのかな。

バロンの能力で耐性を減らせてもタイナの能力を下げるのには大きく、『シャドーサークル』自体もそれなりに防御力を持っているということで結果がひびだけ。

分からなければある程度分かる範囲で計算式は無視でいいです

迅澄についてはここでは触れません。

華花実については第五章か第六章にするかと思います。


次話は迅澄の行動から始まります。

摩利達に返事を返さない迅澄。

未だに攻撃を続ける太助と小雨。

それを見る摩利達。

そして『シャドーサークル』を壊された深具の次の行動とは。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ