第九十一話 例の組織の襲撃
迅澄達が学校に慣れてきた頃
真夜中、学校内にいる者のほとんどは寝静まっていたその時、サイレンが鳴り出した。
迅澄はそれに起きて、部屋を出た。
同じく部屋から出てきたのであろう太助と来栖もいた。
「なんでしょうこのサイレンは?」
「誰かに聞こう」
太助は誰かに聞こうとすると、続々と部屋から生徒達が出てきた。
その一人に太助は聞く。
「どうしたんだ?」
「このサイレンは緊急時のサイレンだ。お前達もすぐに動きやすい格好に変えてきた方がいい」
「分かった。ありがとう」
「いや、気にするな」
そう言い、去って行く。
「どうする?」
「どうでしょう?一応はここまで行けますが?」
迅澄達は今普段着で寝巻きではない。
その理由は仮にもここに留学のような感じで来ていて、家ではない。
なので、普通なら体操服等を着るんだろうけど、モイヒェルメルダー学園は学生服が体操服と兼用なため、流石に学生服を寝巻きにする訳にもいかず、普通の普段着を寝巻きにしていた。
まぁ、着替えるとしたら学生服になる。
「一応、学生服にしよう」
「「分かりました」」
ここの生徒は普通の服装の者もいたが、迅澄達にすれば学生服の方が動きやすいので、急いで着替えることにする。
着替える間に放送が流れた。
「至急、ユニークニストの者は広場に集まって下さい。事情はそこで話します」
声的に校長が放送しているようだ。
「緊急事態の割にはあまり焦っていない気がする」
放送された声から焦りはなく、ただの呼び出しようだった。
迅澄は着替えて部屋を出ると太助と来栖もいて、バロンがやってきていた。
「みなさん、早く行きますよ」
バロンはいつも通りお面を付けていた。
服装は学生服だったが、それがここでの普段着なのだろう。
バロンを先頭に広場に向かう。
「こんなことはよくあったりするのか?」
「よくあったら困るよ。でも、在学中であれば何回かはある。ただ気になるのは校長自身が放送していた点かな」
「やはり、そこが気がかりか」
もし放送するとすれば教師でも大丈夫なはず。
それを校長自身が行うのは普通ではない。
寮を出ると女性陣がいた。
全員学生服で、そこにタイナはいない。
「タイナさんは?」
「先に行きましたわよ」
「そうですか。では、早く行きますよ」
タイナはどうやら他の友達と先に行ってしまったようだ。
迅澄達も広場に向かう。
そこには生徒や教師が集まっていた。
その目線の先には五人がいた。
「校長、ご協力感謝致します」
「いえ、ご満足頂けるまで見ていって下さい」
その一人と校長が話していた。
どうやら、用があるのは五人の方だ。
「お集まりのみなさん、我は『母の元に』に所属する忍衆、『隠戯』。我らが君達をスカウトしに来ました。望むならみなさんを『母の元に』を招待しますよ」
その五人は『母の元に』の者だった。
しかし、その組織を知る者は少ない。
「文句があるなら受けましょう」
それを聞き、教師の一人は飛び出す。
「好き勝手言ってんじゃねぇー」
「ほぉ、来ますか」
教師が剣を持ち、攻撃にかかる。
「面白い能力をお持ちで」
剣がいくつかに分かれて、刃が飛ぶ。
「自由に動かせても、見えなければ意味がありません」
「は!?どこに行った!」
目の前から消えた。
刃は空を飛ぶだけで当たることはなかった。
「でも、成長性はありませんね」
「な!いつの間に…」
男は教師の背後に現れ、短剣を首筋に当たる。
「グランザード様、何故ですか!」
「私は自由をモットーとしています。私が嫌ではないのなら何もしません」
教師は校長に問うが、帰ってきたのは何もしない。
「あれ、太助と小雨は?」
迅澄達は後ろから見ていたが、いつの間にか太助と小雨がいなくなっていた。
「うん?誰か来たようだ」
男は教師を放し、消えて元の場所に戻る。
「どういう御用ですかな?」
現れたのは太助と小雨だった。
「アンタは…」
「貴方は…」
「「影見深具!…あれ?」」
そこでお互いにいることを気づき、さらには同じことを言ったことにも気づいた。
「我のことを知っているのですね」
「仇ですから」
「仇だからな」
「「…一緒?」」
「どうやら仕事で会ったことがあるのですね。それも復讐しにですか。ではいいでしょう。恨み、憎み、実力を上げた証明をして下さい。その時、望みを言いましょう。あとは任せましたよ」
「いいですよ」
校長は生徒と教師の前に立つ。
「今から彼らは君達を襲い始めます。逃げるも戦うのも君達次第。さぁ、選びなさい。私は戦いますよ。戦いたいですからね」
校長は選択を与えた。
逃げるか戦うか、それは死から逃げるのかそれとも生きるために戦うのか選択だ。
だが、それを選ぶのも自由。
教師だからと言って戦う必要はない。
守られるべき生徒だからと言って逃げる必要はない。
だから、生徒や教師関係なく、それぞれの選択をする。
「どうなっている?」
そこに遅れて劉蔵がやって来た。
「劉蔵さん、『母の元に』が現れました」
「何!?」
劉蔵は驚き、すぐに考えた。
迅澄達を守るべきか戦いに向かうかを。
「あぁ!?なんだこんな時に?」
劉蔵の携帯電話が鳴る。
劉蔵はすぐに取り出し、電話に出る。
「はぁ!?各国で『母の元に』の襲撃だと!?こっちもだ!あぁ、分かった」
電話先は暗殺者組合にいる初期メンバーからのようだ。
内容は他の国でも『母の元に』からの襲撃を受けているという連絡だ。
ーーイギリス側ーーーー
伸戯達、高等部三年生の前に鎧姿の者達がいた。
「私の名はアーサー・ガンドラゴン。君達を歓迎する」
その中心、その者は鎧に綺麗な装飾がされ、剣が光り輝いていた。
かの者はアーサー・ガンドラゴン。
アーサー王物語で出てくるアーサー王のことだ。
彼らも『母の元に』所属のガンドラゴン騎士団だ。
ーーーロシア側ーーーー
夕実達、高等部二年生の前に鎧が上半身だけの者達がいた。
「我が名はイキャーナ・ムーロメツ。君らに拒否権はない」
かの者はイキャーナ・ムーロメツ。
ブィリーナに登場する英雄。
彼らも『母の元に』所属のムーラム軍団だ。
ーーーーー
他の中等部が行った国にも襲撃にあっていた。
「それでどうする?君達は逃げるか戦うか、俺は戦うのはオススメしないぞ」
劉蔵は同じように迅澄達にも選択を与えた。
本心はまだ戦うべきではないと思いながらも、体験するのも大事なのではないかも考えていた。
だから、選択を与えた。
「逃げても無駄なんでしょ」
迅澄はそう言い、諦めも含まれた言い方だ。
「それに戦うのは少し考え方を変えるべきだ」
「それもそうですわね」
「ただ、今は任せましょう」
迅澄は成長のために進む。
摩利はついて行く。
「華花実、行きますよ。私達は遅れていますから」
「はい」
来栖は華花実を連れて行く。
「それでどうするんだ。君は?」
最後、美結だけが残る。
美結は迷いが多すぎる。
多すぎるが故に前に進めない。
「逃げるのも正しい。よく考えるといい」
劉蔵は美結を残して戦場へ向かう。
「私に何ができるって言うのよ」
美結は後ろに下がれても前に進むことはできなかった。
今回でやっとオリジンが出ました。
ここくらいから歴史上の人物を名前を少し変えて出しています。
と言ってもこの章では影見深具以外の四人くらいかも。
影見深具はオリジナルですが、本編上では昔の人です。
あと、アーサー・ガンドラゴンの元ネタ(アーサー王物語)はあまり詳しく知りませんが、物語は少し理解があります。
しかし、イキャーナ・ムーロメツの元ネタ(ブィリーナ)はほとんど知りません。というかロシアだと自分的に英雄的存在の人物を知りませんでした。なので他の人物よりもちょっとオリジナル要素が多いと思います。
次話は五人の内の一人と校長の戦闘(ちょっと軽めかも)。
内容は戦闘よりも深具のことや二人の能力の話が多くなると思います。
最後に第一章とか第二章とか少しずつ変更していて話数がおかしくなっていますが、読む分には問題ないです。




