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第八十九話 過去夢

 

 ある夜、夢を見ていた。


 ーー小雨の夢ーーー


 私には歳離れた兄がいた。

 兄はフェアベルゲンに恵まれなかったが、剣の才能があったため、後を継ぐことが決まっていた。


 しかし、その十五年後に私が生まれた。

 兄は普通の学校に通い、私は家にいた。

 その間に会うことができたのは家の行事とか緊急時とかの家の全員が集まるくらいだった。


 二人っきりになったのはそれから三年後、兄が高校を卒業し、修行をしながら家の道場に指南役として務め、三歳になった私も剣の練習を始め、その指南役を兄が務めた。


 それからさらに三年後、私も力をつけて、短剣だけど持つことができた。

 そしてモイヒェルメルダー学園に入学することが決まった。


 そんなある日、私は同じ部屋にいた兄と寝ていた。

 物音に気づいた私は目が覚めた。

 周りを見て兄がいなかったので、部屋を出た。


 部屋を出るとすぐに庭があり、そこに剣を持った兄と黒装束をきた男が相対していた。


「小雨!来るな!部屋に戻っていろ!」


 兄が怒鳴るように言ってきた。


「ご心配なく、用があるのは貴方なのですから」

「そんなの信用できるか!小雨!部屋に戻るか、家族の誰でもいいから!ここから離れてくれ!」


 私は全く状況が分からなかった。

 ただ状況が分からなく、立ち止まっていた。


 でも、その状況はすぐに理解できるようになった。


「能力もない貴方に我を倒すことはできない」

「はぁぁぁぁぁ」


 兄は自身の愛刀を持ち、黒装束の男に向かい、刀を振り落とした。


「残念ながら、もう終わりしましょう」

「な、何…」


 兄の刀は敵を斬りつけた…

 …が、黒装束の男は煙のように消え、いつの間にか兄は背後から斬りつけられてしまった。


 兄は倒れ、私は兄に向かう。


「お兄ちゃん、どうしたの?ねぇ」


 私は兄を揺らしたが、反応はしなかった。

 子供の私でも死んでしまったのだと理解できた。


 私は血が昇り、理性が保てなかった。

 側にあった今の私には重い兄の愛刀を持ち上げて、敵に向けた。


「小娘、私を恨むか。だが、我は小娘に用がない」


 黒装束の男は私の背後に現れて、すぐに私は後ろを向き、後ろに下がった。


「ほう、すぐに反応するか。そうだったとしても我に勝つことはできない」


 私は何故か兄の愛刀を使いこなしていたが、黒装束の男には軽く躱されていく。


「小娘、我を倒したければ恨み、憎み、実力を上げろ。そして我を倒した時、兄を殺した理由に伝えてやろう。それまで修行あるのみだ」


 そう言い、黒装束の男は闇へと消えいった。


 その後、兄の葬式が行われた。


 しかし、私は参加することなく、モイヒェルメルダー学園に入学し、太助と摩利に出会うことになり、密かに復讐心を燃やしていた。


「はぁ!なんで今になってこんな夢を」


 今、高校生になり、そのことを忘れていた小雨は何故かそれを夢として見てしまった。


 ーー太助の夢ーーー


 僕には同じ歳の幼馴染の女の子がいた。

 彼女は父親の会社が取引している会社の社長の娘さんでよく会うことがあった。


 彼女は天真爛漫で僕としても話しやすく、いつしか惚れていた。


 僕と彼女は偶然にもフェアベルゲンを持っていたこともあり、一緒にモイヒェルメルダー学園に入学する予定だった。


 しかし、ある日彼女と遊び、家に帰る頃にそれは起こった。


 突然目の前から彼女が消えた。


「え?」


 太助は周りを見る。

 特に変わったところはない。


「少年」


 その声に反応し、太助は上を見る。


 そこには電線に乗った黒装束の男が彼女を抱えていた。


「この娘は頂く。少年が家に戻る頃、この娘は遺体と見つかるだろう。その光景を見て、我を恨み、憎み、実力を上げて我を倒してみよ。その時、この娘を殺す理由を伝えよう。それでは」


 その瞬間、黒装束の男は消えた。


 取り残された太助は何を言っているか理解するのが難しかったが、唯一家に帰れば彼女がいるということだけが理解できた。


 太助は走り出し、家へと帰る。


 家に着くと、使用人達が慌しくしていた。

 広い玄関、そこに集団が見える。


「太助様、これより先は…」

「とおして」


 太助は使用人が止めるのをお構いなしに横を通り、集団を割り込み、その中心を見る。


 そこには彼女が遺体として倒れていていた。


「え?なんでなの?なんでなんでなんで」


 太助は彼女を揺らすが反応しなく、その時初めて黒装束の男が彼女を殺してここに運んだことに気がついた。


 太助の初恋は黒装束の男が彼女を殺したことで儚く散ってしまった。


 その後、太助は予定通りモイヒェルメルダー学園に入学し、小雨と摩利に出会うことになる。


「は!今になってこんな夢を見ることになるとは」


 太助は何故今になってこの過去を夢としてみることになったのかわからなかった。


 ーーーーー


 そして二人は復讐する男の名を思い出した。


「彼の名は…」

「アイツの名は…」

「「影見かげみ深具しんぐ!」」


 その男は二人にとって復讐すべき男。

 さらには真実を知るにも殺さなければならない敵でもある二人の目標だ。


この章のメインは小雨と太助の予定でしたいので、今回このような内容にしました。

一応、タイナとバロンも次の章からも出す予定ではありますが、今回はこの二人に注目します。


次話は第三章のところに後で変える予定の伏線付けです。

これは今後も関係するので結構大事な話だと思います。

その後、第四章の山場に入っていこうと思っています。

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