第十二話 太助のフェアベルゲン
迅澄は太助のフェアベルゲンがなんなのか聞いてみた。
「あぁ、言ってなかったね。僕のフェアベルゲンは武器生成だよ」
学校内でのフェアベルゲンを秘密にする事はない。
それはチーム内で知らなかった場合、どう連携したらいいのかわからなくなってしまうからだ。
フェアベルゲンがドイツ語で「隠す」だったとしてもそれは暗殺庁と学校内だけは例外で知っておくべき事である。
太助のフェアベルゲンは武器生成。
簡単に言えば、何もない所から武器を生成するという事だ。
「まぁ、とりあえず、剣を出してみるよ」
太助は実際に迅澄に見せる。
生成したのはただ両刃剣だ。
何の特徴もない、西洋や中国でも使われたごく普通の剣だ。
「凄いですね。デメリットとかあるのか?」
迅澄の反応は薄いが、何かデメリットがないか聞いてみる。
「今のところないかな。限度があるかもとは思ったけど、なかなかその限度に達しないだよね」
武器生成のデメリットの可能性としては武器生成の限度、武器の落ち度、生成スピードが遅いとがある。
しかし、そのどれにも太助のフェアベルゲンはまだなっていない。
「僕のフェアベルゲンは防具も生成できるんだ」
「えっ?本当か?」
武器生成なのに防具もできるっておかしいと思う迅澄。
「いや、それができるんだよ」
と、言いながら鎧を生成する。
「へぇ〜、なんでできるのかとかわかるの?」
「正直よくわからないけど、一つ言えるのは鎧だけとか鎧にトゲつけたりして体当たりすればダメージがあるからとは思うけどね」
『武器』という定義は攻撃として使えるかどうかである。
その点、防具は肉体的攻撃時に使われるのではという事である。
「結構、生徒の中で武器のフェアベルゲンの人とかがいるから頼りにされるんだよ」
「確かにノーコストだからね」
一々、武器を作って貰う必要がなく、現状として太助の武器生成はデメリットがないので、今のところは必要とされている。
「武器生成にはやっぱり想像力と創造力の同じそうぞうが必要で、上手くそうぞうできればこの世にない武器も作り出す事も可能となる」
武器生成はどちらのそうぞう力が必要で思い浮かべた物が武器として作られる。
それがこの世にない物であろうとも可能とする。
「まぁ、上手くそうぞうできなければ、作り出す事はできない」
いくら作れてもこの世にある物と違い、ない物を思い浮かべるのは難しい。
「なので、いつもは剣、刀、西洋剣などメジャーな武器を作り出す事にしてるんだ」
太助はこの世にない物ではなく、この世にある物を作る事にしている。
「それじゃあ、僕の話はこれぐらいにして、次は部屋の使用について話そうか」
太助は話を変える。