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第八十七話 タイナとの模擬戦

 

 ーー武術区域側ーーーーー


 武術区域の修練場に着いた五人はタイナの(勝手な)進行で模擬戦をすることなった。


「誰にしようかな?」


 タイナが闘う相手を決めようとした時…


「迅澄、よろしく」

「お願いしますね」

「あれ?何で僕が?」


 太助と小雨が迅澄にそう言った。


「なんか乱暴そうじゃね?」

「それに迅澄さんは器用貧乏な気がしますから…」


 つまりはフェアベルゲンとして『再生』を持っているのと何となく対応できそうと言う判断である。


 後者という面では太助も小雨も可能な気がするけど。


「別にいいですが…」


 迅澄は未だに悩んでいるタイナの下に行く。


「タイナさん、僕からお願いします」

「そう。じゃあ、やろう」


 そう言い、タイナは側にあった(ヘッドが大きいゴム製の)ハンマーを持ち上げ、肩に乗せた。


「もう一つは?」

「そっちはあとで使う。今はこれでいい」


 さらにもう一つハンマーがそこに置いてあった。


 それに対して迅澄は剣を持つ。


「よし、行くぞ」


 タイナは駆け出し、迅澄に向かう。


「おおおりゃ」


 そして右からハンマーを迅澄に向かって振った。


 迅澄は剣だけでは受け止められないと思い、体全体で防ぎにかかる。


「ぐぐぐぐぐ、お、重い」


(もしかして小雨よりも力があるんじゃないか?)


 その攻撃は重く、長く耐えらそうにもなかった。

 それもまだ片手での話だ。


「よく耐えた。だが、長く続かない。でも、そんな時間はいらない」


 タイナは片手で押し出すよりも左手もハンマーを持ち、両手で押し出した。


「はぁぁぁぁぁ」


 勢いよくハンマーを振り抜いた。


 ドーン


 迅澄は耐えられず、吹っ飛んで壁にぶつかった。


「これで終わり?」


 タイナはハンマーを肩に乗せ、つまらなそうに言った。


「ちょっと、ヤバいかな?」

「私でもあれは無理かもしれません」


 太助はタイナの力にドン引きし、小雨は力負けすると確信した。


「ひっ!」


 美結は怖がり、一歩下がった。


 周りがそんな風に思っているとパーンと土煙から弾丸が飛んでいてきた。


「甘いね」


 タイナはそれをハンマーの柄で簡単に防いだ。


「痛っ!」


 だが、その時左腕に痛みを感じた。

 見ると服が切られており、地面に短剣が落ちていた。


「油断していた訳ではありませんが、少し甘く見ていたかもしれません」


 土煙から剣と拳銃を持った迅澄が現れる。

 血を流している様子は見られるが、軽傷に見える。


 そして、短剣は迅澄が投げた物だ。

 拳銃で撃つと同時に右手で短剣をブーメランのように投げたことで不意打ちを狙うことができた。


「それに自分の能力も少し理解できましたし」


 さらに比較的に軽傷に見えるのは迅澄のフェアベルゲンである『再生』を少しだけ理解できたからだ。

 この『再生』はただ回復するだけのものではなく、自分の血を傷口に塗るとそこの傷に対する自然治癒力を上げることができる。

 そうすることで少し回復することができた。


「でもね、私が力だけと思わないで」


 タイナは駆け出し、先程よりもスピードが上がり、迅澄の前でジャンプした。


飛刻印ジャンピングスタンプ


 先程よりも力を増した攻撃が繰り出される。


 対して迅澄は拳銃をしまい、左手を地面につけて、右足を上げてハンマーを横に蹴った。


 ハンマーは迅澄の右側を叩きつけ、土煙が発生するが…


「まだまだぁ」


 タイナはすぐに持ち上げ、そのまま迅澄に向かって振る。


 迅澄はバク転で回避にかかるが、タイナは一歩踏み出し、ハンマーを後ろで左手に持ち替えてさらに攻撃を加える。


 その切り替えと攻撃の速さは速く、それでもバク転で回避する迅澄。


 それをお互いに繰り返す。


「ふっ!」


 躱されてばかりだと思い、タイナはハンマーを地面に叩きつけ、跳躍する。


「同じ技は効かない」

「いや、これは違う」


刻印風スタンプウインド


 タイナは迅澄に向かって振り落とす。


「くっ、なんだこの風は?」


 ハンマーから円形の風が発生し、迅澄はそれを耐えようとすることで動けなくなっていた。


「さらに追い討ち!」


飛刻印ジャンピングスタンプ


 さらにその状態に叩きつけようとする。


「残念…ながら…僕の勝ちですよ」

「!?」


 動けない状態だったのにも関わらず、手には槍を持ち、タイナに刃を向けていた。


「まだだね。もう一度」


刻印風スタンプウインド


 タイナは攻撃をやめ、風を発生させて上昇し、後ろに下がる。


「意外と頭脳派ですね」

「脳筋だと思った?まぁあまり否定しないけど」


 一旦、呼吸を整える。


「攻撃しても尽く躱される。面白い」


 タイナはもう一つのハンマーに近づく。


「じゃあ、こっちも使うか」


 もう一つのハンマーも持つ。


手槌二刀流ハンディハンマーダブル


 持っていたハンマーの柄がタイナの腕に巻きつき、手がヘッドに吸い込まれ、ハンマーと一体化した。


「行くぞ!」


 タイナは駆け出し、ジャンプした。


刻印風スタンプウインド連打バレージ


 ハンマーから放たれた風が次々と迅澄に襲いかかる。


 迅澄は回避しているが、攻撃をすることが難しかった。

 タイナは『刻印風スタンプウインド連打バレージ』によって常時空中に飛んでおり、攻撃するには遠距離が必要だった。

 遠距離には拳銃があるが、この風を貫通できるかも不安ではあった。

 だが、やらないよりも試した方がいいと判断した。


 迅澄は拳銃を取り出し、タイナに向かって撃った。

 弾丸は風に当たり、抵抗した様子は見られるが、突破した。


「それは対処可能だ」


 タイナはハンマーを前でヘッドを合わせて、より強力な風を放ってきた。


刻印暴風スタンプストーム


 先程の『刻印風スタンプウインド』の強化版で二つのハンマーを同時に使用することで強力な風を発生させる。


 その風は弾丸を押し潰し、弾丸は勢いがなくなり落ちていく。


 そのまま風が迅澄の方に向かってくる。


「防ぐ…のは…無理か…」


 防ぐ手段はない。

 でも、防ぐ手段()()()ない。


 迅澄は鉄製の槍を出し、重く強力な風に向かって槍投げのように投げた。


「それくらい押し返す」

「いや、これだけではない」


 次に拳銃を二丁取り出し、撃った。

 二つの弾丸は飛んでいき、槍に当たる。

 態々鉄製の槍にしたのは木製だと耐えられないが、鉄製なら耐えるから。


 二つの弾丸は槍の勢いを上げ、貫通力を上げた。


「え?」


 槍が風を貫通させ、タイナに向かっていく。

 タイナはすぐに手槌でガードした。


 対する迅澄は腕を交差して風に耐えようとした。


「なんてパワーだ。ふっ!おおりゃ!」


 タイナは防げないと分かると上に受け流した。


「ふっ、危なかった」


 一応、刃は丸くしているとはいえ、当たれば痛みがくる。


 安心したタイナは迅澄の方を見る。

 そこは土煙が舞い、迅澄は姿は見えなかった。


「大丈夫かぁ?」

「大丈夫です。少し動くのが辛いですが…」


 タイナは地面に着地すると迅澄に対して心配するように声をかけると返事が返ってきた。


 そのまま歩き、手槌で土煙を払う。


「それって大丈夫なのか?」

「大丈夫です。問題ない」


 そこに迅澄は倒れており、体の所々から血が流れ、重傷に見えなくもない。

 というか重傷。


「降参…です」

「いや、『刻印暴風スタンプストーム』を使わせただけでなく、まさか反撃までされるとは思わなかった」

「あれは…攻守ともに…可能とする技…強力だよ。対処するのは…難しい」

「だって現状の切り札だったからな。だから、驚いてる」


 あの技はこの学校の生徒でも防ぐ者は少ないだろう。

 それだけにタイナにとっては驚きが大きいのだろう。

 だが、成長すれば新たな技が生まれ、切り札も変わる。


 タイナは一回太助達の方に向かう。


「ごめんだけど、模擬戦は後日でいい?」

「まぁ、いいけど」

「それよりも貴女も二戦目は難しいでしょ?」

「そうですね。正直甘く見ていた。闘おうと思えば闘えるが、さすがに難しい」


 本当は後の三人とも闘ったが、どうも疲れてしまったようだ。


 それに戦闘に関してはこの学校で上位なのだろう。

 それだけに驕っていたのかもしれない。

 自分よりも弱いからちょっと軽くやろうと。


「因みに彼は戦闘系の能力ではありません」

「え?確かに何か分かんなかったが…」

「迅澄が本気で戦闘に磨きをかけるようになったのはここ何ヶ月かの話だからな。まぁ、それ以前にもいくつか習い事はしていたらしいけど」

「へぇ〜、それなのに私と互角に闘うとは…面白い!」


 タイナはワクワクしたように喜んでいた。


「どうしました?」

「いや、迅澄はそれだけ才能があるんだし、特殊じゃないかと思って」

「特殊?まぁ、確かに特殊だけどな。なぁ、小雨」

「えぇ」

「本当に特殊?」

「タイナの能力はそれでいいのか?」

「そうだけど、それが?」

「それ以外には?」

「いや、ないけど?」


 タイナの能力は『ハンマー』。

 木製の槌でも金属製の鎚でも使用可能。


 でも、それだけ。


「私達の学校を作った人達は能力を二つ持っていると言っていました」

「ふ、二つ!?」

「はい。しかし、迅澄はその倍の四つ」

「よ、四つ!?」

「まだはっきりした能力は二つなんですが、それでも四つと本人が言っていました」

「因みにはっきりした能力って?」

「それは本人に聞いた方がいいと思います」

「そうだな。ただ、四つか。明らかに普通じゃないなあいつは」


 例え、『再生』が、『生命線確保』があったとしても戦闘系の能力上昇は低い。

 それでも立ち向かう姿にタイナは面白味を感じた。


 そして、蚊帳の外にいた美結は迅澄の下に行っていた。


「それ、大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。もしかして心配とかしてくれるんですか?」

「す、する訳ないだろ!」

「とりあえず、運んでくれないかな?さすがに動けない」

「それって私に言ってる?」

「確かに言っていますが、あの三人にも言っていますよ」

「わ、分かったよ」

「別に無理は…」

「黙れ!怪我人!」


 迅澄はもう何も言わずに黙っていることにした。


 美結は持ち上げにかかるが、戦闘系ではない美結にとっては男性を運ぶのは難しいのだろう。


「うぅぅぅ、上がらない」


 結局、持ち上がることはなく、二人に気づいた三人が来て、太助が迅澄を運ぶことになった。


「私は何もできない…」


 美結は彼らの後ろを見て、嘆く他なかった。


タイナの能力『ハンマー』はタイナのハンマーのような大きいハンマーでも工具用のハンマーでも発動可能ではありますが、大きいの選ぶのは大きく、攻撃力が高いからという理由だけです。


因みに迅澄の短剣のブーメランですが、まぁ遊びくらいでブーメラン的なことをするというでできるかなとは思います。でも、多分習っています。(作者はその点について設定はしない)


次話は図書館組。

内容はバロンの紹介である本に出会う話になります。

バロンの能力の話はないので、いきなり使う感じになると思います。

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