第八十一話 『自由』を掲げる組織『解放者』
※再開ではありません
今回、二話投稿したので、先に第八十話をお読み下さい。
全員が出ると、グランザートは再び窓の方を見る。
「それにしても貴方が来るとはね」
「うん?お前なら分かったんだろ?」
「そうですね、貴方があの中で一番こちらに来ていたからね。予想はしたよ」
事前に遠征先には生徒と担任、そして初期メンバーの誰かというのは言っていた。
その上で劉蔵はアメリカに仕事や『母の元に』の関係で来ている為、今回も劉蔵が行く事になった。
「でも、それで貴方が来るという事はないと思いましたよ?」
「俺が先生として来たのがそんなに驚いたか?」
「はい。貴方はそういう方ではないでしょ?」
「まぁな、俺は個人行動を取るタイプだからな。そう思われても仕方がない」
「しかし、応じた。それは何故でしょうか?」
「あん!?そんなの面白いと思ったに決まってんだろ!」
「面白い…ですか。それは他の学年とは違うのか?」
「違うね。それぞれが実力者だ。ただ、まだ卵ではあるがな」
劉蔵が高等部一年を興味に持ったのはそこ。
他の学年ならば一人か二人くらい優秀な者がいるが、高等部一年には上下はあるものの、それぞれ特徴を持つ者達である為、今回劉蔵は受け持ったのだ。
「それで本格的に動くんですよね。日本は…母の元に」
「やっとだな。これからウチらは『母の元に』に対抗する」
「しかし、未だに対抗する勢力はない」
初期メンバーは暗殺者組合を作り、本格的に『母の元に』の方に力を向けられる。
ただ、向こうの勢力が世界規模である為、今は絶対に勝てない。
「アメリカ……ユニークニスト・クラブはどうなんだ?」
「私達は何もしない。というか自由。だから、内部でもあちら側の者は必ずいるでしょうね」
「相変わらずアメリカは自由だな。あの時も実際はどちらでも良かったらしいと聞いたしな」
「ユニークニスト・クラブの上層部はどちらでも良かったというか貴方達も被害者なのは知っていたからね。でも、下の者達はやっぱり加害者と判断してしまったから。仕方なくなんだけどね」
あの時というのは暗殺者計画を立てるのにアメリカ側が拒否した事だ。
実際にはアメリカ側全体の判断ではなく、一部によって実行されたことであり、目の前のグランザートはそんな事は思っていない。
「アメリカ側は何も出来ないが、一つだけ助言を」
「何だ?」
「『母の元に』に対抗する者達がいる事を知っていますか?」
「何だそいつらは?そんなのがいるのか?」
「やはり知りませんよね」
「勿体ぶってんじゃねーよ」
劉蔵は机を叩く。
しかし、グランザートはそんな事を気にせず話を続ける。
「ユニークニスト・クラブが調べたところ、歴史上で『母の元に』に対抗する者達が一つだけいて、今でもいるそうです」
「名前はあるのか?」
「名は『解放者』。方針はその名通り『自由』、『いくらその者から派生したモノだろうとそれは個人であり、その者ではない』と言っているらしい」
「正しく正反対だな」
「創始者はかの有名な古代イスラエル王国で国王をし、現代でも伝説が残るソロモン王だと言われています」
「ソロモン王!?」
ソロモン王とはユダヤ人が作り出した古代イスラエル王国の第三国王であり、父ダビデが古代イスラエル王国の礎を築き、ソロモン王は古代イスラエル王国の絶頂期を迎えるも、ソロモン王の死後、宗教的対立より国は分離した。
更にソロモン王の特徴と言えば知恵者だ。
ソロモン王は神から愛され、神から知恵を願い、その知恵を授けられた。
その結果、その知恵を使い、国を治めた。
「貴方が驚くのも無理もない。現在までソロモン王はユニークニストだろうと判断されていた。予想ではむしろ『母の元に』の方にいて、幹部クラスと言っていい程にソロモン王は歴史上一番の知恵者だと思います。そうですよね?」
「あぁ、俺達の予想では歴史上の人物は『母の元に』にいると思っていた。その中にはソロモン王も含まれていたからな」
初期メンバーはフェアベルゲン持ちが寿命が長いという事で、もし歴史上の人物が生きている場合はほとんどが『母の元に』にいると思われた。
しかし、その中で予想されていたソロモン王は『母の元に』の対抗勢力の創始者らしいと分かった。
つまり……。
「つまり、今まで『母の元に』にいると思われていた歴史上の人物がその対抗勢力である『解放者』にいるもしくはいた可能性があるという事か!」
そういう事になる。
「現在、調べた情報では何人かは分かりました」
「誰だ?」
「まず一人目、『解放者』の幹部だと思われる古代ギリシャに建国されたマケドニア王国の王様であり、古代オリエント地域からインド近くまでの領土を広げた軍事のプロのアレクサンドロス大王」
「あ、アレクサンドロス大王……」
劉蔵が驚く中、グランザートはそのまま気にせずに次々と人物を言う。
「二人目はアーサー伝説に出てくる円卓の騎士の分裂の一因を引き起こしたランスロット。三人目はロシア帝国崩壊の一因を作ったラスプーチン。四人目はフランス最後の絶対君主制の王様であったルイ16世……」
グランザートは声を落とした。
「そして、五人目は貴方の国の侍、織田信長だと思われます」
グランザートから話された五人はどれも有名人である。
「日本の歴史上の人物もいるのか。てか、名前しか知らない者もいるんだが……」
「勉強不足ですね」
この五人が有名人だろうと教科書に出るのはフランス革命を引き起こす原因の一人であるルイ16世と日本史において知っている歴史上の人物の中で十位以内に入るであろう織田信長だけだ。
あとは何かと名前は聞くけど、その人のやった事は知らない人は多いだろう。
「とりあえず五人。って言ってもこれは調査した上で可能性がある者達です」
「情報をありがとな」
「いえ、私は中立の立場。組織なら誰か協力者になってくれる方がいると思いますが、私からは情報だけですね。信憑性があるかはご自分でお考えください」
アメリカユニークニスト・クラブは『自由』を掲げるアメリカの組織であり、先程の『解放者』の『自由』とは違う『上下関係をあまり気にしない個人主義』の組織である。
そのナンバーツーの幹部長であり、ユニークニスト・スクール・西支部長グランザート・フランピークは中立の立場で情報間でしか他国の者と関わらない人物である。
「それじゃあ、俺はあいつらの元に向かう」
「実力が上がる事を祈っていますよ」
グランザートは神に祈りを捧げる。
劉蔵はそれを気にする事なく、部屋を出るのだった。
今話で何人か歴史上の人物を入れましたが、ネタバレにはならないと思いますが、この世界は架空の世界になります。
ですが、少しずつ史実を入れていくと思うので、合っているところ、合っていないところがあるかもしれませんが、気にしないでくれると嬉しいです。




