第七話 モイヒェルメルダー学園(二)
食堂の中は人が大勢居た。
食堂については太助によると以下のようになっている。
・食堂
初等部から高等部までの生徒が使っている。食費は免除されている。食券販売機で料理を選び、食券を貰う。料理が出されたら食券を渡す。
食堂は午前六時から午後十時までやっている。朝食は午前六時から午前八時まで、昼食は午前十一時から午後一時まで、夕食は午後六時から午後九時まででそれ以外は軽食となっている。
太助と迅澄はそれぞれ料理を貰い、席に着いた。
「迅澄、食べながら良いから聞いていて、何か質問が言ってくれ」
「分かった」
迅澄は料理に食べ始めたら、太助もちょっとずつ食べながら説明し始めた。
「モイヒェルメルダー学園の説明は学園長にある程度聞いたと思うけど確認の為に言っていくよ」
それは有難いと迅澄は思った。
「ここは初等部から高等部あり、その年齢は普通の学校と変わらない。迅澄は高等部からだから初等部と中等部は省くよ」
「そうだね。学園長からもある程度聞いてる大丈夫」
「うん。それで高等部は今まで通り、実戦を入れた実力向上と卒業後の就職先を決めるだけど、就職先は分かる?」
「あぁ、暗殺庁に入り暗殺業をやっていくか、同じく暗殺庁に入り職員をやるか、この学園の教師をやるかだったよね」
「うん、そうだよ。ただ、それは主にそういうのがあるよってだけで他にもあるよ。まぁ、それも在学中に探してみるのもいいね」
太助の言う通り、他にも就職先はある。例えばスカウトマンをやるとかがある。特別な能力を持つ者が判断すれば確実性が高いからである。
それと、普通に就職する事もある。ただ、一応は暗殺庁に所属している段階での話である。もし、現場にそういう人がいれば対処が速い。
「それで1日の行動は朝に、八時五十分に教室でホームルームを始めて終了後、九時から午前中は学術の授業をします。十二時から十三時の一時間が昼食、十三時から十七時まで技術の授業をします。授業は参加自由ですが、参加する事をお勧めします。この学園の試験は命に関わる仕事が職業先なので物凄く難しく、大抵の生徒は参加しています。授業後は午後十時半が門限になります。ここまでで質問はありますか?」
「授業は参加自由ですけど、生徒が誰もいない場合は教師はどうするんですか?」
「う〜ん、生徒は最低でも1人いますが、偶にはそういう事はあります。1人の場合はやっぱり個人指導になってしまうので、生徒がいない時は教室で生徒が来るまで待機になり、生徒が来れば個人指導または普通の授業をしていなければそのまま終わると思います」
いくら生徒が参加自由であろうと、教師はその時間中は勤務中であるため、教室にはいなくてはならない。
そもそもこの学園は自由を重んじる。生徒は教師から学ぶもいいし、図書館で学ぶのもいいからである。
ただ、教師はこの学園の卒業生で数人は暗殺業をやっていた人達もいるので、通常は参加する事が多い。
「次に実戦ですね。迅澄は確か中学生の時に小雨さんと摩利さんの実戦を見ましたね」
「はい。まぁ、僕自身は興味本位であそこにいただけですけど。あと、戦闘を見た訳では無いけどね」
「そうでしたね。ただ、普通に考えれば危ない事でありますよ」
「はい、そうですね。実際に銃で撃たれましたし」
「まぁ、それで貴方が能力者とわかったのですがね。迅澄のフェアベルゲンはある意味危険ですね。未だに謎が多い能力ですからね」
「あの時は銃殺で脳死が確実だった小雨さんと摩利さんに聞きました。普通に一撃死が一撃死ではなく、それが綺麗さっぱり消える訳です。しかし、あんな事がなければ此処にはいなかったかもしれません」
迅澄はこれでよかったと思ったが、小雨と摩利に悪い事したなとも思った。
太助は迅澄が巻き込まれた事件の時の小雨と摩利を例にして、実戦の説明していく。
「それで実戦なんですが、高校生は普通の犯罪者が大人数の場合の時にしています。中学生は普通の犯罪者が少人数で軽犯罪だった場合です。あの時は強盗で三人だったでしょう」
「はい、確かに犯人はフェアベルゲンの事を知らなかったみたいです」
「フェアベルゲンはフェアベルゲンを持った人かまたは暗殺庁、防衛省、内閣と数人の議員などの政治面ですかね。あと、いるとしたら在学生、卒業生のご家族ですね。一般の方は知りません」
フェアベルゲン持ちの人は必ず知っている。暗殺庁は暗殺業をしている組織であり、防衛省と内閣は政治面で知っている。
数人の議員というは元々、内閣または防衛省の所属していた人か独自の情報ルートで知った人という事になる。
「実戦で犯罪者を相手にしますけど、警察の方はどうなっているですか。あの時も後処理は暗殺庁がしていたのでは?」
「確かに後処理は暗殺庁がしています。フェアベルゲンの事は一般警察は知りませんから。ですが、ちゃんと後で警察庁や警視庁には言ってありますので大丈夫ですよ」
省や庁の組織の大臣または長官を含めた何人かにフェアベルゲンについては言ってある。一応、政治の一端に担っているのだから。
まぁ、ただ個人的に暗殺庁を利用する人がいるかもしれないので、政治面の人達からの暗殺業の依頼は一切受けない(まぁ、そもそも依頼もあまり無いのだが)。
基本的に暗殺庁は暗殺庁独自で情報取り、実行していく。たとえ、防衛省の一角でもそれは変わらない。
「実戦は二人から三人、多い時はクラス全員という事もあります。補助に教師や暗殺庁の職員が一緒に来てくれます」
「え?小雨さんと摩利さんと会った時はいませんでしたけど」
「中学生は少人数が相手なので余程のことがない限り、教師はインカムを通して補助します。高校生は大人数になって、その中にもしフェアベルゲン持ちがいても教師が補助について行けば、対処が出来るでしょ」
簡単に言えば、少人数なら一人一人の力は計れても大人数だと一人一人の力は計れないからだ。
なので、教師が付いて行く事で、もしも能力者がいても対処ができる。
「事後処理はチームのリーダーが指導で行います。教師はいますが、卒業後に暗殺業する時のために中学生の時と変わらず、やっていく必要がある。報告は一緒にいる教師と暗殺庁です。教師には事後処理の報告だけ、暗殺庁には実戦というか任務の報告をします。任務の報告は敵の詳細と現状の状態、味方の現状の状態、事後処理、あと取り逃しがあったかが含まれます。その後、暗殺庁の方達が来るまでその場で待機し、その方達が来たら学校に帰還します」
事後処理は詳しく言うと、敵の拘束と味方の治療が主になります。
後は暗殺庁の人達が来るまで、敵を見張ります。
暗殺庁は後処理をするのだが、処理内容は学生達が報告した敵の詳細と照らし合わせて全員いるかを確認する事、暗殺庁に送られた敵の詳細と照らし合わせて全員いるかを確認する事、現場を元通りにする事、敵を連行する事である。
暗殺庁に送られた詳細というは暗殺庁の職員が目撃し、調べた情報。
「これで授業については終わります。食事も終わりますし、寮に戻ったら続きを話しましょう」
「はい、わかりました」
昼食を終え、二人は寮に戻る。
寮に戻った二人はリビングに座る。
「それじゃあ、続きを話そうか」
座り、太助は話し出す。
「次は試験、まぁテストなんですけど」
「はい、やっぱりあるんですね」
「学校ですから。でも普通とは少し違いますよ」
学校だからテストはあるけど、暗殺者育成学校だけに違いはある。
「テストは学術と技術があるから、それぞれあります。学術は普通の学校と同じで七月と二月にあり、普通の科目が三十点の合格点、暗殺者関係の科目は六十点の合格点になります」
「やはり、将来的に関係がある後者の方が高く設定されているという事ですね」
「はい、そういう事です」
科目は国数英社理と音楽、美術、工芸、書道の芸術科目は四つの中から選択した一科目を合わせた六科目を普通の科目とし、フェアベルゲンと暗殺庁や暗殺者の歴史などを暗殺者関係の科目としている。
「技術は一年一度あり、二月にやっています。内容は暗殺庁から派遣された暗殺者の人が犯人役をやって貰い、フェアベルゲン持ちを想定とした模擬テストを行います」
「報告もするんですか?」
「はい、実際に暗殺庁に報告して貰います」
やっぱり、いくら実戦をやっていてもそれはフェアベルゲン持ちではない人達の任務をやっているだけで暗殺者になった時はそうではなく、フェアベルゲン持ちを対象とする。でも、在学中にフェアベルゲン持ちの人とやる訳にはいかないので、暗殺庁所属の暗殺者が代わりに行うようにしている。
「まぁ、こんなところかな。何か質問ある?」
「太助のフェアベルゲンって何?」
先程のモイヒェルメルダー学園の事とは違うが、迅澄は太助のフェアベルゲンが何なのか気になっていたので言ってみた。