第七十二話 案が可決された
一通り初期メンバーの過去が話された。
「結局、あれを戦争と呼ぶには難しいけど、実際は封士のお陰で此処だけで被害を抑える事を出来たんだよね」
「本当だったら、全国各地に飛び火がかかっていただろうさ」
「それでも、此処の完成を遅らせる事になりました」
被害を広げるのを妨げたのだが、建設中の暗殺庁とモイヒェルメルダー学園を守る事が出来なかったのを封士は嘆く。
「まぁ、そんなに嘆いたってしょうがねぇだろ。建物自体は完成して、暗殺者計画も達成したんだ」
「はい」
遼峰に慰めてられても、封士は防衛担当として情けないと思ったのだろう。
「これぐらいでいいかしら」
「はい、大丈夫でございますわ」
これで初期メンバーの目的を聞く事が出来た。
「つまりはその『母の元に』に対抗する為に組織を再結成したいという事ですか?」
そう聞くのはやっぱり伸戯である。
「まぁ、そうでしょうね」
「だから、破吹さんは独立を狙ったという事ですね」
「そうじゃな。その方が動きやすいからな」
そこで伸戯は「うーん」と考える。
そして、数秒後に顔を上げて言った。
「暗殺者を派遣社員の様にするのはどうでしょうか?」
「つまり、どういう事ですか?」
須美は出来なかったのか、伸戯に聞く。
「暗殺庁とモイヒェルメルダー学園の管理は政府に任せて、暗殺者という職業自体を派遣社員にし、派遣会社を作るという事です」
それでも、此処にいる大半は理解出来なかったのだろう。
「伸戯先輩が言いたいのは暗殺庁とモイヒェルメルダー学園のお金等の管理が難しいのなら、政府にそれらを任せればいいという事ですわ」
そう応えたのは摩利だった。
「結局、心配なのはお金の事なのではありませんか?」
「確かに」
「そして、自由に動く為に独立した組織……つまりは表向きでは派遣会社として暗殺庁やモイヒェルメルダー学園に派遣されて、裏では『母の元に』に対抗する為の組織を作ればいいのでは?」
これなら、当初のお金問題も独立出来ない問題も解決する。
「そうなると政府に許可を得る必要がありますね」
初期メンバーも納得したのだろう。
代表して須美はそう言った。
「まぁ、簡単でしょう。ある意味、国内で怒らせてはいけない所だからな、此処は」
「暗殺者が公務員として国から給料が出る事は無くなるけど、暗殺庁とモイヒェルメルダー学園には払い続けるからどう思うだろうね、政府は」
むしろ、簡単ではと言うのは遼峰と須美だ。
「派遣会社の名前も決める必要があるな」
暗殺者は暗殺庁からその新しく出来る派遣会社に所属する事になる。
ならば、会社名が必要になる。
「あの、多数決は取らないですか?」
勝手に初期メンバー内で決め、行動に移そうとしているが、教師や生徒にも決を取る必要があるのではと伸戯は言う。
「あぁ、そうだったね。じゃあ、決を取ろうか」
今度も紙に書いて、一人ずつ箱に入れていった。
そして、集計は……。
「全員、賛成」
伸戯の出した案が可決した。
「では、派遣会社の名前を決めましょう」
次は新しく作る派遣会社の名前決めだが、やっぱり膠着状態だった。
やっぱり、説明は難しいです。簡単に納得されても困るし、納得させる為に何故かよく分からない説明になってしまったりするので、もしかしたら理解出来なかったかもしれません。
簡単に言えば、暗殺者が暗殺庁の所属を辞め、独自に会社を作って、暗殺庁やモイヒェルメルダー学園に派遣するという事です。
第三章はあと一、二話で終わらせたいと思います(早く主人公を出したいです)。




