第五十九話 三年生の勝負 後編
変化後、陵山は伸戯にパンチを食らわれせる。
その大きさは戦場のアリーナの横幅と同じくらいある。
「これなら、生徒会長でも避けれないじゃないか」
陵山は攻撃を躱されるなら躱されない状況を作る為に攻撃範囲を広げた。
躱すには陵山の拳よりも上か地中に潜るかだ。
しかし、伸戯は躱さなかった。
咄嗟に二本の剣を十字に交差して防ぐ。
でも、剣は壊れないものの勢いは止まらず、壁に激突した。
それを見た観客の特に女子生徒からはブーイングをする。
それは敵味方関係なく、行われていた。
陵山にとってそれは完全にアウェイである。
「うるせぇ!これは真剣勝負だ!」
陵山が怒鳴る。
「そうですね。これは真剣勝負です。応援以外はやめて下さい」
壁にめり込んだ伸戯が出てくる。
「よく防いだな」
「結構、ギリギリでしたけどね」
実は攻撃を受ける一瞬で伸戯は二本の剣を十字に交差した状態で陵山の拳を上に上げた。
しかし、残念ながら勢いは止まらず、壁に激突してしまった。
(封士さんに防御の仕方を教えて貰ってよかったですよ。それでも、まだ完成ではないんですが……)
伸戯が封士から教えて貰ったのは防御だ。
今までは『神速』で躱してきたが、いつそれが効かない状況になってどうしようもない。
その辺も須美は判断して封士を選んだんだろう。
つまりは攻撃の幅も広げた。
「次こそ当ててやる」
陵山は防ぐ事は予想できず、焦っていた。
その状態でパンチを食らわせようとした。
しかし、その攻撃速度は遅くなっていた。
『返し連斬』
伸戯は拳を払いのけ、陵山の腕を斬り刻んだ。
これは自分の『神速』と封士から教えて貰った防御を合わせた新必殺技だ。
陵山の腕は(一応、剣は非殺傷になっている)骨折をしている。
「うぎゃぁぁぁ、い、痛え。ど、どうなっているんだ?」
陵山の『硬化』にはもう一つ能力があった。
それは物の『硬化』だ。
今まで陵山は自分の『硬化』しか出来なかったが、初期メンバーの教えにより、物の『硬化』も可能となった。
だから、今巨大になっているのは地面の砂、またはゴミなどからそれを『硬化』し、石にした状態で体にくっつけていた。
つまりは陵山の腕は実際には腕では無い。
「貴様!舐めてんのかぁ!」
伸戯は突然怒鳴り、変容した。
「キャー、憤怒モードに入った」
「あれは終わったわ」
女子生徒から声が上がる。
伸戯は普段のクールモードとある条件でなる憤怒モードがある。
その条件とは期待はずれだった時だ。
今回は陵山も自分と同じく初期メンバーから教えて貰ったのにあまり成長していなかった事だ。
「もう貴様に用はねぇ」
「ひ、ひぃ〜」
陵山は怯えていた。
『縮地乱撃斬』
伸戯は『縮地』を利用して陵山を斬り刻む。
足から陵山の体を駆け巡り、そして最後に頭から下に一刀両断する。
流石の防御力の高い陵山でも、血は出ないものの石に深い傷がつけられ、骨折をしているだろう。
「うん?エクスカリブスが反応している」
伸戯がエクスカリブスを見ると、剣身の黄色い光が点滅していた。
「陵山に魔が宿っているのか?」
エクスカリブスは僅かだが、魔に反応する事が出来る。
「そうか、それはいかんなぁ」
『魔断』
伸戯は陵山に宿る魔をエクスカリブスで断ち切った。
そうすると、陵山の体が元の姿に戻った。
「勝者、豊眼伸戯」
陵山が倒れた事で伸戯の勝利に終わった。
伸戯は観客から大歓声を浴びた。




