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第五話 モイヒェルメルダー学園

 

 学園長と迅澄は学園長室を出た。


「それでは説明していきますね」

「はい」


 迅澄は学園長の少し後ろに付いて行った。だいたい学園長から横目で見えるぐらいの所。


「まずは学園についてなのだけど、基本的には隠れた専門学校と思えばいいです。ここは暗殺者の養成学校になります」

「あの〜、暗殺者って文字通りの暗殺者何ですか?」


 迅澄は気になった事を言う。


「いえ、少し違いますね。この学園で言う暗殺者は静かに誰も気づかれず、敵を殺すのではなく、なるべく騒ぎにならないように目的を達成するという事です。別に暗い所で殺す者という訳ではありません」

「そうですか。では殺さないという事もあるんですか?」

「在学中は基本的に殺さない。ですが、やむを得ない時は別ですね。本格的に暗殺者になると殺しが主になりますからね。初めは人を殺すに躊躇いが出てしまいますが、殺らないければ、自分が殺されてしまいますので油断はできないのですよ」

「結構、大変になりそうですね」

「はい、頑張って下さいね」


 やはり、殺すんだと確信した迅澄。だが、怯んだ訳ではない。実際は気にしていない。何かあろうともそう簡単に迅澄は心を動かさない。


「学園は防衛省の外局である暗殺庁が管理しています。暗殺庁は裏の行政機関です、暗殺庁所属の暗殺者の管理と暗殺者学校であるモイヒェルメルダー学園の管理や学園への暗殺者派遣が主の仕事となっています」


 モイヒェルメルダー学園は裏の行政機関である暗殺庁が管理する裏の教育機関で、一般の人どころか政治家でも知っている人は少ない学校である。


「ここにはモイヒェルメルダー学園、暗殺庁、防衛省の一部があります。そのため、膨大な敷地面積を持ってしまい、周辺の住民には口止め料として毎月一世帯に五十万から百万円を暗殺庁から出てしまいますわね」

「それでは暗殺庁は相当の出費では?」

「いえ、暗殺庁にはスポンサーがいます。例えば、子どもが在学中のお金持ちの親御さんとかですね」


 暗殺庁やモイヒェルメルダー学園がやっていけているのはそういうスポンサーがいるからである。

 膨大な出費をいろんな人から援助を貰い、裏に隠す。


「ここでは学校以外だと防衛省には行く事は無いと思うけど、暗殺庁には重要な任務があったら行くかもしれないわね」

「あれ?そう言えば、行政機関って基本的に霞ヶ関にあるもんじゃないですか?」


 迅澄はここに行政機関があるのに疑問に思った。

 ここは言わば田舎みたい所で、都心より離れていた。 

 迅澄は少しの知識の中で、行政機関はほとんど霞ヶ関にあると思っていた。

 それがこんな田舎のような所にもあるのが、疑問に思った。


「確かに省、庁のほとんどはそこにあるわ。他にも◯◯委員会や◯◯会議とかもあるけどこれは霞ヶ関に置いてあるのもあるし東京都の他の所にもあるわよ」


 行政機関はあまり分からないが皇居から近い霞ヶ関に置いてある。ここは行政の土地として明治時代から変わっていない。

 宮内庁というのは皇族関係の仕事を行うので皇居に置いている。


「でも暗殺庁は秘密となっている裏の行政機関。そんなのがあんな人が多い所には置けないのよ。そこでここに防衛省の一部と暗殺庁を作り、この学園を特別な能力を持つ人を保護、育成し、同じ特別な能力を持つ犯罪者を対抗する手段として1958年の高度経済成長期に出来たわ」

「確かにその通りですね」


 特別な能力を持つ者は戦後になってから増えた。その時から暗殺庁の設立案は有ったが予算が無かった。

 高度経済成長期にやっと予算を作る事が出来た。学園はついで扱いで作られたがその後の卒業生の活躍は良かった。


「それで戻して良いかしら?」

「はい」


「現在、学園の教師は学園の卒業生が暗殺庁に入り、そこから派遣されている人からなっています。私も暗殺庁から頼まれて学園長をやっていますわ」


 学園の卒業後の就職先は暗殺庁に決まっているが仕事は三つに分けられる。

 一つ目は学園長が言った通りに学園の教師をやっていく。

 二つ目は学園の目的通りに暗殺業をやっていく。

 三つ目は暗殺庁の職員になること。

 多いのは二つ目になるだが元々暗殺業をしていた人が現在は教師をやっているという人もいる。学園長もその一人なんだとか。


「私は三代目学園長となります。初代はまだ特別な能力に長けた人が居なく、それに関連した事を教える事が出来なかったので武術に長けた人が選ばれました。先代と私は特別な能力に長けた人として選ばれたのよ」


 実際は学園創立以前に特別な能力に長けた人が居なかった訳ではない。しかし、ほとんど我流みたいな感じで教える事が出来なかったからそういう人は暗殺庁に就職し、暗殺業の初期メンバーとしてやっていった。その実力は今でも語り継がれているが裏稼業だけにそういう人が居ると言うぐらいしか語り継がれていない。


「事務課の人もこの学園の卒業生何ですか?」

「う〜ん、事務的な事が出来る人はやるみたいだけど基本的にはね、防衛省や暗殺庁から派遣されます。このような学園なのでそれなりに実力がある人を採用して居るそうですよ。先程、迅澄さんをここまで案内してくれた人も実力を持っている人だわ」


 事務課の職員は柔道、剣道、空手、少林寺、合気道などを習った人達が集まる。

 柔道、空手、少林寺、合気道は基本としていつも武器を持っている訳でないので最低でもこのような体術を習っていないといけない。

 剣道は刀、太刀、木刀、木剣、竹刀などを用いた武術なのだが剣を扱っている事もあり、この四つだけでなく、短剣、小刀、小太刀、ナイフ、包丁などの小さな刃物や大剣やレイピアなどを用いた西洋剣術を使う相手の動きをある程度読む事が出来る。剣道の方はそこまで重要視してないのだが剣道の中で小さな刃物を用いた流派があると言う事で最低限としてナイフを持っている人もいる。


「話している内に着いちゃたわね。ここが迅澄さんが住む寮になります」


 学園長と迅澄は目的地に着いた。

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