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閑話 美結の過去 後編

閑話は三話分投稿しています。

先に前編、中編をお読み下さい。

あと、後編は積み込みましたので前編、中編より長くなっています。

 

 後日、その女性が私の家に来た。

 その横には知らない男性が居た。


 女性はあの時普通の服装をしていたが、今日はスーツ姿で来ていた。

 横に居た男性もスーツ姿だった。


「貴方達!美結に何の用!」


 おばちゃんが怒鳴っている。


「いえいえ、だからスカウトに来たと前にあのお嬢さんに言ったと思いますが……」

「それは宗教団体か何かではないですか!」


 おばちゃんが追い出そうとしている。

 おじいちゃんもその様子だ。


 でも、そこに警察の人が来た。

 おじいちゃんが連絡してくれたのだろうか。

 その割には速いような……。


「はぁ…はぁ…」


 警察の人は急いでいたのが呼吸が乱れている。


「あ!警察の方、この人達です!」


 おばちゃんがその宗教団体らしき人達を指差した。


「い、いえ、その方達は宗教団体とは関係ありません」

「それは何故ですか!」

「う、上に確認が取れました。暗殺庁という機関は存在します。だけど、あまり公表出来ないからあまり広げるなと命令されました」


 私を含め、三人は呆然とした。


「警察が言っているんですから、本当に暗殺庁はあるんですよ」


 女性の人はそう言ってきた。


 流石の私達でも警察が言うのだから本当だろうと思った。


「「すみませんでした!」」

「すみません」


 二人は大げさに頭を下げて謝り、私はそれよりも小さな声で謝った。


「いえ、問題無いですよ」


 女性はそう言って許してくれた。


 警察はというと用事が済んだとばかりに「それでは」と言って、帰って行った。


「それでは本題に入りましょう。私はこういう者です」


 そこに男性が名刺を出してきた。


『防衛省 暗殺庁管轄部』


 防衛省……国を守る機関。

 そこにある暗殺庁というのは何をするのだろうか。


「結局、暗殺庁って何をするんですか?」


 私の代わりにおばちゃんが質問する。


「暗殺庁とは暗殺者を管理する所であり、任務が出た時に暗殺者を派遣する所でもあります」


 答えたのは防衛省の男性だった。


「暗殺者というのは?」

「暗殺庁所属の暗殺者は任務をなるべく誰にも気づかれずに遂行する者達であり、決して言葉通りではありません」

「つまりは殺さないという事?」

「まぁ、そうですね」


 暗殺者なのに殺さないの?

 言葉通りなら気づかれず殺す、文字通りなら暗い所で殺す。

 どちらにしても殺している。でも、暗殺庁という所の暗殺者は殺さない。

 意味的には似ているけど、殺す・殺さないで違いがあるみたい。


「それでその暗殺庁が何故美結を?」

「はい、美結さんには暗殺者になるために学校に行って貰います」

「美結を暗殺者にするって言うの!」

「まぁまぁ、落ち着いて下さい。暗殺者になる条件が一つあります。それがフェアベルゲンと呼ばれる特殊な能力がある事です」


 フェアベルゲン?

 確か、前にあの女性に言われたんだっけ。

 それがあるから私は暗殺者になるための学校に行くの?


「それが美結にはあるって言うの?」

「はい、ちょっとプライバシーの侵害になってしまうと思うのですが、美結さんを色々見せて貰いました」

「貴方達、幾ら政治機関だったとしてもそれは問題ではありません?」


 私を色々見た?

 もしかして恥ずかしい所まで見られたりして……。


「すみません、普通なら問題です。でも、私達はそのフェアベルゲン持ちの人達を保護したいのです。フェアベルゲン持ちは私達だけでなく、犯罪者達も狙っています」


 フェアベルゲンというのはどうであれ、犯罪者に捕まるのは嫌です。

 なら、この人達に保護されるのも良いかもしれない。

 ただ、プライバシーの件はどうにかして欲しい。


「一つ訂正する事があるなら、この家の中までは見ていません。見る手段がありませんし、そこまで見るつもりもありません」


 流石にそこまでは見ていなかったのは安心した。


「それで美結にはどんな能力があると?」

「美結さんは簡単に言えば真似事です。そうですよね」

「はい、観察した所では普段は物静かな性格で、学校では強気の女性を演じ、偶に違う所が見分けられる。そうですね、美結さんは動き、口調を真似していると結論付けました」


 確かに私が思っていたのと同じです。

 まさか、そこまで見抜かれていたとは思いませんでした。


「え?美結、そんな事をしていたの?」


 あれ?そう言えば言っていなかった。

 あまり喋らないおじいちゃんも驚いている。


「このままではいけないと思って……」

「そうだったんだ。知らなかった」


 ごめんなさい、此処までやって友達が出来なかったとは言えなかったから……。


「え〜と、良いですか?続きを話したいのですが……」

「は、はい。良いですよ」


 確かに今はそこまで大事じゃない。


「美結さんにご入学をお勧めしている学校…正式にはモイヒェルメルダー学園と言いますが、文科省が認める学校であるものの、通常の試験では入学する事の出来ない裏の学校となります」


 文科省が認める学校なのに裏の学校?

 じゃあ、それって実質国というか政府が所有する学校という事?


「入学するにはまず最初に貴女のようなスカウトマンに話しかけられる事ですか?」

「えぇ、暗殺庁所属のスカウトマンは日本全国に沢山居ます。それと、一つ付け加えるとスカウトマンの中には暗殺者である人も居ます。その点で言えばこの方は暗殺者です」

「暗殺者という事は貴女もフェアベルゲンを?」

「はい、私は『生体変化』です」


 ・生体変化

 体を作り変える能力。髪、爪が伸びるだけでなく、骨格や筋肉も作り変える事も可能。


「例えばこの様に」


 えー!指と指の間に水掻きが出来てる。

 二人も口を開けて驚いている。


「フェアベルゲンには四つの系統に分かれますが、それについては入学してからでお願いします。とりあえずこの能力が世の中にあり、美結さんにもあるという事です」


 さ、流石に此処までは凄くないよ。


 その後、モイヒェルメルダー学園だっけ……の説明された。

 その中で魅力だったのが入学金を含む学費が免除される事だ。

 その学校には初等部、中等部、高等部の三つがあり、私は高等部に入学するらしい。そして、寮生活になる。


 私を心配した二人は寮生活は難しいと言った。

 確かに私は頼る人が少ない。

 しかし、この二人にこれからもお世話になるのはいけないと思う。

 だから、決めた。これを機に自立すると……。


「おじいちゃん、おばあちゃん。私は行きたい!」

「え?でも、心配だよ」

「自分もだってそうだ」


 あまり喋らないおじいちゃんもそう言ってくれている。

 でも、あまり甘えると成人した後に自立出来ないと思うから此処が人生の選択肢だろう。

 だからこれは一生のお願いになる。


「何かやらないと何も変わらない様に思っている時に来たこの話。私にとって好機だと思ったんだよ。確かに今まで私を心配してくれる二人には感謝してるけど、私もそろそろ自立しないといけないと思うの」

「う〜ん、でも」

「まぁまぁ、美結がそう言うじゃ仕方ないか」

「おじいちゃん!?何を言ってるの?」

「だって今まで自分から言う事が無かった初めての我儘。本当に美結の意思だと思う。だから、応援してるよ美結」

「ありがとう、おじいちゃん」


 私は嬉しくておじいちゃんに抱きついてしまった。

 でも、あのおじいちゃんが言うとは思わなかった。


「確かに美結にしては決意のある発言であるけど……」

「おばあちゃん、今度いつ自分達二人が病気になった時に美結が何も出来なかったどうするだい。普通の家族とは違う所がある家庭なんだよ」

「うん、そうだね。わかったよ。美結、頑張ってね」

「おばあちゃんもありがとう」


 そして、私は二人と抱きしめ合った。


「あ、あと、偶には連絡してね」

「うん、わかってる」


ーーーー


 こうして私はモイヒェルメルダー学園に入学する事になった。


美結以外の登場人物の名前は省いたので、良く分からない部分もあるかも知れませんが、ご了承下さい。

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