第四十一話 美結と手合わせをする前に
迅澄は無事に美結に頼み、手合わせの相手になって貰った。
(とりあえず森菜さんに相手になって貰ったけど、あんまり友好的じゃないよね)
ーー少し前
「森菜さん、僕と組んでくれないかな」
「な、何で貴方と組まないといけないんだ!」
「なら、誰と組みますか?」
美結は迅澄が組んで欲しいというのに驚いている所もあるが、反射的に断った。
でも、誰と組むかと迅澄が言うと、「え、え〜と」と言ってソワソワしている。
未だに友達という関係の人を持たない美結にとってこの二人組というのはきつい。
だから、正直迅澄が組んでくれると言ってくれたのは物凄く助かった…だろうが、美結はつい反射的に断ってしまったのだ。
「そ、そうだな。確かに私は他に組む人は居なかったから丁度良かったな」
美結は自分から断ったにも関わらず、誤魔化しながら仕方なく組んでやったぞという感じで迅澄を手合わせの相手になって貰った。
ーー迅澄視点
そして、今になっているのだが、相変わらず生徒相手には素直じゃないなぁ〜と思いながら、迅澄は手合わせに意識する。
(昨日見た限りでは森菜さんのフェアベルゲン『模倣』は簡単に言えば真似事。別に身体能力が上がる訳ではないらしい。しかし、それ程までに弱いのかな?)
迅澄にとってフェアベルゲンは未だに分からない所があり、不確定要素が多いと思っている。
だから、美結のフェアベルゲンがただの真似事ではないと考えていた。
(今は真似事しか能力は無いが、熟練度を上げる事で強力な能力が手に入るのではないだろうか)
フェアベルゲンには熟練度がある。熟練度は身体能力を上げたり、スキルが手に入ったりと弱いフェアベルゲンだろうと強力な能力を手に入る事もある。
(しかし、それは未来の話であって、今は手合わせをしなければならない。実力では僕の方が上だろうが、どう戦ったら良いのだろうか?)
ただ、今の迅澄にとって問題なのは太助と来栖、小雨と匠とそれぞれが戦う事は出来ても、美結は経験不足であり、フェアベルゲンの能力も戦闘に使えても戦えるという訳では無い。
なら、手加減するべきだろうかと考えるのだが、それが授業として良いのだろうかも考えてしまい、どうするべきか迷っていた。
ーーーー
「どうした?今から手合わせするのではないか?」
「まぁ、そうですが、本気でやって良いんでしょうか?」
「はぁ〜?何言っての?これは授業だよ。本気でやらなきゃどうする。本気でやろうとやらないとしても結果は変わらないでしょう?だから、本気でやったら良いじゃない」
「森菜さんが言うなら……」
迅澄が悩んでいたのに美結は本気を出せと言った。
迅澄は内心で(そう言うならやるしかないのかな)と本気出す事にする。
「あと、森菜さんと言わなくて良い。美結って呼んでくれ。呼びにくいだろう?」
「良いんですか?」
「どうせ、あの脳筋頭だって許可もせず、呼んでだろう。だったら、お前が呼んだって問題無い。それと、私は名字呼ばれるよりも下の名前で呼んで欲しい」
美結が言う脳筋頭は匠だろうが、確かに匠は美結と(勝手に)呼んでいる。
だから、今更下の名前で呼ばれても問題無いと返した。
あと、美結が「下の名前で呼んで欲しい」と言った時、今までのガツガツした感じとは違い、乙女のような顔していた。
「美結がそう言うならこれから美結って呼ぶよ」
「あぁ、私も迅澄って呼んでも良いか?」
「良いよ。みんなからそう呼ばれているし、美結だけ違う呼ばれ方されるのってちょっと嫌だなぁと思っていたから」
「そ、そう」
何故だろうか、下の名前で呼ぶようになって美結の内面が見えたと迅澄は思った。
しかし、それが友達になれたからなのか、それとも別の意味があったのかは迅澄には分からなかった。
「じゃあ、始めようか」
「えぇ、何とか踏ん張るからな」
そして、迅澄vs美結の手合わせが始まった。
次話はちょっと閑話を入れます。
中途半端になってしまいますが、予定としては美結の過去の話になります。
話数は最低でも二話分、最高で三話くらいになってしまうと思います。




