第三十六話 技術特任教師の評価とアドバイス
迅澄達は伊島先生と手合わせをした。
結果として及第点は迅澄、太助、匠、小雨、摩利で、及第点ではなかったのは来栖、華花実、美結だった。
「まず、迅澄。お前は凄いなぁ。前に何かやっていたのか?」
「以前にそれぞれの武器の扱い方の基礎を習ったくらいです」
「じゃあ、暗器は?」
「半月前から太助の戦法を参考に修得しました」
「驚いた。たとえ以前に少しやっていたとしても、半月で暗器を覚えるなんてなぁ」
伊島先生の迅澄への評価は高かった。
「この実力なら、中等部の何人かは勝てるんじゃねーか」
中等部とは中等部二、三年生、さらに初等部からだと実力差はあるだろう。
しかし、伊島先生は何人かは勝てると言う。
「でも、まだ暗殺者としては未熟だ。これから鍛えていくぞ」
「ありがとうございました」
幾ら、中等部の何人かに勝てる言っても、目指すのは暗殺者。フェアベルゲン持ちに勝てるようにならないといけない。
「次に美結。お前ははっきり言って未熟だ。基礎は出来ているが、力が無い。まあ、入学したてだ。これから頑張っていこうや」
「分かりました」
美結への評価はあまり良くない。他の人から『模倣』を駆使して真似ているが、残念ながら力が無い。
でも、入学したてだからしょうがないだろう。
それと、美結は教師に対しては素直だと思う。
「次に来栖。戦法自体は悪くない……が、俺相手には不利だろ」
「はい、何処に狙っても意味がありませんでした」
「お前のフェアベルゲン……『確率』は戦闘に組み込む事は可能だが、格上に通用しない」
来栖は槍と弓を使った。
近、中距離の槍と遠距離の弓という事だが、この二つは『確率』と相性が良い。
しかし、『確率』の良くない所は相手の体の何処に当てれば成功するかは確率化してくれるが、格上の場合はほとんどの確率が低い。
なので、格上と戦う時、『確率』無しで戦う事になる。
「後衛向きだろうが、鍛える事は大事だぞ。もしかしたら、前衛に出る事も可能になる」
身体能力が上がれば、『確率』も上手く使う事が出来るという事だろう。
「次に華花実。戦闘においては使えないだろう。しかし、君のフェアベルゲンは戦闘向きじゃない。戦闘に組み込む事も難しいだろう。だから、自分を守る事だけ考えておけばいい」
「は、はい」
華花実が披露したのは体術だが、華花実のフェアベルゲンは完全な後衛の能力でむしろ現場に居ないくてもいい。そのため、戦闘能力を上がる事はあまり良くない。別に鍛える事がダメではなく、それよりも別の事を考える方がいいという事だ。
「次に匠。お前は前に見たからあまり言う事は無いが、もっと応用というのを学んだ方がいい」
「分かっています」
匠は単細胞な感じで力任せである。匠自身に技量はあるが、それでも力任せより劣るため、普段は力任せをしている。しかし、伊島先生が言うには応用もあった方が相手を出し抜く事も可能になるという事だ。
実は言うと、匠に剣を勧めたのは伊島先生だったりする。
「次に小雨。速さについては俺から言う事は無い。しかし、小手先の刀捌きを良くすれば、もっと良くなるだろう」
伊島先生から見ると、小雨は良く出来ている。速さだけで言ったら伊島先生より上だ。でも、小雨の戦法を良くするには大きい攻撃よりも小手先の攻撃の方が良いという事だ。
「例えば、短刀を使ってみたらどうだ」
そこで提案されるのは短刀を使うという事。短刀さえあれば、相手の懐に入っても刀より使いやすいだろう。
通常は刀を使い、相手の懐に接近したら短刀に切り替える事も戦法と言えるだろう。
「短刀も一応刀だからな。フェアベルゲンにも適用される」
刀というのは一つだけでは無い。小刀(短刀も含む)、太刀など刀は複数ある。一つに絞るというのもいいが、別に暗殺者は武人では無い。複数使っても勝つ事が大事なのである。
「分かりました。考えておきます」
「よく考えてくれ。別に強制はしないからな」
小雨は考える事にした。
今までは刀一筋だった。
それを今から変えるという事だ。簡単な事ではない。
「次に太助。初めて見るが、お前の戦法は面白いな」
非戦闘能力の『武器生成』を戦闘用に変えた事に伊島先生は驚いていた。
「一つアドバイスするとしたら、この世に無い武器とか生成してみたらどうだ?」
「えっ、でも効率悪いですよ」
「いや、そうじゃない。作り置きするとか時々でもいいから作る方が能力も上がるやすいだろうからな」
一々、戦闘時に作らなくてもいつも様に作り、作り置きしとけば持ち出せばいいし、通常の武器よりも熟練度が上がりやすくなるではないかという事だ。
「分かりました。やっていきたいと思います」
「そうか、頑張れよ」
これから、ファンタジーで出てくる様な武器が太助によって生成されていくだろう。
「次に摩利。君のフェアベルゲンは俺には測りにくいが、魔法に関しては良いと思う。魔法以外にも戦法はあるか?」
「一応、体術くらい使いますわ。接近されても困りますから」
「うん、そちらは三ツ葉先生に任せよう。先生の方が体術が上手いだろうからな」
「はい、分かりました。武器は使いませんから体術くらいなら教えます」
そこに返事をする三ツ葉先生。
三ツ葉先生は武器を使わない代わりに体術を覚えた。
それなら、剣を使う伊島先生より三ツ葉先生方が良いという事で頼んでおく。
「これで、今日の技術の授業は終わりだ。三ツ葉先生、何かあるか?」
「無いです」
「それじゃあ、終わっていいぞ。解散だ」
そうして、この日の授業は終わった。




