第三十五話 技術特任教師
翌朝、今日は技術だけの授業だ。つまりは昼からだ。
「今から技術の授業を始めたいと思います」
三ツ葉先生が授業を始めた。
「まず、紹介したい人がいます。伊島蛭真先生です」
三ツ葉先生が紹介するのは匠よりゴツゴツの体をした男性だった。
年齢は三十代くらいだ。驚く事に二メートル近くの身長を持っている。
フェアベルゲン持ちの中には体格も変わる人もいるらしい。
「俺は伊島蛭真だ。フェアベルゲンは剣に関係する能力。主に腕力が上がったりする事だ」
伊島先生のフェアベルゲンは剣に関係する能力。つまりは小雨の上位能力(見た目では)だ。
刀だけというのは特化しているという事だ。
剣というだけでも色々あるのだ。大剣、短剣、刀と大きさや構造によって違いがあり、それは特定の武器程特化していくという事だ。
伊島先生も一応刀を使う事が出来る。しかし、それに特化した人よりは劣ってしまうのだ。
「伊島先生!」
「おぉ!匠、お前のクラスだったか」
そこに匠が伊島先生に話しかける。
話を聞くに中等部の時に指導して貰った事があるらしい。
「俺は高等部の技術特任教師だ。高等部の技術の授業に参加し、生徒達と手合わせする教師だ」
伊島先生は二、三年生にも参加する事があるみたいだが、基本的に一年生を担当にするらしい。
他にも技術特任教師は居て、それぞれの学年に参加する。
技術特任教師というのはフェアベルゲン無しでの戦法やフェアベルゲン持ちの対策を教える人達だ。
必ずしも暗殺者をやってきた担任もいる訳もなく、三ツ葉先生のように暗殺者をやってきていない担任もいるので、このような人達が必要とされる。
つまり、技術特任教師は元暗殺者なのである。
ただ、このような人達は元と言っても暗殺者の仕事をしないという訳ではない。
現在はモイヒェルメルダー学園の技術特任教師兼暗殺庁所属の暗殺者というのが正確な役職である。
「明日からは武器使用者は俺と、体術は三ツ葉先生に分かれて指導して貰うと思ってくれ」
技術特任教師である伊島先生が武器使用者の生徒を相手にし、三ツ葉先生が体術を使う生徒を相手にする。
これは別に全部伊島先生が全員を相手にしても良いが、比較的に体術は三ツ葉先生の方が上だからこの様に分けた。
技術の授業というのはその学年によって違う。
基本的に技術特任教師は暗殺者だったので、戦闘特化の場合が高い。なので、その学年全員と相手にする事もある。
逆に担任は暗殺者だった人も居れば、卒業直後の人も居る。技術特任教師と一緒に指導する場合もあるし、技術特任教師と生徒が手合わせをしているのを見て指導する人も居る。
この学年では三ツ葉先生が見るだけという事もあったのだが、伊島先生よりも体術が上手いので、この様になった。
「今日はとりあえず俺と一人ずつ手合わせする。その後、一人一人お前達の評価をしてやる」
今日は伊島先生が迅澄達と一人ずつ手合わせして、実力を測るという事だ。
三ツ葉先生は今回それを観察するだけらしい。
今回は高等部組からだ。
つまりは楽しみ(初等部からという事は熟練度も高いという事)は後でという事だ。
それで迅澄か美結かという事だが、そこは五十音順で迅澄という事になった。
「準備する事はあるか?」
「あります」
伊島先生は大剣を肩に乗せながら聞いてきた。
迅澄は太助の所に行き、武器を生成して貰う。
現在、迅澄は剣、短剣、拳銃二丁を常備している。
太助にはそれ以外の武器を生成して貰う。
「武器はそれだけ使うのか?」
「はい」
「まさか、暗器を使うのか!入学して間もないのにか!」
迅澄が次々と武器を服の中に入れる所を見て、伊島先生は驚いている。
「まぁ、いい。始めるぞ」
その後、迅澄を最初に伊島先生は一人一人手合わせした。




