第三十四話 来栖と華花実のフェアベルゲン
迅澄が気絶から復活し、次に移る。
「次はお二人さんですね」
迅澄は匠、来栖、華花実に、匠は迅澄に実力を見せた。
次は来栖か華花実のどちらかが迅澄に見せる番だ。
「次は私がやりましょう。って言っても私と華花実さんは戦闘向きではありません。ある程度は戦闘は可能としますが、後ろにいる人です」
来栖は『確率』、華花実は『テレパシー』と戦闘向きでは無い。系統も大まかにして異質系、細く言えば『確率』は知識系、『テレパシー』は通信系となる。
ちなみに三ツ葉先生の『演算能力』は知識系に入る。
「それで、私の『確率』なんですが、見せるのは難しいです」
来栖の『確率』は脳内で使うフェアベルゲンだ。主の四系統とは違い、異質系というのは表に見せれるものとそうでは無いものがある。
来栖のフェアベルゲンや三ツ葉先生のフェアベルゲンは見せれないものになり、華花実は表に出せないが、証明する事は出来る。
「例えば、先程の匠と迅澄の勝負は9:1か8:2と圧倒的に迅澄は勝ち目はありませんでした。小雨さん、摩利さん、太助に至ってもそんなに変わりません。でも、私なら五分五分、華花実さんだと迅澄の方が勝つと思います」
戦闘向き(太助を含む)は圧倒的の差で迅澄は勝ち目が無い。来栖はある程度の戦闘能力と『確率』を用いた戦法も持っているため、戦えるレベル。華花実は戦闘能力自体が無い訳では無いが、自分の身を守る程度しか持たないため、勝てるだろうという事だ。
「まぁ、そうでしょうね」
「幾ら言っても半月です。来栖さんと良い勝負ってだけで凄い事だと思います」
来栖の『確率』による分析を摩利は同意、小雨は迅澄を称賛した。
「でも、一ついいかしら?」
「何でしょう?」
そこで摩利は一つ言いたい事があるらしい。
「その『確率』に生死を賭けた場合を条件にもう一度お願いしますわ」
「何故ですか?」
「迅澄のフェアベルゲンは仮定では簡単に死なないような能力だと思います。それを考えた上でもう一度お願いしますわ」
迅澄のフェアベルゲンははっきりとした能力は分かっていないが、それでも簡単には死なないだろうくらいは分かっている。
それを踏まえてもう一度と摩利は言う。
「分かりました」
そして、来栖はもう一度試す。
「え?さっきと違います!」
来栖は驚いていた。
「匠達が五分五分、私と華花実さんは勝てない」
生死が伴うと、戦闘向きである太助、小雨、摩利、匠は迅澄では勝てないが、四人は迅澄を倒せない。
同じくらいの実力を持つ来栖は生死を賭けただけで迅澄の方が上になり、華花実はそもそも勝てない。
「それを参考にすると、迅澄は本当に簡単には死にそうにありませんわ」
「互角とは言えないが、長期戦なるだろうな」
摩利は迅澄のフェアベルゲンが本当に死を遠ざける能力を持つ可能性が高く、死ににくいと考えた。
太助は戦況が変わるとは思っていないようだが、戦い自体は長引くと考えた。
「来栖、このくらいでいいだろ」
「はい、そうですね」
匠がある程度説明出来ただろうと来栖に言い、来栖のフェアベルゲンの説明は終わった。
「つ、次は私ですね」
華花実は来栖の後ろから話し出す。
「わ、私のフェアベルゲンは『テレパシー』。あ、ある相手の脳内に話しかけられる事です。ま、また、私が許可した人は私と会話出来るようになります。ふ、複数になると、私が許可した同士が話し合えるようにもなります」
来栖と同じ異質系の『テレパシー』は簡単に言えば、脳内会話が出来るという事である。
圧倒的に戦闘に組み込めないフェアベルゲンであるため、華花実は自分を守るくらいしか修行しなかった。
必然的に後方にいる立ち位置になる。
「じ、実際にやってみます」
《じ、迅澄さん、こ、こんにちは》
「聞こえます。何処から声が来ているのか分かりません」
迅澄からしたら、右見ても左見てもそこから声が聞こえない。
でも、何処からか聞こえてくる。
《じ、迅澄さん、き、許可しましたので返事して下さい》
《こ、こんな感じかな》
《は、はい、問題無いです》
華花実のフェアベルゲンの『テレパシー』はそこまで難しい事では無い。
念じるだけで言葉伝わるのだから。
「こ、これで私は終わりです。せ、戦闘面は期待しないで下さい」
目的を終えた迅澄達は練習場を出て、寮へと帰って行った。




