第二十六話 自己紹介
教室に先生らしき人が入って来た。
「えぇ、今回この学年を担当する三ツ葉早苗です。よろしくお願いします」
その先生は女性で、小柄ではあるものの凛々しい所がある。
「今年、この学園に初めて入る生徒が居ますので言っておきますが、当学園では初等部の一年生で担任になった先生はその部をずっと担任になります。中等部や高等部も同じなので、高等部は私が貴方達の担任となります」
モイヒェルメルダー学園は担任が初等部六年間同じで、同様に中等部は中等部で三年間同じ担任、高等部は高等部で三年間同じとなる。
その上で、迅澄達の高等部での担任は三ツ葉早苗となる。
「それでは自己紹介をしていきます」
先程、一人の女性が言った通りに自己紹介が始まる。
「それでは私から。私は先程言った通り名前は三ツ葉早苗です。去年は初等部の教師でした。まだその時は担任ではなく、事務の仕事を多かったと思います。今回初めての担任という事で、よろしくお願いします。それと一応、ここの卒業生ではありますが、暗殺業の方は行なっていませんのでそちらの方面は他の教師に教えて貰う方が良いと思います」
担任である三ツ葉早苗は初めての担任にもかかわらず、落ち着きがある。多分、学生時代にリーダーとかやっていたのであろう。
「能力は『演算』になります。やはり暗殺業向きではないので、教師をやっていこうと思っていました。それでも戦闘能力が無い訳ではありませんので、手合わせくらいは出来ると思います」
三ツ葉先生は『演算』つまりは計算力が高いという事です。作戦を考えるとかが出来るかもしれないが、こういうのは事務をやっていた方が良い。
その上で三ツ葉先生は現場に出れないからという事ではなく、事務または教師などの裏方や教育者を選んだのだ。
「次に迅澄君から」
「はい」
五十音順からすると、汐村迅澄の『し』からになる。詳しく言うと城月小雨も『し』なので、正確には『しお』からという事になる。
「僕は汐村迅澄です。今年この学園に入学しました。趣味とかはありません。あと、僕のフェアベルゲンははっきりとしていませんので、これから分かればと思います」
迅澄の自己紹介が終わり、みんなから拍手される。
その後も自己紹介していく(初等部組の小雨、摩利、太助は省く)。
「私は鈴東来栖です。中等部に入学し、繰り上がりという事になります。趣味は読書です。私のフェアベルゲンは『確率』。何でも確率でそれが何%なのかを測る事が出来ます」
来栖のフェアベルゲンは『確率』。例えばある相手とある相手が戦う場合に勝率を出すという事である。それはその人の実力を知らなくても可能とするが、それはより知識を持つ事でさらに正確に出す事が出来る。
なので、趣味である読書は必要な事でもある。
「わ、私は春瀬華花実です。し、趣味は特にありません。わ、私のフェアベルゲンは『テレパシー』です」
華花実のフェアベルゲンは『テレパシー』。脳に直接話しかける事が出来る。これは華花実が許可した者にも『テレパシー』を共有する事も出来る。
「俺は平備匠だ。趣味は筋トレ。俺のフェアベルゲンは一時的な『身体能力向上』だ」
匠のフェアベルゲンは一時的な『身体能力向上』。フェアベルゲンを発動する事で何倍か身体能力の上げる事が出来る。そのため、通常状態の身体能力を上げる事で、フェアベルゲン発動後も上がる。それが趣味の筋トレという事になる。
そして、最後は先程機嫌悪そうにしていた女性だ。
「私は森菜美結だ。趣味は無い。フェアベルゲンは『模倣』。以上だ」
美結のフェアベルゲンは『模倣』。見た物を真似、コピーする事が出来る。特に優れた能力ではないが、まぁ物覚えが良い奴の上位互換という事だろう。
「今年からは迅澄君と美結さんが入って、八人クラスになります。二人は分からない事があったら、私やクラスメイト、他の学生、教師に聞いてください」
このように新学期から入っても、此処では転校生みたいな扱いになる。そのため、学校の事が教師だけでなく、クラスメイトにも聞く事が可能となる。
「それでは入学式をしますので、移動します」
通常の学校場合は入学式をした後に自己紹介をするものだが、このモイヒェルメルダー学園は人数が少ないので、入学式前のホームルームで可能とする。
迅澄達は入学式が行われる体育館に向かう。




