常磐 蒼
*この小説はフィクションです。実在の事故・人物とは一切関係ありません。
それを知るには時間が掛からなかった。なぜなら、翠みたいにパソコンを使って調べることが出来たからだ。
それに、ある事が起きてから翠の様子がおかしくなった。それは、翠の妹である柚葉が交通事故に遭った事だった。突然、知らされた。
『柚葉が事故に遭った。蒼兄さん、今から言う場所に来てくれないか?』
翠から連絡がきた時、俺は驚いた。と同時に衝撃を受けた。昔から二人の面倒を見ていたこともあり、その衝撃はとても大きかった。
それから、数年経った今現在。柚葉の介助をしながら、過ごしている。勿論、両親には言ってある。これ以上なにも起きて欲しくないと思って過ごしているのだが、それは不意にやってきた。
「お兄ちゃんに会いに行きたい」
柚葉は唐突にその言葉を発した。いや、本当はいつも思っていることなのだろうな。だからなのか、その思いが口に出てしまったのだろうと思った。
「蒼お兄ちゃん、翠お兄ちゃんのところに行きたい」
その言葉を受け入れるのには難しかった。交通事故により柚葉が車椅子生活になった為、移動するのに容易ではなかったからだ。それでも、柚葉は翠のいる場所に行きたいという。柚葉の性格上、一度決めると引き下がらない。
仕方ない、受け入れるしかないな。
「分かった。一度連絡してみな」
「うん、蒼お兄ちゃんありがとう」
俺の言葉に柚葉は嬉しそうに笑った。
柚葉の言葉を受け入れたのには理由があった。本当の理由はあの時から翠の様子が変わった。何かを隠しているようになった。
もしかすると、柚葉の事故に関係している事かもしれないと思った。それから密かに調べ続けた。すると、ある事が分かった。事故が続けて多発している。
そして、入手した情報を色々なデータに置き換えて保管しておく。それを元に今までのニュースと照らし合わせると……。
ものの数分でまとめていく。急いで調べたり、あれこれ考えているうちに導き出した。
『× × 市××事故』
「よし、完了。これで後は、」
準備は整った。後は……
*
それから、何日か経った頃。俺と柚葉は翠のところへと尋ねた。正確には押し掛けたといったほうがいいだろう。当然、翠は驚き戸惑っていた。
俺は柚葉に状況を分かりやすくする為に翠に聞いた。途中で説明していけば良かったのだろうが、唐突に決まった事もあり、時間が十分になかった。ここに来るだけの準備で忙しかった、といえば言い訳になるだろうか。
説明を翠からしてもらう為に聞いたのはいいが、そこでタイミング悪く、そこにいた玲央くんの携帯に電話が掛かってきたようだ。玲央くんは翠から友人だと聞いているが、容姿がチャラチャラしている。失礼だと分かっていても、翠がこんな見た目な彼と友人だなんて信じられない。でも、今は信じるしかなさそうだ。
玲央くんは電話が終わった後、どこかへと行ってしまった。その行動に柚葉が思ったことを口にしていた。すると、翠は怒鳴るような声を出した。
俺は再び柚葉に伝わるように玲央くんがどこに行ったのか問い掛ける。どうやら、兄の怜太さんのお見舞いにと病院に行ったらしい。それも良くない状態だという。
これは、何かあると感じた。もしや、俺の予想していた事が起こっているのだろうか。
そして、俺たちはある事を聞かされた。それを聞いて俺は決意する。協力することに。その決意は柚葉を巻き込むことになるのだろうか。しかし、なにもしないわけにはいかない。
俺は《協力》することを決めた。どんな事が待ち受けているのだろうか。
次話更新は12月8日(日)の予定です。
マイペースですが、よろしくお願いしますm(_ _)m




