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6  不慣れ

 前回、同じ話を連続して出してしまいました、申し訳ありません。  

 今回は6話です!

 待ち合わせ場所の昨日のパン屋の前に、火野桐花は腕組みをして立っていた。

「遅い!」

 もうすでに集合時間から30分程過ぎている。昨日の彼女のキスのことを考えてうだうだしていたら遅れてしまったなんて口が裂けても言えない。

「ごめんごめん。悪かったと思ってる。」

 手を合わせ謝っても火野桐花はぷんとそっぽを向いて、俺と目を合わそうとしない。

 初めて見る彼女の私服は、白いワンピースにバラの刺繍が施され、とてもかわいかった。俺のシャツ+ジーパンとは釣り合わないほど。

「そんなんじゃ、彼女ができたとき、速攻で振られるよ。」

「つくる予定なんてないしー。」

 あっそと彼女は生返事だけして、俺より前を歩き出した。俺も慌てて後を追う。

「火野さーん、怒ってますかー?」

「これで怒らないやつはバカだね。」

「どうしたら許してくれる?」

 そうねえと、彼女が立ち止まる。そして振り返って屈託ない笑顔を俺に見せた。

「ラーメンおごりで!」

「断る。」

 俺がスルーすると、火野桐花はずんずんと俺に迫った。昨日のあれが脳内にフラッシュバック。

「君、あれだけ私を待たせておいて、よくもそんなこと言えるわね!」

「君だって。普通のかわいい女の子は、『事故にあったんじゃないかって心配だったのよ、無事で安心したわ。』って言うもんでしょ。亅

 ぶっちゃけ、ここへ向かう途中、それを期待していた。

 火野桐花はぎょっとして、俺から飛び退いた。

「え、そうなの?! 無理無理! そんな心広くなれない! 鈴木くん、絶対ダメ男になりそう。」

「ダメ男で結構だ。」

 俺は火野桐花を抜かし、すたすた歩いた。ふと、通りの人間からの視線を感じた。

 彼女のおかげで休校になった、うちの学校の生徒達がそこら中にちらほら。中にはクラスメイトまでいて、遊びほうけている。

 たぶん、火野さんと鈴木ってそんな仲なの?とか噂してるんだろうけど、どうでもいい。

 俺と火野桐花は協力関係にあるだけ。爆弾魔に俺はこうして協力しているだけなのだ。

 彼女が待ちなさいよ!と言いながら走って、俺の背中を押した。爆破の下見だと思われなければ、どう思われたって構わない。


 今日、俺と火野桐花が向かうのは、「白岩近代美術館」というところ。さっきのパン屋から歩いて15分程の距離にある。

 あいにく、そういうものに興味のかけらもない俺は、地元にも関わらず1度もそこに行ったことがない。建物の前を通り過ぎるといった感じだ。

 確か、どこかの資産家が稼いだお金で建てたとか建てなかったとか。

 そこを爆破したいのなら、何か恨みでもあるのだろうか。

 俺は隣でラーメンに話を延々と語る彼女をちらりと見た。まだ、俺のおごりを諦めていないらしい。

 協力するって言ったけど、俺は火野桐花のことをほとんど知らないんだ。

 なぜ爆弾をつくるのか。その肝心な目的は、まさ分からない。

 彼女の無駄なラーメン話に適当に相づちを打っていたら、美術館に到着した。

 巨大とも言える凱旋門のようなアーチの先には、青く横に目一杯広い建物が待っていた。

 通りを抜けた住宅街の一角にミスマッチなこの建物は、やはり財力の差を物語ったいる。

「君はここに来たことがあるの?」

 アーチをくぐりながら聞いた。火野桐花は真っ直ぐ前を見て、答えた。

「ないよ。」

「ないの? ないのに爆…」

 そこまで言いかけたとき、足を思いっきり踏まれた。痛い!と叫ぶとアーチを歩く周りの客がじろりとこっちを見る。

 彼女も俺を睨み、爆弾魔として言った。

「しっかりしてちょうだい。バカなの?」

「すみません…。」

 アーチで入館料を払い、チケットをもらい、いよいよ入館!なのだが、入口に立つ数人の警備員がぎろぎろとした目が怖い。

 そこを通過すると、彼女がボソリと言った。

「入口にざっと3台の隠し監視カメラがあった。警備体制はまあまあね。」

 そっかとしか返せなかった。監視カメラの存在なんて気にも留めていなかった。

 やっぱり火野桐花は、一般人とは違う。

 ぼーっと彼女との差を感じていると、彼女がガシッと俺の腕を掴んだ。

「ねえねえ! 早くいろんなところまわろ!」

 いきなりの無邪気さに戸惑うが、そうだなと言って彼女の思うまま腕を組まれて歩く。胸が当たってるかもと思うが、気にしないようにしよ。

 これは火野桐花の演技だ、とはなんとなく分かる。恋人のフリをして、自然に美術館に溶け込もうとしてる。

 でもと俺は思って、火野桐花にささやいた。

「自然でいいよ。慣れないことするな。逆に怪しい。」

 彼女は突然の言葉にびっくりしたようだが、ふうと息をつき、俺の腕を離した。

「ありがとう。」

 無理し過ぎたのか、俺にしがみつく腕がかすかに震えていた。彼女だって、爆弾犯である以前に女の子だ。多少の怖さはあったのだろう。

「どこ行こっか。」

 パンフレットを広げて彼女が俺に見せる。俺は周りを見ると、すぐそこに「自然の間」と大きな字で書かれたブースがあったので、あそこにしようと言った。

「行こ行こ!」

 その時、入口からスーツの男達数人がづかづか入って来た。そこの中心にいるのは、メガネをかけてひげの長い杖をついた背の低い老人。

「館長! 段差です、お気をつけて!」

 入口の職員があたふたしており、老人の周りのボディーガードぽい男達はそれを邪魔そうに見ている。

 この美術館の館長って、そんなに重役なのだろうか。館長だからって、そこまで丁重になるものなのか…。

「火野さん、行こ…」

 すると、火野桐花が俺のシャツの背中を掴んだ。ちらりと見ると、力がグッと込められており、うつむいてぷるぷる震えている。

「あいつ…。」

 俺ははっとこっちの方に向かって来る館長の軍団を見た。

 館長になぜあんなにおびえているのか…。

 俺は、火野桐花の腕を引っ張って、そばのソファに座らせた。そして、館長らがそばを通り過ぎるのを待った。

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