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第93話『形勢逆転』

リアルの用事とゲームのイベントが重なってただでさえ忙しいのにバック2連誤タップで書きかけの内容が消し飛ぶという事件が重なった結果投稿が遅れました

 

「っ!そうか!リクルスには【縛弾】があるのか!」

「あぁ、それもあるな。けど今回はそっちじゃねぇ」


 こんな時のための仕掛けは既に仕込んである。


 リクルスがそう告げると同時に、ガンッ!となにか……硬い樹皮のようなものをこれまた硬いもので殴りつけたような音が鳴り響く。


「なッ!?」


 しかし、それに驚いたのはカレットだけで、リクルスはこの現象を事前に知っていたかのように、普段通りの声音で言葉を続ける。


「さっき【連衝拳】を『蓄撃』で仕込んだ時に【縫撃(ほうげき)】……『体術』でスタン性能があるアーツをついでに仕込んどいたのさ。まさかこんなに早く使うとは思わなかったけどな」


 誰も居ないはずの場所から衝撃が来る……エンシェントトレントもさぞ驚いた事だろう。その巨躯をビクッと震わせようとする。

 だが、それ以上体が動く事はなかった。【縫撃】によるスタンの影響で行動が封じられているためだ。


「ってなワケで、カレット!今だ!」

「っ、了解だ!【四重(ファイアレーザー)火線(・カルテット)】ッ!そして……!【四重(ウィンドレーザー)風線(・カルテット)】ッ!」


 突然の現象に驚いていたカレットだったが、それで攻撃のチャンスを逃すというような失敗をすることは無く、即座に今放てる最大威力の攻撃をエンシェントトレントの太枝向けて放つ。


 全てを焼き貫かんと荒れ狂う4本の火の光線と、全てを穿たんと荒れ狂う4本の風の光線、それらすべてがカレットの手によってひとつに束ねられる。


 主によって無理矢理にでも束ねられたそれらの魔法は、やがて純白の輝きを帯びて一筋の光線となり、エンシェントトレントの最後の太枝を根元から消し飛ばした。


「はっはぁ!貫通力ならブレスにも負けん!どうだ!劣化版……いや、【白龍砲・貫通型】の威力は!」

「やっぱぶっ飛んでるよな、お前の魔法。俺が5分近く下準備して叩き出したダメージを一瞬で出すんだから嫌になるよ……っと【チェンジNo.0(オリジナル)】」


 太枝と共に、残り半分程あったはずの3本目のHPバーのほとんどを消し飛ばした計8発の【レーザー系】魔法による複合魔法【白龍砲・貫通型】の威力に、カレットは満足そうに頷く。


 それを横目にリクルスは心底ゲンナリした呟きと共に装備を入れ替え、太枝による攻撃……『大地の豪腕』を装備した状態では防げない攻撃を放てなくなったエンシェントトレントの懐に、躊躇い無く飛び込んで行った。


「行くぞッ!【狂化】ァ!太枝がなくなりゃこっちのもんだ!喰らいやがれ!【鎧砕】ッ!からの【乱牙】ッ!」


 まずは【狂化】で自身のINTを下げつつSTRを上昇させる。現在リクルスの【狂化】のスキルレベルは8であり、上昇率下降率共に80%となっている。

 リクルスは一切魔法系のスキルを取得していないのでINTにSPを割り振っていないので、それだけの超強化が実質ノーリスクでの強化で使用出来る。これは彼が持つ相当な強みだろう。


 続いて、エンシェントトレントの巨体に防御力低下効果のある【鎧砕】を打ち込んで防御力を低下させると、そのまま『体術Lv.8』アーツの連撃技の【乱牙】を使い猛攻を仕掛ける。

 縦横無尽に振るわれる四肢を完璧に操り、エンシェントトレントをまるでサンドバッグのように殴る蹴るの乱撃を繰り返す。


 この【乱牙】の恐ろしいところは、連撃が途切れるまではーー上昇率は微々たるものとはいえーー延々と1発ずつの威力が上昇していく、というところにある。


 その“連撃が途切れる”の判定だが、直前の1発から次発を当てるまでに5秒以上の間隔が開くか、連撃の最中に1度でも攻撃を喰らうかする事がトリガーとなっている。


 ここだけ聞くと【連衝拳】と似ているが、【連衝拳】が【衝拳】というアーツを左右の腕で絶え間無く繰り返し、連撃継続の判定がシビアな代わりに連撃が途切れるまでは1発の攻撃と判断されるのに対し、【乱牙】は連撃が続く限り1発ずつの威力が上がり、また連撃判定も【連衝拳】よりも緩い代わりに、1発1発は別攻撃と判断される。


 つまり、【連衝拳】は続く限りは『蓄撃』を使用して1発として付与できるが、【乱牙】は出来ないという事だ。

 そもそも、【連衝拳】という技は、スキルレベルの他にプレイヤースキルも必要になるという性質上、かなり難易度の高い攻撃なのだ。


 リクルスは簡単に使っているが、左右の腕で交互に超ハイペースで絶え間なく【衝拳】を繰り出さなければならない【連衝拳】は使いこなせるようになるまでにかなりの訓練を必要とするのだ。

 リクルスが【連衝拳】をすぐに使いこなせるようになったのは、幼少期から物覚えが早かったことと、彼が両利きであるというところも大きいのだろう。


「アッハッハッハッハッ!太枝がなければエンシェントトレントなぞ恐るるに足らず!このまま殴り倒してくれるわ!」

「いいぞリクルス!そのまま殺ってしまえ!木の葉や細枝に邪魔はさせん!【二重(ファイアスト)火嵐(ーム・デュオ)】ッ!【四重(ファイアボール)火弾(・カルテット)】ッ!」


 ただひたすらに【乱牙】による嵐のような猛攻を繰り返すリクルスと、それを止めようとエンシェントトレントか繰り出す細枝や木の葉を自慢の『火魔法』で尽く焼き尽くすカレット。


 つい先程までは防戦一方だったのが嘘のように今度は一方的にエンシェントを滅多打ちにして行くリクルスとカレット。

 2人を苦しめていたのは防御に全神経を集中しなければ防げない太枝による攻撃だったので、それが無くなればこうなるのは当然と言えるだろう。


「アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!」


 防戦一方だった今までとは異なり、むしろこっちが一方的に殴り続けている事に精神的な要因か、それとも【狂化】にそういった効果があるのかは分からないが、リクルスはタガが外れたように狂気すら感じるまでに笑い声を上げてエンシェントトレントを殴り付け続ける。


 その度に【乱牙】の効果によって僅かに威力が上昇していき、さらに1発1発は微々たるものでもその数は凄まじく、その猛攻から僅か数秒後。

 ついにエンシェントトレントの3本目のHPバーが尽き、最後の段……4本目に突入する。


 と、そこでまた戦況に変化が現れる。

 カレットの【白龍砲】から始まりリクルスの【乱牙】まで続いた2人の攻勢で全4本中3本のHPバーが尽き、HPが全体の25%になった事で、エンシェントトレントの行動パターンが切り替わる。


『ーーーーーーーーーーーーーーーーッ!』


 エンシェントトレントが枝葉を震わせ、それに合わせて発せられた音無き声が衝撃波となって空間を駆け抜ける。


「うおッ!?」

「なッ!?」


 その衝撃は、至近距離で【乱牙】を繰り広げていたリクルスはおろか、遠距離から細枝や木の葉を焼いていたカレットすらもよろめかす程の強さを持っていた。

 そんな衝撃を至近距離で浴びたリクルスは、ダメージこそないものの吹き飛ばされ、【乱牙】の連撃判定も途切れてしまう。


『ーーーーーーーーッ!』


 再びエンシェントトレントがその巨躯を震わせる。

 すると、鮮やかな緑色で生い茂っていた木の葉は血のような赤黒い色に変わり、地面から太枝程ではないがそこそこの太さを持つ根が何本も突き出してくる。

 樹木本体の色も明るい茶色だったものが、より濃くより暗い、焦げ茶色のように変色していく。


 そのより凶暴性を感じさせる攻撃的な姿は、残りHPが少なくなったボスが発動する最後の強化状態……俗に言う凶暴化モードにエンシェントトレントが突入した証だ。


「エンシェントトレントももう後がないって訳か」

「ふふっ、楽しくなってきたなぁ!」


 しかし、この程度で怖気付く2人ではない。


 2人はむしろ、これまでよりも楽しそうに笑みを浮かべ、凶暴化モードに入ったエンシェントトレントに向けて各々の武器を構えた。


エンシェントトレント戦は次回で終わるかな?

そうしたら幼馴染2人のステータスも出せそう


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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