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第80話『何も無い場所でまた始めよう』

ラブコメの最終回みたいなタイトルですがそんな事はありません。

ラブ要素もコメ要素もありませぬ。

 

 ひたすら繰り返される『弓術』による陽動と『縮地』『隠密』を駆使してのヒット&アウェイと言う名の時間稼ぎ。

 最初の内はそれでも十分逃げ回れていたのだが、だんだんとジャジャがこちらの動きに慣れて来たのか、【クライショット】による陽動もあまり効果をなさなくなって来ている。


 さらには俺の弓での攻撃が自身に一切ダメージを与えない事にジャジャも気付いたらしく、【クライショット】を筆頭に様々な手を打っているが、飛んでくる矢を完全に無視し始めたのだ。


「これもダメか……!」


 ヒット&アウェイを繰り返している内に『弓術』のスキルレベルが7になり、それによって使用可能になった【ボムショット】という当たると爆ぜる矢を放つアーツで攻撃するも、矢は言うに及ばず発生した爆発すらジャジャにダメージを与える事は叶わなかった。


 こうなると、足が治るまでトーカに打てる手はもう無い。


「まだ足治んねぇのかよ……!」


『ドゴポシャッ!』


「うぉらっ!」


 毒づきながら飛んできた毒液を左足1本の『跳躍』で回避する。


 辺り一面毒沼にされたせいで動ける範囲も限られて来てる……そろそろ逃げ回るのもキツくなってきたな。


 最初に比べて随分と広くなった毒沼地帯に辟易しているトーカの前で、未だに仕留められない事に痺れを切らしたのかジャジャが毒液を辺り一面に撒き散らし始めた。


『ドゴポシャ!ドゴポシャ!ドゴポシャ!』


 ジャジャはまるでスプリンクラーのように……というと言い過ぎだが、それでも相当なハイペースで辺り一面を毒液に沈めていく。

 その狙いすら付けない無茶苦茶な毒液連発は、トーカ個人を狙った物というよりは、周囲を毒沼に変えることが目的なのだろう。


 っ!あの野郎マジかよ……

 狙って当たらないなら辺り一面を毒沼にしちまえってか?


「さすがにこれは以上行動範囲削られるのは不味いな……【インパクトシェル】ッ!」


 毒液を雨のように降らせようとでもしたのか、ジャジャが真上に向けて毒液の塊をタイミングを狙って、その毒液塊の上に移動し【インパクトシェル】でジャジャに向かって弾き返す。


 自分で吐いた毒液を頭から被ったジャジャは、ダメージこそないものの相当面食らったようである。『シャァッ!?』と声を上げて毒液を振り払うように頭をブンブンと振っている。


「とりあえずはセーフってところか。さすがにアレやられたら動ける足場が残りそうもないからな……」


 そう呟くトーカを、ジャジャが憤怒の色が浮かぶ瞳で睨み付けて来る。あの毒液塊を弾いた代償に、トーカの姿はジャジャに補足されてしまった。


 完治には程遠いとはいえ、右足もある程度は動くようになってきたが、それだけでこの毒沼地帯で逃げ回るのは至難の業だろう。


「まずは毒沼(これ)をどうにかしないとな……」


 ジャジャは自身が生み出した毒沼をものともせずに動き回っているが、俺はそうもいかない。

 一応ひとつ毒沼をどうにかする手段はあるのだが……


 それを今の状態でジャジャを相手に実行するのはとてもじゃないが現実的とは言えない。


『シャァァァァァァァッ!!』


「っ!ヤバッ!」


 思案するトーカに、ジャジャの噛み付きが襲いかかる。

 毒沼に一瞬意識を向けていたせいで、回避が間に合いそうに無い。いや、そもそも近くに咄嗟に回避出来るだけのスペースが無いと言った方が正しいか。


 トーカは苦い顔をしながら、ジャジャの噛み付きを迎え撃とうと半ば悪足掻き気味に鉄のメイスを構える。

 眼前に迫ったジャジャの巨大な顔に、1発ぶち込もうとトーカが鉄のメイスを振りかぶり……


 ヒュオッ!


『シャァッ!?』


 それが振り抜かれるより先に、どこかから飛来した1本の矢が的確にジャジャの眼球を撃ち抜いた。


「っ!今だ!」


 眼球を撃ち抜かれた事でジャジャが怯んだ隙に、その場から離脱する。矢を放った者が何者なのかは分からないが、それでも助けられた事に違いはない。


 他のプレイヤーか?

 いや、それはない。ここは結構森の奥だし、出てくるのも蛇系ばかりで旨味が少ない。俺みたいにクエストでも受けてないとこんな奥までは入り込んで来ないだろう。

 ならNPCか……?

 だが、それこそこんなフィールドの奥にNPCなんて……あぁ、1人いたな。もし彼なのだとしたら……そうか、恐怖に打ち勝ったのか。


 隙は彼が作ってくれた。ならそれを活かさない手は無い。


「毒沼が無い場所まで下がって衝撃に備えろッ!」


 出せる限りの大声を張り上げ、直ぐに『跳躍』と『空歩』で跳び上がる。『手加減』で範囲を目測で確認した最も遠い毒沼がある地点までにし、万が一に備えて『峰打ち』を発動する。


 そして……


「【グラビトンウェーブ】ッ!」


 鉄のメイスが地面に叩き付けられた瞬間、衝撃が走り抜ける。


 衝撃が収まると、そこには辺りを侵食していた毒沼が綺麗サッパリ消し飛んだ草1本無いまっさらな地面が広がっていた。

 トーカの十八番である高所からの【グラビトンウェーブ】が辺り一帯を更地に変えたのだ。

 普段は副作用で周囲を更地化させてしまう【グラビトンウェーブ】を、今回ばかりはそれを目的として放った。


 その結果は……見ての通りである。


「ふぅ、これで動きやすくなったな」


 元は森であり、ついさっきまでは毒沼地帯であった更地に更地化させた張本人であるトーカが降り立った。


 動きを制限していた毒沼が無くなり、さらには直接攻撃した訳では無いが、高所からの【グラビトンウェーブ】を食らったジャジャのHPも5%ほど減少している。


 そんなジャジャに向き直り、鉄のメイスを構え直す。

 と、そこで足の感覚が変わった事に気が付つく。


「お、しかもちょうど足が治ったか」


 右足の先で地面を2度3度軽く蹴り、感触を確かめる。

 違和感や動かしづらさはもう無い。これならもう普通に動けそうだ。


「さぁて、邪魔な毒沼は無くなった。覚悟しろよ」


 鉄のメイスを振りかぶり、トーカが駆け出す。


『シャァァァァァァァァァァッ!!』


 そして、それを迎え撃つようにジャジャも咆哮を返す。


 今ここに、トーカVSジャジャ、その第3ラウンドが幕を開けた。


予約投稿完全に忘れてました……

あとここ一週間くらいリアルがめっさ忙しかったのでほぼ執筆が出来てませんので……次回は2日後に投稿できるか分かりませぬ


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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