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第79話『カキンッ!』

前々から構想をねってた書きたいシーンと突発的に思い付いて書いたシーンを上手く繋げる能力が欲しい

 

 じゅわっと音を立てて毒沼に踏み込んだ足が腐食し、激しく損傷した右足では体を支える事が出来ず、トーカはバランスを崩してしまった。


「っ……らぁ!」


 毒沼に倒れ込んだらどうなってしまうのか……それは、一足先に毒沼に触れてしまった右足を見れば一目瞭然だ。

 そうなる前にトーカはまだ無事な左足で無理矢理『跳躍』し、毒沼から距離を取る。


 片足での『跳躍』でまだ地面が残っているエリアに退避し、なんとか事なきを得たトーカだったが、それはあくまでその場しのぎに過ぎない。

 未だジャジャとの戦闘の真っ最中であり、現にジャジャはまた毒液吐瀉の構えを取っている。

 この足の状態では満足に回避する事は出来ないだろう。


「まさに絶体絶命ってヤツか……!【ヒール】!」


 そう毒づきながら、毒沼に踏み込んだせいで減少したHPを【ヒール】で回復させる。減少したHP自体は大した量ではないが、右足の腐食によって機動力はそがれてしまっている。

 一応『回復魔法Lv.7』で使用出来るようになる【リジェネイト】というスキルで部位欠損の回復ができるが、右足のこれは欠損扱いではないらしく効果は期待出来そうに無い。


「クッソ、しくったな……」


 回復を済ませると、鉄のメイスを杖代わりにしてよろとよろと立ち上がる。なんとか歩く事はできそうだが、この状態で走るのは難しそうだ。

 時間経過で損傷による行動制限は回復するだろうが、問題はそれまでこの状態で逃げ延びられるかどうか……


「やるしかない……かっ!」


 片足だけの『跳躍』のバックステップで出来る限りジャジャから距離を取り、木陰に身を隠す。同じ場所に留まり続けるのは危険なので、『縮地』と『隠密』を活用しながら木々を影にして何度か移動し、位置を撹乱する。


 蛇は視覚だけでなく、ピット器官と呼ばれる器官を使って熱で獲物を探すと聞いた事がある。ジャジャもそうなのかは分からないが、これだけで長時間逃げるのは難しいだろう。


 ある程度はこちらからも打って出なければジャジャの毒液にあっという間に辺り一帯を毒沼に変えられてしまう。そうなったら足が治っても勝ち目はほぼ無い。


「こういう時に一瞬で装備を変更するスキルだかアイテムだかが欲しくなるよな……」


 ジャジャを最大限に警戒しながら、鉄のメイスをしまい鉄糸弓を取り出す。いつもなら打撃武器以外を装備した時点でSTRがだだ下がりになってしまうが、例の黒い靄のせいで今の俺のSTRは素の値しかない。

 イベントの最初以来日の目を見ることが無かった『弓術』の久しぶりの活躍だ。


 まぁあれ以来ほぼ使ってなかったから、上手く当てられるかは分からないが……


「【ステルスショット】」


 今使用したのは、『弓術Lv.3』で使用可能になる、通常よりも威力が下がる代わりに無音で飛んでいくという暗殺向けのアーツである。

 

 ふつうに矢を射るよりも低威力とは言え『不意打ち』と『外道』そして『邪々堂々』による与ダメ上昇があるので、多分他のプレイヤーが使う生半可なアーツよりは威力があるはずだ。

 さらに、これらの称号による与ダメ上昇はステータス上昇では無いので黒い靄によって無効化されない。


 これなら鉄のメイスを使った時程ではなくとも、多少のダメージは見込め……


 カキンッ!


「生物の体に当たった音じゃない……!」


 なんだよカキンッ!って!完全に金属同士が当たった音じゃねぇか!


 思わず心の中でそう叫んでしまう。


 とはいえここで立ち止まってもいられない。【ステルスショット】がダメなら次の手を打つまでだ。


「いくら低威力のアーツとはいえここまでとは……【クライショット】ッ!」


 キィィィィィィィィィンッ!


 トーカが放った矢は、先程とは打って変わって耳が痛くなるようなかん高い音を立てながらジャジャに向かっていく。


 今回使用したのは、【ステルスショット】と同じく『弓術Lv.3』で使用可能になるアーツで、通常よりも威力が下がる代わりにかん高い音を撒き散らしながらで飛んでいくという、先程は放った【ステルスショット】と真反対の性能を持つ陽動向けの弓術アーツである。


 もちろん先程全く効かなかった【ステルスショット】と同じ低威力のアーツが効くとは思っていないので、これはこのアーツ本来の目的である陽動である。


 その狙いは上手く行ったようで【クライショット】の奏でる大音量の風切り音にジャジャの注意が引き付けられる。

 矢その物は先程の再現のようにカキンッと音を立ててジャジャの鱗に弾かれるが、目的である陽動はしっかりと出来たようだ。


 ジャジャが【クライショット】が飛んできた方面に毒液をぶちまけるが、ジャジャの毒液によって毒沼に変えられた場所に俺は既にいない。【クライショット】を放った直後に『縮地』で別地点に移動済みだ。


「これならどうだ!【レインショット】ッ!」


 弓でジャジャを直接狙うのでは無く、山なりに矢が飛ぶように弓を斜めに構えて射る。

 すると、最高到達点に達した辺りで1本だった矢が12本に増え、その全てが雨のようにジャジャに降り注ぐ。

 この【レインショット】は、『弓術Lv.4』で使用可能になるアーツで、山なりに放つ事で『スキルレベル×2』本に矢が分裂して雨のように対象を襲うというものだ。

 今の俺の『弓術』のレベルは6。つまり、1度の【レインショット】で降り注ぐ矢の数は12本。

 1本1本が称号達によって強化された矢による上空からの物量作戦……これなら……!


 カキキキキキキキキキキキンッ!

 カキンッ!


「ものともしねぇ……!」


 しかもなんか1発遅れてるし!

 だが、くよくよしてるヒマは無い。物量作戦がダメなら単発で高威力のアーツを使うまでだ……!


「【レーザーショット】!」


 この【レーザーショット】は『弓術Lv.6』で使用可能になる……つまり、現段階で俺が使える最強の弓術アーツだ。

 射った矢がまるでレーザーのように高速で突き進むという、貫通特化の高威力アーツだ。これならさすがに……


 カキンッ!


「もう打つ手がねぇ……!」


 いや……うん。なんとなく予想はついてたよね。

 多分ジャジャの鱗って斬撃とか刺突とかに高い耐性を持ってるっぽいってのは。

 今までは鉄のメイスで殴ってただけだからあんまし意識してなかったけど、多分俺が剣とか使うタイプのプレイヤーだったらまともに戦えなかったような気がする。


 とりあえず、俺ではジャジャに弓でダメージを与える事は出来なさそうだ。大人しく足の回復を待つしかない。

 とはいえ何もしない訳には行かないので、『縮地』で逃げ回りながらもちまちまと矢で攻撃は忘れない。


 俺の足が治るのが早いかジャジャの一撃が俺を捉えるのが早いか……


 これは持久戦になりそうだ。


久しぶりの『弓術』君の出番でした!

狩人メインの話も作る予定なんですが……この調子だといつになることやら


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公称号取りまくって最強!って感じだけど他プレイヤー称号無さすぎない? モンスターも称号無しを基準に作ってそうだから主人公は16倍通常より簡単になってそう
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