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第78話『便利過ぎるのも考えもの』

いつものパターンでブッパしたからジャジャ戦終わったと思った?

ところがどっこいまだ続くんだなこれが


 

 何が起こったか実に単純。


 ① 『威圧』を発動しながらジャジャに向かって駆け出します。


 ② 1歩目の踏み込みのタイミングで『威圧』を切って『隠密』『透明化(インビジブル)』『縮地』『跳躍』の4つを同時発動し、不可視の状態でジャジャの真上に移動します。


 ③ そのまま『跳躍』と『空歩』と『縮地』で上空へと跳び上がり、最高到達点で地上にいるジャジャに向かって最後の『空歩』で踏み込み、突っ込んで行きます。


 ④ 装備条件によって装備出来なくなった重鋼鉄棍ではなく鉄のメイスを装備し、最高のタイミングでジャジャの頭部に全身全霊の【グラビトンウェーブ】を不意打ちで叩き込みます。


 この4ステップをミスなくこなしただけだ。


 え?【グラビトンウェーブ】一辺倒で攻撃にバリエーションが無い?これしか出来ないのかって?

 うるせぇやい。この高所からの落下【グラビトンウェーブ】の使い勝手がよすぎるんだよ。


 地面を殴る威力がそのままスキルの威力に繋がるという【グラビトンウェーブ】の特性上『跳躍』と『空歩』で高所に跳び上がってから落下の勢いもプラスして放てば、無配慮に撃てば辺り一帯を周囲の敵ごといとも簡単に更地に変える程の威力を誇り、『手加減』で範囲を絞れば超高威力の単体攻撃にもなる。

 確かに最大火力を出すために必要なステップが多いので、状況によってはあまり効率がいいとも言いきれないが、それでも1度決まれば大抵の敵は一撃で弾け飛ぶ。


 こんなの使わない方が損だって。


 現に、これを喰らったジャジャの頭部は見事に爆発四散し、その巨躯は力無く地に伏している。


 呪いに蝕まれ、守っていたはずの村を自ら滅ぼした哀れな守り神の命は、今ここに散ったのでした。


「めでたし、めでたし……って訳にはいかないよなぁ」


 そう呟くトーカの視線の先では、頭部を失ったにも関わらずジャジャの体が動き出していた。

 頭部を失った生物がゆらりと起き上がる姿は、なかなかにを通り越して立派にホラーだ。


 いやね?ジャジャがまだ生きてるのは分かってたんだよ。

 だって頭無いのにHPは7割以上残ってたんだもの。これが本来の生命力なのか呪いによる効果なのかは分かんないけどさ……しぶとすぎるだろ。


 現実逃避気味にそんな事を考えているトーカの視線の先では、ジャジャはさらなる生命力(しぶとさ)を発揮していた。


 頭部が爆ぜ、肉が剥き出しになった首(蛇に首があるのかは分からないが)から、じゅぷじゅぷと不快な音を立てながら黒い靄が溢れ出し、その靄はやがて確かな質量をもって蛇の頭部をかたどり始める。


 不快な音を立てながら頭部を再生して行くという、生理的な嫌悪感を抱かずにはいられない光景に、トーカは思わず眉をひそめる。

 知らず知らずの内に口から「うわぁ……」と言葉が漏れてしまった事も、仕方の無い事だろう。それだけ気色悪い光景だったのだ。


『シャァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!』


 超高威力の不意打ちを喰らったジャジャはまさに怒り心頭といった様子で、荒々しい咆哮を撒き散らしながら忌々しげにトーカを睨みつける。


 空気がビリビリと震えるような凄まじい音の波にトーカは思わず1歩後ずさり、そのタイミングを狙ったかのようにジャジャの尾による鋭い一撃がトーカ目掛けて叩き込まれる。


「あぶっ……ねぇ!」


 転がるようにしてジャジャの尾を紙一重で避ける。


 やはり最初の頃とは速度が段違いだ。今回はなんとか避けられたが、この先も常に避け続けられるかは怪しいところだ。


「高所からの【グラビトンウェーブ】は割とガチで俺の最強の一撃だったんだが……さすがにちょっとへこむな」


 殴る度に“ガァァァンッ!”と硬質な音を持って攻撃をはじき返すジャジャの鱗の硬さに辟易しながらも、トーカはただひたすらに鉄のメイスを振り続ける。


 ◇◇◇◇


 何十発……下手したら100発近く硬質なジャジャの鱗を殴り続け、そろそろ手の痺れキツくなって来た辺りで、今までは比較的ワンパターンだったジャジャの動きに変化が現れた。


『ゴポ、ゴポポ……』


 ジャジャは口を大きく開き、空を見上げるように首を垂直に立て、口内(正確には喉の辺り)からゴポゴポと嫌な水音を奏で始める。

 そして、その数秒後、ジャジャの口から暗い紫色の液体が吐き出された。


「これ絶対に喰らったらヤバイタイプのヤツだ!【インパクトシェル】ッ!」


 本能的に危険を察知したトーカは、ジャジャが吐き出した液体が飛んでくる軌道上の空間に鉄のメイスを全力で叩き付ける。

 使用したのは、『棍術Lv.5』で使用可能になる【インパクトシェル】というアーツ。

 (くう)を叩き、衝撃波を発生させる事で相手の遠距離攻撃を防ぐという、『棍術』唯一の防御系アーツである。

 一応直接攻撃も防げない訳では無いが、アーツの性質上タイミングがとてもシビアになる上に近接攻撃には【インパクトシェル】を使うよりも普通に避けるか武器で受けるかした方が効率がいいので、普通はしない。


 そして、このアーツには【グラビトンウェーブ】と似た特性があり、【インパクトシェル】によって発生する衝撃波……つまりはこのアーツによって防げる攻撃の程度は、空を叩き付けた際の威力に比例する。

 つまり、空を強く叩けば叩く程より防御性能が高まるのだ。

 ちなみに【インパクトシェル】によって発せられる衝撃波に攻撃性能は無いので、トーカの超火力を活かして攻撃用に流用する事は出来ない。


 また、叩き付ける威力によって防御性能が上下するという特性上、トーカが使う上でこのアーツは相当に優秀な、トーカとの相性がいい防御系アーツとなる。


 その事を示すように、トーカの放った【インパクトシェル】による衝撃波の盾は、ジャジャが吐き出した紫色の液体を見事に弾き飛ばす事に成功した。


 衝撃波の盾に弾かれ周囲に飛び散った紫色の液体は、しゅうしゅうという音と薄紫色の煙を立てながら触れた木々や岩などを腐食させていく。

 毒液か、はたまた高濃度の酸なのかは分からないが……どの道喰らわないに越したことは無さそうだ。


 毒液(という事にしておく)を弾き切ったトーカはそのままジャジャに殴りかからんと踏み込み……


『ゴポゴポ……』


「連発してくんのかよ!」


 ジャジャが再び先程と同じように吐瀉の構えを取り、異音を奏で始める。

 先程毒液を防いでみせた【インパクトシェル】は、絶賛CT中なのでトーカは避けるしかない。


『ドゴポシャ!』


「あっぶねぇ!」


 飛んでくるジャジャの毒液の塊を『縮地』を使い回避する。

 トーカに回避されたジャジャの毒液は、一瞬前までトーカがいた場所の地面に直撃し、音を立てながら大地を腐食させる。

【インパクトシェル】の衝撃波によって散らされていない毒液の塊の威力は凄まじく、毒液が降りかかった一帯が毒沼と化してしまっている。


 離れれば尻尾による薙ぎ払いが、近付こうとすれば毒液による妨害が乱れ飛び、思うように戦う事が出来ない。

 さらに、ジャジャの毒液によって作り出される毒沼のせいで足場が減っていき、機動力も削がれてしまう。


「だーもう!環境破壊が甚だしいな!それでも元守り神か!」


 自分の事は棚に上げてそんな事を口走る程度には連発される毒液と、それに付随して作り出される毒沼によってトーカのストレスが蓄積されていく。


 思うように戦えないストレスがトーカの中で徐々に募りだし、ストレスは次第に焦りへと変わっていく。


 焦れば焦るほど動きは雑になり、より一層思うように攻撃が出来なくなる。さらにはたまに攻撃出来ても全くと言っていいほどダメージが通らない。

 そのせいでさらに焦りが加速し、さらに動きが雑になる。


 今のトーカは完全に悪循環に陥っていた。

 そして、ついに致命的な隙となるミスを犯してしまう。


「あっ……!」


 続々と飛んでくる毒液の回避に意識を割きすぎたあまり、周囲への警戒を怠ってしまい、毒沼になってしまっているエリアに右足を踏み入れしまったのだ。




今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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[一言] まえがきもあとがきもあるの嫌
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