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第7話 外道式兎狩り

 

「うーん、大兎って実在すんのか?」


 大兎探索からはや15分、森の中をさ迷いつつ出会ったウサギを蹴ったり亀甲棍で殴ったり罠で動けなくしたウサギでゴルフしてみたり弓使ってみたり色々したが特に上位アイテムと思われるものは落ちなかった。


 その過程でレベルが2つ上がり遂にレベルが10になったりもしたが特に目新しいものは得られなかった。強いて言うなら亀甲棍が相当強いと言う事だ。


 そして必要数集まってからの角のドロップ率には叫ばずにはいられなかった。おかしいだろ!ぽんぽん角落ちやがって!更に相変わらずの肉のドロップ率には軽く恐怖すら覚える。


「見つかんねぇなぁ。確か亀の時は池から這い上がって来るのをたまたま見つけただけだったしな。なんか条件があるとかそういう感じなのか?」


 時間も後5分しか無いしもう切り上げるかと思い始めた頃、森の少し奥の方まで入って行って初めての開けた場所に出た。大体直径10m程度の円形に開けた場所で周りより生えている草が低い。


「お?この辺りは草が少し低いな。他のところでは膝辺りまであったのが足首までも無い。これは自然になったとは考えにくいし……食べられてるとかか?」


 少し興味が出てきた俺はここら辺を少し調べることにした。とは言ってもあまり広くは無いし全て調べるのにさしたる時間はかからなかった。


 結論から言うと特に目立つものは見つからなかった。強いて言うなら端っこの方に穴が空いていたという事だけだ。


「怪しいのはこの穴だけだな。ぱっと見何かの巣穴っぽいけど」


 角ウサギの巣だとしても結構大きく入口だけでも3回りは大きい。

 これはもしかしてもしかするんじゃないか?


「まさか探してた大兎の巣穴……とかか?とりあえず穴の前に罠を張っておくか」


 今回使うのはトラバサミ、レベル1で使える2つの罠のうち凶悪な方だ。ちなみにもう片方はダメージを一切与えないその場に縛り付けるだけの罠だ。再使用可能間隔が短いので使いやすい。逆にトラバサミは再使用可能になるまですこしかかる。


「さて、罠は仕掛け終わったし後は誘き出すだけだが……なにか方法は無いかな」


 仕掛けるだけ仕掛けてその後の事を何も考えてなかったので自分のステータスとにらめっこして考える。普段はもう少し考えてから行動するのだが……初めてのVRゲームでテンションが上がっているのだろう。それから少ししていい案が思いついた。


「このスキルなら行けるんじゃないか?」


 ステータスに記載されているスキルの一つに目をつける。そのスキルとはウサギ狩りの中で手に入れた『咆哮』だ。

 物欲センサーのせいで入手したと言っても過言ではないこのスキルだが効果は以下の通り。


『咆哮』

 叫ぶ事によってモンスターのヘイトを自分に集める

 非戦闘状態の時に使用するとモンスターが寄ってくる

 非常にうるさい


 つまりここで咆哮を使えば中にモンスターがいるなら出てくるのではないかと考えた訳だ。辺りにプレイヤーの影はないし叫んでも平気だろう。更に言えば結構な量の兎を狩ったから辺りの兎も少ないハズだ。


「さて、早速試してみるか。あ〜あ〜……よしっ」


 喉の調子を確かめてから思いっきり息を吸い込む。


 すぅ〜〜〜


『アァァァァァァァァァァ!!!』


 諸々のストレスなどを込めて思いっきり叫んではみたもののあまりの音の大きさに思わず耳を塞いでしまう。レベル2でこの音量とか凄すぎないか?


「耳がキーンとする……」


 自分で出した声だがあまりにも大き過ぎて耳がよく聞こえなくなってしまった。これレベル10の咆哮を町でやったら軽いテロじゃねぇか。


「っと忘れるところだった、『隠密』っと」


 隠密を発動し穴から距離を取る。それから少しすると巣穴から何かがのっそりと出てくる。よく見るとそのシルエットはこのゲームでは1番馴染みのある角ウサギだった。しかしその大きさは普通の角ウサギよりも2回りは大きい。


「ビンゴッ!やっぱ居たんだ!」


 そのまま外に出ようと歩みを進める。


 そしてーー


 ガチィン!


『ピギュァ!』


 見事にトラバサミを踏み抜き左後脚に思いっきり食い込んでいる。HPバーを見ると2%ほど削れた上にHPが更にじわじわと削れていっている。


「おぉ、トラバサミすげぇな」


 トラバサミの威力に関心しながら俺はゆっくり横に回り込む。巨大亀にも打ち込んだ不意打ちアタックを繰り出すのだ!


 自分に【アタックアップ】をかけたら準備完了。隠密を使いトラバサミに注意を引き付けられている大兎に近づいて行って発達した右脚を思いっきり殴り付ける。あれより更に進化した一撃受けてみよ!


「【インパクトォォショットォォ】!!」


 ドゴォォォォォン!!!


 棍術レベル3で使用可能になるアーツ【インパクトショット】。この技は特に特殊な効果はないがその分1発の威力が高いタイプのアーツだ。視界の端に今回の攻撃でどの効果が発動したかをアイコンで教えてもらえるシステムがあるのでそれによると外道も不意打ちもしっかりと発動したらしい。ついでに亀甲棍の水属性も発動してる。


 よってダメージは外道で2倍、不意打ちで2倍、ラビットキラーで1.2倍、アタックアップで1.2倍、更に水属性に弱かったらしく弱点属性ボーナスで2倍で合計11.52倍と言うえげつない強化倍率。巨大亀に打ち込んだ攻撃よりも約3倍のボーナスがかかってる事になる。しかも俺自身のSTRも上がっているし恐らくジャイアントキリングも発動してる。そんな事もありとんでもないダメージだ。


『グギャピッ!』


 案の定トラバサミごと吹き飛んで少し大きい木に思いっきりぶち当たった大兎のHPバーは一撃でゼロになり断末魔の叫びをあげて光となる。巨大亀の時のように苦戦することもなく一撃で決まった事に俺自身若干引いていた。巨大亀の時のような事がないように気を張っていた事もあり少々呆気に取られてしまう。


「わ、わーお」


 自分で叩き出した予想外のダメージに呆然とその場に立ち尽くし口をぱくぱくさせていると脳内にファンファーレが鳴り響きドロップ品が表示される。


 《レベルが上昇しました》

 《レベルが上昇しました》

 《『罠術』のレベルが上昇しました》

 《称号『一撃粉砕』を取得しました》

 《称号『ラビットキラー』が『ウサギの天敵』に変化しました》


=======================


 ・大兎の肉×3

 ・大兎の脚

 ・大兎の堅角けんかく

 ・大兎の前歯

 ・兎脚靴ときゃくぐつ

 ・兎のお守り


======================



「ッしゃぁ!角落ちた!」


 何か色々気になるものはあるけど今は角が落ちた事が純粋に1番嬉しい。やっぱりあの角落ちない事件は例外だったんだ!

 他にも初めて落ちた前歯や巨大亀の時と同じく装備品だと思われるものも落ちていたので恐らく大兎や巨大亀は小ボス扱いなのではないだろうか。


「さぁて性能確認だ」


======================


兎脚靴ときゃくぐつ

 大兎の脚の構造を利用した靴

 LUK%の確率で脚での攻撃に風属性が追加される

 装備してる間はスキルに『跳躍』が追加される

 AGI+15


======================


======================


『兎のお守り』

 大兎の姿が描かれたお守り

 身につけると動きが素早くなると言われている

 AGI+10 風属性攻撃で与えるダメージが10%上昇する


======================


「亀のお守りはペンダントだったけど兎のお守りは腕輪みたいだな。兎脚靴もそうだが亀甲棍で下がるAGIを補えるのは嬉しいぞ」


 実際に装備してみる。兎脚靴はほんのうっすらピンク色が混じった白いブーツだった。真っ白なのも髪色にあっていていいのかもしれないが、狩人の森に紛れるような色合いの服とはミスマッチ過ぎて合わないな。神官服になら色合い的に似合うんだろうけど……まぁこのごちゃごちゃ感もゲーム序盤の醍醐味か。


 兎のお守りはウサギがぴょんぴょん飛び跳ねて腕輪を1周してるようなデザインになっている。大兎がモデルらしいがとてもコミカルになっていて可愛い。一撃で爆散した大兎がモデルとは思えないな。粉砕したの俺だけどさ。


 さて、クエストで必要なアイテムは綺麗な水を除いて全部手に入ったな。まぁ綺麗な水なら噴水で採れるのが分かってるしもうクリアしたようなもんだろう。


 お次は称号、不穏な響きだが外道を取得してしまった俺に恐れは無い。さぁ、なんでも来い!


======================


『ウサギの天敵』

 ウサギ系モンスターを一定以上討伐し更に大兎を討伐した証

 ウサギ系モンスターに与えるダメージとウサギ系モンスターから得られる経験値が1.5倍になる


======================


 これは純粋にキラーの強化っぽいな。特に経験値1.5倍は大きいぞ。


======================


『一撃粉砕』

 強敵を一撃で討伐した証

 自身の攻撃の初撃のダメージが2倍になる


======================


 シンプル、それでいて強い。初撃2倍とかヤバすぎるでしょ。これは超ありがたいぞ。


 時間を確認すると丁度12時になったところだった。そろそろログアウトして昼食の用意をしないとまずい時間になってきた。


「さて、ログアウトするか。あっ、でもこれってこのままログアウトしていいもんなのか?確か町の中かセーフティゾーンでしか即時ログアウトって出来ないじゃなかったっけ?」


 記憶が確かなら町の中やセーフティゾーン以外でログアウトすると5分だか10分だかその場にアバターが残って、モンスターやPKの格好の餌食になるとか何とか待機時間に読んだ電子説明書に書いてあった気がする。


 うーん、どうしたものかな。いっその事木に登って木の上でログアウトするか。木の上なら見つからないだろうし。

 木に登って来るモンスターがいたらご愁傷様だ、諦めよう。


「えーっとこの木なんか良さそうだな。登りやすそうだし枝もしっかりしてる。この上でログアウトするか」


 早速木登りを開始する。だがこれが意外と難しく何回か落ちてしまいその度に【ヒール】を使っていたので回復魔法のレベル上がる。戦闘よりよっぽど多く回復魔法使ってるんだけど……


 結局木に登る事が出来たのは十数度目の挑戦の時に『軽業』を入手してからだった。『軽業』を手に入れてからはスイスイ登ることが出来た。やっぱりレベル1でもスキルの有無は大きいな。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『トーカ』


  ジョブ:神官


  サブ:狩人


  Lv. 12


  HP:100/100

  MP:150/150


  STR:30(+20)

  VIT:6(+14)

  AGI:20(+20(25-5))

  DEX:20(+2)

  INT:20

  MND:1

  LUK:20

  SP:80


【パッシブ】


【スキル】

『棍術Lv.3』 『弓術 Lv.1』

『罠術Lv.2』

『回復魔法Lv.2』『付与魔法Lv.1』

『投擲Lv.1』『見切りLv.1』

『体術Lv.3』『咆哮Lv.2』

『不意打ちLv.1』『隠密Lv.3』

『剣術Lv.1』『軽業Lv.1』

『跳躍Lv.1(装備スキル)』


【称号】

『ウサギの天敵』『外道』

『ジャイアントキリング』

『一撃粉砕』



【装備】

 メイン

『亀甲棍』

 サブ

『初心者の短剣』

 頭

『なし』

 上半身

『見習い狩人の服(上)』

 下半身

『見習い狩人の服(下)』

 腕

『なし』

 足

『兎脚靴』

 アクセサリー

『亀のお守り』

『兎のお守り』

『なし』

『なし』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


どうしてこうなった……本来なら高いAGIと高威力の突進で厄介な敵になるはずだったのに……

まぁ……やらかした感はありますがここはご都合主義タグを免罪符にお許しくだせぇ


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします!

ブクマしてくれた方や読んでくれてる方、本当にありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] ここまで読んでみたが主人公を含めた人間、NPC問わず(それどころか地の文まで)舞台装置か何かみたいにしか感じる事ができずに断念した 連載中の先の展開がどうなのかは知らないが「物事を起こす人…
[一言] ほんとに序盤しか読んで無いけど、倍率高すぎでしょw ゲーム初日で取れるスキルで倍率10倍の攻撃とか明らかなクソゲー。 多分、この称号とかスキルは中々取れないものなんだよー、みたいなご都合主義…
[一言] 称号全部重複すると称号集めるだけのゲームになりそうだ。どっちかって言うとオフラインのゲームっぽい。
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