第65話 こんにゃくメンタル
あっあっあっ……
絶賛スランプ中でござい
流石に1ヶ月空ける訳には行かぬと執念の投稿です
人生とはまさに一寸先は闇の最適例だろう。
予期せぬ事ばかりが起こり、未来の事象を予期出来るなどという事はほぼ無いと言ってもいい。
あ、「明日学校がある事は予期出来る!」とか言うくだらない屁理屈は却下します。隕石が学校に落ちて臨時休校になるかもしれないし、地上げ屋が学校の土地売れとか言ってきて授業どころじゃなくなるかもしれない。と言うか当然と思ってる事の方が予期せぬ事の対象になるんだよ。
例えば……
「頼むっ!お前さんにしか頼めないのだ!どうか……どうかアレを始末してくれ!始末してくれた暁には我が秘術をさずけよう!」
街中を歩いていたら見知らぬおっさんから怪しげな対価と引換に、ヤバ気な依頼をされる……とかな。
あ、もちろんゲームの話だぞ?
◇◇◇◇
時は遡る。一寸先の闇に引き摺り込まれる少し前へと。
一寸先の闇に飲み込まれた者が、その闇を喰らい、己の糧とする事件の前日譚へと。
◇◇◇◇
第2の町、正式名称【ウクスタ】に到達した翌日。月曜という憂鬱な日程を乗り越えて《EBO》にログインしたトーカは、1人【ウクスタ】の街を散策していた。
「【トルダン】がthe町みたいな感じの町だったのに対して【ウクスタ】は田舎町みたいな落ち着いた感じなんだな」
トーカの抱いた感想の通り、【ウクスタ】のコンセプトは『田舎町』である。町らしくガヤガヤとしていた【トルダン】とは一風変わって、落ち着いた静かな雰囲気の町並みに石材よりも木材が多く使われた家々、そして所々に点在する緑がより一層この町の自然との一体感を醸し出さしている。
「新鮮な果物だよー!買った買った!」
「ん?……お、梨……っぽい果物が売ってる」
1人で町を散策していたトーカは、呼び込みの声につられて視線を向けた先に、道先に店を構えた果物が並んだ店を見つけ、すっと引き寄せられていった。
「おばちゃん、コレ1つください」
「あいよ!ナシ1つで80トランだよ」
恰幅のいい店番のおばちゃんに実体化させた80トランを渡し、引換にナシ(もう見たまんまの梨)を受け取る。
「ところで……あんた、見ない顔だけどここらの人じゃないね?」
「あぁ、最近トルダンからこっちに移って来たんだ」
「ほぉ、トルダンって言ったらアレだろ?少し前に魔物の大軍が襲撃して来たって言う……」
「えぇ、あの時は大変でしたよ」
「やっぱりねぇ、あんたもこっちに避難してきた口かい?お互い大変だねぇ」
ん?おばちゃんの口ぶりに何か引っかかる……
「お互いって事はおばちゃんもトルダンから?」
「いや、私は違うよ。住んでた村が滅んじゃってねぇ。あっはっは」
いやいや……笑い事じゃないぞ、おばちゃんよ。
まさかのカミングアウトに言葉を失うトーカ。
そんなトーカに当のおばちゃんはやれやれと首を振った。
「滅んじまったもんはしょうがないだろう?だったら前見て生きていかないとね!まぁあれさ、私は一種の災害にあったと思う事にしてるのさ」
「そう、なんですか……」
メンタル強すぎだろこのおばちゃん!あなたのメンタルはオリハルコンなんですか?
「まさか、こんにゃくだよ。受け流しただけさ」
「読心術!?」
「あっはっは!いやなに、この話をするとみんな同じ様な反応をするもんだからねぇ。経験則ってヤツさ」
「そ、そうなんですか……」
なんてパワフルなおばちゃんなんだ……人類みんなこのおばちゃんみたいになれれば……いや、それはそれで大変か。
「まぁ詳しく知りたいなら別の奴にでも話を聞きな。あの村に住んでた奴は大体ここに流れてきたからね。たしか村長がこの近くに住んでたはずだよ」
「あぁ、わざわざどうも」
おばちゃんがさらさらと紙に地図を書くと、それを手渡してくれる。受け取るとすぐにスッと消えてしまったが、マップに【滅んだ村の元村長宅】と言うポイントが浮かび上がってきた。
「あーでも……まぁ大丈夫だね」
「えっ?なんですか?」
「気にしない気にしない!若いもんが一々細かい事気にしちゃハゲるよ!」
「は、はぁ……」
パワフルなおばちゃんの勢いに流されたトーカは疑問を残しながらその屋台を後にし、自称こんにゃくメンタルのおばちゃんが教えてくれた元村長の家へ向かう。別にクエストでも何でもないのだが……なんというか気になってしまったのだからしょうがない。
やって来たのは『泣鹿亭』がある様な裏路地の一角。裏路地と言っても自然光が入りにくい立地と言うだけで【トルダン】の路地裏の様な陰気臭い……と言っては失礼だが、そんな場所ではない。
コンコンッ
マップに表示されている元村長の住まいにたどり着いたトーカは、木造の扉を数回ノックする。
すると、ややあってから、しわがれた老人の声で「開いておる……」と聞こえてきた。
「失礼します……」
遠慮がちに家の中へと入ったトーカの視界に入り込んできたのは、立派なアゴ髭をたくわえた白髪の老人だった。
どちらかと言うと村長よりも長老と呼ばれていそうな雰囲気を纏っているその老人は椅子に腰掛け、グラスを傾けていた。
一瞬、酒の類いかと思ったが、青汁(の様な物)の様だ。しかも最近に多い飲みやすくした物とは違い、薬効成分のある草花をすり潰した汁の様な健康的に青々しい色合いの物だ。
それをまるで上質な酒を楽しむかのようにチビチビと舐めている。
「ほぉ……?来客、それも見知らぬ者とは珍しいのぉ……この老いぼれに何か用かね?」
「えぇ、向こうの通りで果物屋をやっていたおばちゃんから教えてもらって。失礼かも知れませんが村が滅んだ事について少しお聞きしても?」
「ふむ……」
亀の甲より年の功とは言ったものだが、長ろ……村長はこちらを見定める様な深い光を宿した瞳でじぃっと観察されると、心の内側を覗かれているような錯覚に陥る。
「ふむ……アマンダさんの紹介ならそうなんじゃろうな……」
村長老はもう一度頷くと、ぽつりぽつりと語り始めた。
「村が滅んだ、滅ぼされたのは今から三月ほど前の事じゃった……。
儂等が住んでいた村には守り神様がおってなぁ、守り神様は儂等に安全と豊穣を授け、儂等は守り神様に供物と神楽を捧げる。その様にして儂等は今まで生きてきた。
安全と言っても無病息災という訳ではなく、儂等では対処しきれない猛獣や日照り等から守ってくれる程度。豊穣と言っても食べきれぬ程に豊作という訳ではなく、儂等が毎食満足行くまで食べても少し貯蓄が残せる程度。供物と言ってもそんな大それた物ではなく、男衆が狩ってきた獣や自家製の酒などを少々捧げる程度。神楽と言っても堅苦しい儀式然とした物ではなく、女衆が感謝を伝えために心のままに舞う程度。儂等の方が貰いすぎかもしれぬが……儂等は、儂等の爺の爺の爺の……と言う具合に村が出来た当初からこの様な関係が守り神様との間に続いておった」
そう語る村長老の瞳は穏やかで、過去の素晴らしい日々を思い出している様にも思えた。
しかし、そこまで語った所で一度言葉を区切ると、悲しそうに顔を伏せる。そして数秒、あるいは数分の間俯いていた村長老が顔を上げる。その瞳には、隠しきれない悲哀の色が宿っていた。
「しかし……あの日、村が滅ぶほんの数日前のことじゃ。普段は多くても鹿等の獣を2〜3匹と樽2つ程の酒を求めるだけの守り神様が……あろう事か【ヒト】を求めてきたのじゃ……」
書きたいことも頭の中でまとまってるのに文章に起こせない苦痛……
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします
ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!
今後も当作品をよろしくお願いします!




