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第64話 惰眠を貪るのもほどほどに

えっと……次回以降の投稿が遅れまする

詳しい話は活動報告の方に書いておきましたので……


その事を伝える為に急遽書いた日常回ですので内容は薄いどころか読まなくてもなんの支障も無いレベルの話ですが……ご容赦くだせぇ

 

 ロッ君マラソン(ハードモード)を行った翌日。

 変なテンションで何時間もぶっ続けで単純作業をし続けた護は精神的に満身創痍となり、今日が日曜日である事をいい事にとりあえず朝に洗濯物をパパッと干してから二度寝に勤しんでいた。


 既に時計の短針は12の文字を少し通過しており、それは護が午後までベッドの上で寝ては起きて、起きては寝てを繰り返し、惰眠を貪っていた事を何よりも雄弁に物語っている。


 日曜日とはいえ午後まで寝ていると言う普段の護からは考えられない自堕落な行為だが、当の護本人はとても幸せそうな顔で布団に包まれていた。


「あ゛〜おうあいおいあうえぇ(もうなにもしたくねぇ)


 もはや子音を発音せず、母音だけで言葉を紡ぐ程度には今の護はだらけきっていた。


 もう今日はこうやってグダグダ過ごしてもいいよな?明日から本気出すし……などと本気で考えていた護が、もう何度目かわからないうとうと感に身を任せ、もう何度寝かわからない眠りにつこうとした丁度その時。


「ま〜もっる君!遊び〜ましって窓開かねぇ!?」


 惰眠を貪る護に向けて刺客()が送り込まれてきたのだ!


 もう僕は疲れたんだよ……このまま寝かせておくれよ……


 薄れゆく意識の中で、護はそう心の中で呟き瞼を閉じようとするが……そうは問屋が卸さない。


「護っ!聞いてくれ!お母さんが……って開かない!?」


 それでもなお惰眠を貪り続ける護に向けて第2の刺客(明楽)が送り込まれてきたのだ!


「護く〜ん、開かないんですが〜」

「この窓壊れてるのか?開かないぞ?」


 ………………


「おっかしいなぁ……いつもなら開くんだけどな……」

「はっ!まさか護が閉じ込められてるのか!?」


 …………


「うーん……こうなったら仕方ない……か」

「こうしてはいられない!こうなったら!」


 ……


「「ぶち破るしかない!」」


 ファッ!?何を言い出すんだコイツ等は!?


「お前らはバカかッ!?」


 護はたまらず2人を怒鳴りつける。しかし、怒鳴られた当の2人の反応は……


「おぉ、わざわざ外にいた俺達を中に入れてお茶用意してくれてから正座させて怒鳴りつけて来たよ」

「流れる様な招き入れ、お茶の用意、正座の要求(強制)、そして説教の流れ……さすが護!」

「ねぇ、お前等怒られてる自覚ある?」


 確かに2人を中に入れたしお茶も出したけどさぁ……普通怒鳴られたら多少は怒られてる雰囲気を出すもんじゃないのか?


「んぐんぐ……ぷはぁ!お茶うめぇ!」

「説教中に怒られてる奴が茶を飲むな!」

「護!茶菓子は無いのか!?」

「あるわきゃねぇだろ!説教中だぞ!」

「そうだ護。窓の建て付け悪いから変えた方がいいぞ」

「鍵かけてんだよ!」

「何で!?」

「防犯だよ!普通かけるだろ!」


 もう疲れた……何なのコイツ等……


「話は変わるが、護の寝間着は……なんというか、珍しい柄をしているな……」

「あ、やっぱ明楽もそう思う?」


 明楽の微妙に言いにくそうに呟いた言葉に瞬がすかさず合いの手を入れる。話題に上がっているのは、俺の寝間着。先日、現在海外にいるらしい父さんから届いたお土産……なのだが、とにかくデザインが頭おかしい。


「仕事で京都行ってくるわ」と言っていた父さんから、4日後位に「仕事の都合で*■∀◇ю■(聞いた事の無い地名、恐らく海外)に行く事になったんで、これから飛行機乗るわ。家の事は任せたぞ!」とメールが来た時は思わず携帯をベッドに投げ付けてしまった。


 とまぁそんな経緯のある俺の寝間着なのだが、とにかくデザインが頭おかしい(2回目)


「えーっと……その、それで外出歩くなよ?」

「さすがに寝間着じゃ出歩かねぇよ」

「それで玄関先の対応もダメだぞ?」

「さすがに寝間着じゃ玄関対応しねぇよ」

「護……俺が言いたい事、分かってて逸らしてるよな?」

「時には素直に認める事も大切だぞ?」

「…………2人とも……」

「「流石に返り血パジャマは無いわぁ……」」

「そんなん俺が1番分かってるわ!しかも着心地が最高にいいのがまたイラつくんだよ!」


 そう。俺が現在着ている、父からのお土産として送られてきた物は、あろう事かベッタリと返り血が付着したパジャマだったのだ。

 もちろんガチの返り血では無く、真っ白な下地に点々と、所々にはベッタリと真っ赤な色が染料で着色されているのだ。


 仕事先の名産品とか言ってたが……父さんはどこに行ってるんだ?


「とにかくこれは気にしないでくれ。元々こういうデザインなんだよ……」

「りょ、了解」

「わ、分かったぞ」


 護が少し悲しそうに目を伏せると、瞬と明楽は慌てて了承の意を示す。


「それで、何の用だ?俺は昨日の疲れが残ってるから今日は惰眠を貪ると決めているんだが」

「昨日のってお前……やるって言ったのお前じゃんかよ」

「びっくりしたぞ!叩き起されたと思ったら2回目のロックゴーレム狩り……ロッ君マラソンをやるぞって頭溶けそうなくらい何度も戦わされたんだぞ!」

「でもレベルも上がったろ?俺も疲れたんだ、だから今日は俺もゆっくりし」

「「だから昼まで待っていたんじゃないか!」」


 俺の惰眠宣言に被せるように2人が言い切る。そうか、待っていてくれたのか……

 頼んだ覚えは無いが……な。


「それは分かった。だが、何の用があって俺を待っていたんだ?」

(せーの)

「「そうだ、第2の街に行こう!」」

「…………行ってらっしゃい?」

「お前も行くんだよ!」

「ロックゴーレム倒しただろ!?だったら第2の街に行けるようなったじゃん!行きたいとは思わないのか!?」


 俺の言葉に異様に反応する瞬と明楽。ようやくロックゴーレムを倒せたんだから早く行きたいという気持ちが強いのだろうが……


「別にロッ君倒さなくても行けただろ?何でロッ君倒してから急に行こうって言い出したんだ?」

「「えっ?」」


 俺の言葉にぽかんとした表情を浮かべ、まぬけな声を漏らす瞬と明楽。


「えっ?」


 そんな2人に俺からもまぬけな声が漏れる。


 ……どういう事だ?


「えっ?ロッ君倒さなくても行けるってどういう事だ?」

「いや、そのままの意味だぞ?」

「でもさ、次の街に進む為にはフィールドボスを討伐してそのエリアを通れる様にしないと行けないんだろ?」

「あぁ、そうだな」

「ならおかしいだろう!?ロッ君がフィールドボスなのに倒さなくても行けるってのは!」

「そうだそうだ!おかしいじょのいこ!」


 ……何を言っているんだ?この2人は。


「……声漏れてるぞ」

「おっと、すまない。……何を言っているんだ?この2人は」

「はっきりと声に出して言えっていう訳じゃねぇ!」

「だってさ、フィールドボスってロッ君だけじゃないだろ?」

「「へっ?」」


 再びぽかんとした表情を浮かべ、まぬけな声を漏らす瞬と明楽。

 へっ?って……2人はもう忘れたのだろうか、もう1匹のフィールドボスの事を。


「覚えてないか?岩蜥蜴……《ロック・リザード》だよ。アイツ倒した時にさ、フィールドボスを討伐しました〜みたいなの出ただろ?」

「「………………そんな事もあったような無かったような?」」

「覚えとけよ……」


 俺が俯きため息を吐きながら言うと、2人とも露骨に乾いた笑い声を漏らし視線をそらす。


「ロッ君マラソンしなくてもよかったなら言ってくれりゃよかったのに!」

「ロッ君マラソンは元々しなくてもよかったんだぞ?レベリングしてただけだし」

「そうだけど!そうだけども!」

「まぁまぁ、落ち着け。そもそもの話行けるってだけでそこで満足に戦えるかって言ったらそうでも無いぞ?」

「およ?どゆこと?」

「なぬっ?どういう事だ?」


 頭にクエッションマークを浮かべながら瞬と明楽の2人が首を傾げる。その姿が妙にシンクロしており、護は苦笑いを浮かべた。


「ちょっと前……岩蜥蜴を倒した3日後くらいかな?瞬も明楽もログイン出来ないってんで俺だけログインした日があったじゃん?」


 明楽はクラスの女子グループとカラオケだかどっか行っていて、帰ってくるなり遊び疲れたのかすぐ寝てしまい、瞬はマザーのお怒りに触れてしまい機器を1日没収されてしまったために2人とも《EBO》にログイン出来なかったのだ。


「そん時に1人で蜥蜴洞窟に行ってきたんだよ」

「なぁっ!?俺が母さんにこき使われてる間にそんな事してたのか!?」

「あぁ……あの日か。あの時は楽しかったな、委員長が歌い過ぎて喉が大変な事になっていたな」

「あぁ、それであの日普段おしゃべりな委員長がまったく喋らなかったのか……」


 公的な場や真面目な所ではわきまえるが自由時間になると際限なくおしゃべりを続ける委員長は我がクラスの風物詩だ。しかも一方的にしゃべるのではなく、しっかりと相手にも喋らせるのだから話し上手の聞き上手なんだよなぁ……


「っとそうじゃなくて、洞窟の話だ。ある程度奥に進んで行くとあからさまに狭い通路があったんだ。恐らくフィールドボスを倒してないと通れない設定なんだろう。そこを通り抜けるとまだ洞窟の中だったんだが……敵のレベルが跳ね上がっていたんだ。多分そこが第2エリアなんだろう」

「「ほえ〜」」


 コイツ等……だからなんだ?って顔してやがる。いや、わざとか?どちらにしても説明はしろってことなんだな。


「多分だけどある程度は第1エリアでレベルを上げてから挑む事が前提なんだろうな。だからロッ君マラソンでレベリングしたんだよ」


 あのまま第2エリアに行ってたら、下手したら1発で即死まであるからな……


「つまりは第2エリアに行くにはある程度レベルを上げておかなきゃ行けなかったんだ。そしてロッ君は経験値も美味い上に宝石も落とすから周回にはうってつけなんだよな」


 ついでに言うならメイが「いらないなら『核心石』を売ってくれないかな?」と聞いてきたので俺の手待ちは少しを残してメイに売ってある。生産職は儲かるのか、メイが特別なのかは分からないがメイは結構な金額を稼いでいるらしく、金払いがよかったので俺の懐も相当に潤った。


 ふと興味が湧いて『核心石』で何をするのか聞いてみたところ、『錬金術Lv.10』と『核心石』、そしてメイが持っている特殊なスキルがあればプレイヤーでもゴーレムを造って使役出来るらしい。


 流石にロッ君クラスは造れないだろうが……それでも末恐ろしいものがあるな……


 閑話休題


「そんな訳でレベル上げをしてたんだが……思いの外疲れたので今日は寝ます」

「「させるかぁ!」」


 もぞもぞと布団に潜り込もうとした俺を、瞬と明楽が素晴らしい連携プレイで引き摺り出す。


「……はぁ、貴様等……我の惰眠タイムを奪うつもりか?」

「何故にラスボス風?」

「いや、言ってみたかっただけ」

「そ、そうか」


 その後、壊れたラジオの様に「第2の街に行こう!」と繰り返し始めた2人に根負けし、第2の街に行く事になった。

 明日でもよくね?と行ったら「それ絶対行かないヤツ!」と言われてしまった。


 いや、流石に行くよ?行かなきゃゲーム進まないし……



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