第61話 眠る明楽起きる瞬を走らす
※今回は掲示板回ではありません
後書きにてスーパー言い訳タイムを開催しています
本当に申し訳ありません
時が経つというのは意外と早いもので、お祭り騒ぎだったイベント結果発表からもう既に1週間が経った。
その間に瞬が母親の怒りを買い、次の小テストで90点以上取らないとゲーム禁止と言われ、護に泣き付いて必死に勉強する……という事件もあったが、今までに無い必死の猛勉強によって瞬は93点を記録し、なんとかゲーム禁止は回避した。ちなみに護と明楽は普通に100点をとっていたそうな。
「ゲーム解……禁ッ!」
護の部屋にベランダ伝いにやって来るや第一声がこれである。
「次同じ事になっても手伝わないからな……?」
「えぇっ!?」
護の返しに相当驚いた様でわざとらしく仰け反って見せる瞬に、護の対面で行進曲の名を冠するお菓子を齧っていた明楽が呆れたようにしている。
「そんなの当たり前だろうに……護みたいに日頃から予習復習をやれとは言わんが……せめて授業は真面目に聞いた方がいいぞ?後々こうやって自分の時間が削られることもなくなるしな」
「いや、俺だってそんなやってないぞ?……瞬に教える事が復習になってるだけだ」
「これぞwin-win!って言うかなんで明楽はそんなに勉強出来るの!?普通に考えてこっち側の住人じゃないの!?」
「……?何を言ってるかは分からんが勉強など日頃の授業をしっかり聞いていれば大体分かるだろう?」
「天才型許すまじ!」と恨みがましく言い出した瞬の口めがけて煎餅をフリスビーの様な感じで投げつける。
顔面目掛けて飛んできた煎餅をガシッ!と口でキャッチした瞬は煎餅をもぐもぐしながらその場に腰を下ろす。
「それで……俺がいない間の《EBO》ではなんかあったん?……お、この煎餅うめぇ」
「あぁ、ついこないだにアプデがあったぞ」
「ほむほむ、内容は?」
「多少の不具合とかバグの修正と武器種の追加、あとはHPの仕様変更だな」
そう言ってこの1週間完全に勉強漬けにさせられていた瞬にアップデートの内容を伝えていく。
武器種の増加については読んで字のごとく、様々な種類の武器、そしてそれに対応する派生武器スキルが追加された。
そして『鍛治』スキルでオリジナルの武器を作れる様になったとの事。
なんでも、今までのシステムではどんな武器種を作るかを事前に決めて作成する。そして、その形から大きく逸脱すると作成失敗になっていたため、オリジナル武器を作るのが難しかったらしい。
しかし、今回『鍛治』スキルに『自由作成』という派生項目が増え、完全フリーな武器作成が出来るようになったのだ。
もちろん難易度は跳ね上がるし、使えたもんじゃない物も出来るらしいが。
そしてHPの仕様変更としては、基礎HPが『レベル×100』となり、これによってSPを振らなくてもHPが増加するようになった。
今まででHPにSPを振ったプレイヤーには振った分のSPを返還し、割り振られた分のHP上昇を打ち消しにした様だ。
もちろん今まで通りHPにSPを振ることは出来るので、返還されたSPを再びHPに振ったプレイヤーもそこそこいるらしい(主にタンクなど)
他に大きな修正は無く、せいぜいが軽度のバグや不具合の修正が行われた程度だ。その内容も主にアイテムの文字化けの修正らしい。
……という事を、気に入ったのか投げつけた煎餅と同じ種類の煎餅をひたすらバリボリと口内に運んでいた瞬に10分近くかけて説明する。
ちなみに、その間暇そうにしていた明楽は自分の部屋からマンガを持ち込んで読みふけっていた。
「だいたいこんな感じだ」
ばりぼり……ごくんっ
「なるほど」
ぼりぼり……
「食うのをやめろ!」
遂に我慢の限界に達した護は、瞬が齧っていた煎餅をバッ!と取り上げる。しかし、瞬は「あぁっ!?」と情けない声を上げながらも流れるような動きで新しい煎餅へ手を伸ばす。
「やめろと言ってるだろ」
「えー」
「えーじゃないだろ……せめて人が説明してる時ぐらいは遠慮しろよ……」
疲れたようにため息をつきながら肩を落とす護。その手はしっかりと煎餅へ向かう瞬の手を叩き落としていた。
「2人は俺がいない間は何やってたんだ?」
「第2の街が見つかったって話もあったけど……俺と明楽は行ってないな」
「およ?なんでなん?」
「明楽が瞬の事待ってやろうって言ってさ」
「おぉ……優しさが身にし……」
「だから瞬がいない間は2人でひたすらに、ただひたすらにロックゴーレムでスクラップを作ってた」
俺がそう言った瞬間、瞬の安心したような嬉しそうな表情が凍りつく。そしてギギギ……と擬音が聞こえてきそうな程にゆっくりとした動きで首を動かし……
「……レベル、いまおいくつで?」
いつの間にか俺のベッドでマンガを読みながら寝落ちしていた明楽にチラッと視線を向け、次に表情筋が機能停止した瞬の虚ろな目にしっかりと自分の目を合わせ、静かに呟く。
「……俺もカレットも40を超えた」
「………………」
「あと、何十周もしたから『核心石』っていうレアドロップっぽいアイテムや宝石類も大量……という程ではないがそこそこに手に入ったぞ」
「バカやろぉぉぉぉ!」
そう言い残し、瞬はベランダから去って行ってしまった。
その数分後、瞬から怒涛のメールラッシュが送られてくる。
その内容は全文同じで『こうなりゃヤケだ!アイツが寝ているうちに明楽……いや、カレットには追い付きたい!手伝ってくれ!』
という内容だった。しかもそんな内容のメールが約5秒に1通の割合で送られてくるのだ。俺のスマホがバイブレーション設定にしてあるからいいものの……音が出る設定だったら大変な事になっていたぞ。
ところで瞬はいいのだろうか?手伝ったら俺もレベル上がるんだけど……
その旨のメールを送ったら、ややあって『カレットに負けなければいいんだ……』と送られてきた。さいですか。
瞬から大きな対抗心を燃やされている当の明楽はと言うと、実に幸せそうな顔でまだ眠っている。これはなかなか起きそうに無いな。
部屋の収納に仕舞ってある、明楽用のチョウチンアンコウ模様のタオルケットを引っ張り出してきて、明楽にかけてやる。
ちなみに、俺の部屋には明楽用のなかなかに前衛的な柄の物が1つ、シンプルなデザインの瞬用の物が1つと2つの布団セットが保管されている。
突発的お泊まり会を開催するとき用に俺の部屋に置いてあるのだ。
何故俺の部屋なのかとか、高校生にもなって男女が同じ部屋で寝るのかとか、そう言う事は聞かないで欲しい。幼少期から続いている習慣なのだから仕方ないのだよ。
明楽にタオルケットをかけてやった後に、《EBO》にログインするための準備をする。
普段はベッドでログインするので起きた時に体が痛くならないようにクッションなどで調整してから、いざゲームの世界へ……行こうとした所で、未だにバイブし続けるスマホが視界に入ったので、振動を続けるスマホを手に取り『行くなら早くしろ』とメールを送る。
するとスマホの振動がピタリと止まったので、今度こそ俺はゲームの世界へと意識を送り込んだ。
本当に申し訳ないのですが、結果発表後の掲示板回が読み直して面白いと個人的に思える物が全く作れませんでした……
ダラダラとよく分からないどうでもいい話を繰り返すだけだった上にその後の新章(?)の話はぽんぽん浮かんでくる始末……
ならいっそのことそっちを進めてしまおう!
となった次第です。掲示板回を楽しみにしていた方には本当に申し訳ありません……
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします
ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!
今後も当作品をよろしくお願いします!




